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O plus E誌 2002年8月号掲載
 
 
『メン・イン・ブラック2』
(コロンビア映画/SPE配給)
 
 
       
  オフィシャルサイト日本語][英語]   2002年6月20日 渋谷パンテオン(完成披露試写会)  
  [7月6日より全国松竹・東急系にて公開中]      
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  予想通り再登場のアメリカン・ギャクSF  
   今年絶好調のソニー・ピクチャーズ(コロンビア映画)がビッグ4と銘打った4作品の1つで,『スパイダーマン』『パニック・ルーム』に続く3番バッターでの登場だ。5年前に大ヒットした『メン・イン・ブラック(MIB)』の続編で,地球上にいるエイリアンを管理する黒服集団を描いたSFギャグ・コメディである。
 監督のバリー・ソネンフェルドはじめ,エージェント"K"のトミー・リー・ジョーンズと同じく"J"のウィル・スミスのコンビ設定も,他のキャストやスタッフもほぼ前作と同じだ。となると,前回の登場人物のさらなる活躍,新しいエイリアンの登場がウリで,今度はどんな手であっと言わせてくれるかが楽しみだった。
 その方程式通りの作り方で人気を呼ぶことは確実なのに,意外と続編の登場には手間取った。『インデペンデンス・デイ』とこの作品で一躍スターになったウィル・スミスが売れっ子になり過ぎたためだろうか,同じ監督と組んだ『ワイルド・ワイルド・ウェスト』(99)が不振だったので,少し様子を見たためなのだろうか。
 前作は,Kが普通のオジサンに戻りたいと引退を希望し,記憶を消されて幸せな結婚生活に入ったところで終わっている。その評(1998年1月号)で「きっと復活し,シリーズ化される」と予想しておいた。時間はかかったがその予想通り,地球滅亡の危機を救う鍵を握る男として記憶を戻され,エージェントKが復活する。どのようにでも過去をひっくり返せるのは都合が良すぎるが,この映画の場合は不思議ではない。
 タレントとしても役柄も成長著しいJやとぼけた味のKの掛け合いの面白さと連発されるギャグが売り物だ。とはいえ,今回はストーリーが分かりにく過ぎるという意見も少なくない。これには同意する。テンポは悪くないのだが,前作ほど乗り切れないという感じが残った。
 SFX/VFX満載なのは言うまでもない。この5年間のVFX技術の進歩がまともに反映されているが,観客も当然それを期待している。随所にプレビジュアライズの威力を感じさせるカメラワークがあるが,それもVFXファンなら当然に感じてしまうだろう。ソニー作品ゆえに,ソニー・ピクチャーズ・イメージワークス(SPI)が主担当かと思ったが,この作品はILMが主,SPIはサブだった。他にTippet Stuido,Rhythm & Hughes,Pacific Data Title等も参加している。
 前作に登場するパグ犬のフランクとワームが再登場して重要な役割を演じる(写真)。このワームは,前作と同様にILMが継続担当だろう。エージェント"F"ことパグ犬フランクのアニマルトークはR&H社,各種クリーチャーのデザインはTippet Studioで,顔のメイクアップはリックベイカーだろうと想像するのも,本欄の読者ならではの楽しみだ。
     
 
写真 『メン・イン・ブラック2』(左)2大スターのパグ犬とワーム,(右)ワームはCGだけでなくクレイモデルも存在
 
     
   ところが,CGやVFXに出来不出来があるのが,ちょっと残念だった。蛇女のサリサーナは,特にライティングの処理がよく,実写の背景に見事にマッチしていた。大半のエイリアンもCGかメイクアップか見分けがつかず,自然に見える。その一方で,2つ頭のエイリアンの小さな方の顔はやや不出来で,いくつかのエイリアンに合成の欠陥が目立った。Jのワイヤーアクションも余り感心しなかった。普通なら十分バラエティに富んでいるのだが,『SWエピソード2』と見比べると,映像の迫力では引けをとるので,点数が辛めになってしまった。
 ただし,評者が観たのは,ポストプロダクションでの視覚効果が最終版ではなかった可能性がある。この映画を観たのは,日米同時公開の影響で,公開まで2週間余しかない完成披露試写会でだった。同時公開でなくても作業は遅れていたようで,プレス資料に使われているスチル写真にはCGを使ったカットはほとんど無かった。日本での完成披露のため,アメリカから空輸されてきたフィルムを急いでデュープしたか,取りあえずの未完成版だった可能性もある。画質も悪かったが,何より最悪だったのは,映画終盤は音が途切れ気味で,字幕が頼りだった。エンディングでたっぷり聞けるはずのウィル・スミスのラップ・ミュージックもナシで,無音のエンドロールだった。
 それを割り引いても,面白くないのかと問われると,この手のアメリカ人向きのギャグは好みが分かれるだろう。左隣の男性は始終ゲラゲラ大騒ぎして笑い転げていたが,右隣の(独身と思しき)女性は退屈そうにしてクスリとも笑わなかった。
 
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