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O plus E誌 2018年2月号掲載
 
映画サウンドトラック盤ガイド
   
 

■「グレイテスト・ショーマン
(ワーナーミュージック・ジャパン)

 
 
 
  今月は全く性格の異なるサントラ盤3枚を紹介する。1枚目は,全曲出演者が歌うミュージカル・ナンバーだけで構成されている。このミュージカル用に新たに作曲されたのは9曲だが,"A Million Dreams"と"Never Enough"が別の歌い手で2曲ずつ入っているので,全11曲収録のOST盤である。
 既に"This Is Me"がゴールデングローブ賞の主題歌賞に輝いている。大勢で声を揃えて歌うのに適していて,少し元気が出る佳曲であるが,筆者はむしろ"A Million Dreams"や"From Now On"の方が名曲度は高いと感じた。いずれも歌詞は物語に則していて,映画中での使いどころも絶妙だ。完成度が高い名盤だと思う。
 
   
 

■「デトロイト
(Motown Records)

 
 
 
   1967年の暴動を描いた映画の公式OST盤は14曲入りで(映画中ではもっと多くの曲が流れていたが),当時本社がデトロイト市にあり,音楽界を席捲した伝説的存在であるMotown Recordsレーベル名で発売されている。
 ヒップホップ・グループThe Rootsの新曲が1曲,音楽担当のJames Newton Howardのオリジナルスコアが2曲あるが,他の11曲の大半は「モータウン・サウンド」「ニュー・ソウル」の当時のヒット曲だ。白人警官の虐待を受けるのが黒人ボーカル・グループの面々であるから,当然そのThe Dynamicsの曲も2曲収録されている。映画中でもいい選曲だと感じたが, 米国民にとっては時代を象徴する歌ばかりなのだろう。別格的存在はジョン・コルトレーンの代表作"I Want To Talk About You"で,11分弱の名演奏がフルに収められている。
 
   
 

■「スリー・ビルボード
(Rambling RECORDS)

 
 
 
   次なるは,全く逆にCarter Burwellが書いたオリジナルスコアが全19曲中の13曲を占めるアルバムで,既にゴールデングローブ賞の音楽賞を受賞している。アコースティック主体の哀愁を帯びた音楽は,エンニオ・モリコーネ作のマカロニ・ウエスタン調だと感じたが,本人もセルジオ・レオーネ監督作品を意識して作曲したと発言している。硬軟織り交ぜて,いずれも女主人公の心中にぴったり寄り添っている。
 他の挿入曲は歌入りで,既発表のカントリーやフォークの名曲だが,こちらも映画の各シーンに見事にマッチしていた。"Buckskin Stallion Blues"なる曲が2度使われている。筆者は,映画前半に使われるTownes Van Zandtのオリジナル曲よりも,ラストに流れるAmy Annelle版の方を好ましく感じた。映画の結末の余韻を強く残す役割を果たしていて,心に響いた。
 
   
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