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O plus E誌 2002年8月号掲載
 
『スチュアート・リトル2』
(コロンビア映画/SPE配給)
 
 
       
  オフィシャルサイト日本語][英語]   2002年7月2日ヤマハ・ホール(完成披露試写会)  
  [7月20日より全国東宝洋画系にて公開中]      
         
(注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)
ビッグ4のトリは,鳥が相手役
 こちらも同時公開で,ソニー・ピクチャーズのビッグ4のトリを務める。またまた続編もので,同社のシンボル的存在をめざすスチュアート・リトル君の再登場だ。『トイ・ストーリー2』を意識したかのような2作目の作り方で,同様な成功を収めている。
監督のロブ・ミンコフはじめ,スチュアートの声のマイケル・J・フォックス,リトル家の面々も前作に引き続き登場だ。前作でも存在感を示したペルシャ猫のスノーベルは,予想通り登場場面がぐっと増えている。リトル家には女の赤ちゃんマーサが生まれているが,この続編の重要な役どころは,スチュアートの恋人となるカナリアのマーガロ(写真左)と敵役の鷹のファルコンだ。ストーリーは単純で勧善懲悪のホームドラマだが,カラフルな画面,大胆なカメラワークの中でのスチュアートの冒険には見せ場が多く,期待以上の素晴らしい出来だ。上映時間は1時間18分と短いが,中身は濃い。
VFXの主担当は言うまでもなくソニー・ピクチャーズ・イメージワークス(SPI)社。リズム&ヒューズ社も参加していたが,これはスノーベルのアニマル・トーク部分だけだろう。SPIとしては前作より少ない250名強の参加で,VFXスーパバイザも御大のジョン・ダイクストラではないが,同時進行で『スパイダーマン』や『MIB2』を手がけていては,そうそう手が回らなかったと思われる。それでも同社の代表作らしい力の入れようで,ILMにとっての「スター・ウォーズ」のような重みを持つのだろう。
以下,その見どころである。
■スチュアートの毛が30万本から50万本に増やされ,毛づややヒゲの微細さも向上した。実写シーンに落とす影,映り込みなど丁寧な処理で,サッカー場の芝生の上のスチュアートなどは絶品だ。
■スチュアートが乗る真っ赤なロードスター,黄色いオモチャの飛行機は,一部実物で大半はCGだろうが,その繋ぎ目や質感の差を感じさせず,色合わせも見事だ。極彩色を嫌みなく上手く使い分けているが,『SWエピソード2』を観た後だっただけに,「フィルムってこんなにキレイだったのか」と感動してしまった。
■ゴミ運搬船の上のスチュアートを描いたシーンの視覚効果も秀逸だ。何が実写で何がCGか全く区別できない。カメラをパンしながらのシーンだから,マッチムーブやオクルージョンの処理も加わっている。空の雲や遠景のマット画にはやや難があったものの,VFXの平均的な質の高さでは今年度No.1作品と言えるだろう。
■前作にも増してスチュアートのコスチューム・デザインが素晴らしい。赤いジャンパー,黄色いレインコート,緑のタータンチェックのパジャマ,赤と青のトレーナーと多彩で,14組もデザインされたというが,出色は赤や緑のニットのセーターだろう。編み目まで詳細が見える毛糸の質感が見事だ。ビデオやDVDでそこまで見えるか分からないから,CG関係者なら是非劇場で観ておくべきだ。
■本続編のセールスポイントの1つは,ファルコンの動きだ(写真右)。羽根を広げた姿,飛翔へと移る動作は,CG史の新たなページに書き加えられるだろう。既に昨年8月のSIGGRAPHでその制作過程が紹介されていたが,完成までに随分と向上したことが分かる。羽根の1本1本まで丁寧にモデリングしたオーソドックスな積み上げの成果と言える。
■そのファルコンと飛行機に乗ったスチュアートの空中戦は,文字通り大空高くからの鳥瞰視点での大胆なカメラワークで描かれる。ここで活躍する「スパイダーカム」は,リモコンの超小型へリの組み込まれたカメラで,何100メートルものケーブル上を水平方向にも垂直方向にも移動する。文字通り『スパイダーマン』でも使われたが,本家よりもこちらでの利用効果の方がずっと上だ。この鳥瞰視点でのダイナミック視点移動にマッチしたCG映像の威力も満点で,この映画のスケールをぐっと大きく,そして楽しくしている。
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写真『スチュアート・リトル2』(左)スチュアートと恋人のマーガロ,(右)敵役のファルコン
 
衣装デザインは,オスカー候補?
毛がフサフサしたせいか,スチュアートが可愛くなりました。
前は,地肌が透けて見えてネズミっぽ過ぎて気味が悪い,という声もありましたよ。
スノーベルの表情も驚くほど向上しましたね。
私はそれでもセリフの多さに付いて行けてないなと感じました。R&Hのアニマル・トークをもってしてもです。この点では『MIB2』のパグ犬の方が上です。
スチュアートの衣装もマーガロの頭巾もいいですねぇ。デザインにもお金をかけていると感じました。
アカデミー賞の衣装デザイン部門にノミネートしたいくらいです(笑)。
こういうこだわりは心を豊かにしますね。
私は,表情変化は大きくないながら,マーガロの描き方に感心しました。ちょっとフテくされた態度を取るけど,実は心は優しいという若い女の子の役を,演技が下手な人気タレントが演じている感じです。こんなのが人間の女優にもいそうだなと思わせました(笑)。
ハハハ。登場人物の皆さんがいい人ばかりなのには参りましたが,でもいい映画ですね。
敵役をファルコン1人,いや1羽が一手に引き受けてくれたから,人間に悪人を設ける必要がなく楽だったでしょう。でも,何で鳥が人間の宝石を狙うのか,さっぱり分かりませんが(笑)。
それをいうとネズミが話せる訳ありませんから,そんなことを考えず家族で楽しむべき映画です。
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