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O plus E誌 2017年1月号掲載
 
 
ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』
(ウォルト・ディズニー映画)
      (C) 2016 Lucasfilm Ltd.
 
  オフィシャルサイト[日本語][英語]    
  [12月16日よりTOHOシネマズ日劇他全国ロードショー公開中]   2016年12月12日 TOHOシネマズ梅田[マスコミ内覧試写会(大阪)]
       
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  さしずめEP3.9,この映画は最後の数分のためにある  
  今年も『スター・ウォーズ(SW)』のシーズンがやって来た。昨年暮に「エピソード7 (EP7)」からの新3部作がスタートし,大きな話題を呼んだ。それが1年おきに製作され,その間にスピンオフもの2作が挟まることが公表されている。既に全作品の監督も決定していて,計5年間,毎年暮はSWシリーズの話題で賑わう訳である。当欄にとって悩みの種は,月の後半に全世界一斉公開で,試写は直前までないので,本誌1月号に間に合うかどうかの瀬戸際であることだ。
 スピンオフ第1弾の本作の時代設定はEP3とEP4の間で,EP4に近い時期とのことだ。既に全銀河は帝国軍に支配され,その象徴たる要塞デス・スターが完成間際に迫っている。反乱軍の有志が極秘任務部隊「ローグ・ワン」を結成し,デス・スターの設計図を盗み出す……,という設定である。なるほど,EP4ではデス・スターは完成していて,レイア姫がR2D2に託した設計図をもとに,ルーク・スカイウォーカーはこの要塞に潜入して,破壊した。その設計図なのである。
 実際に試写を観たところ,EP4の直前も直前,これはもうEP3.9かEP3.99とでも呼ぶべき物語であった。即ち,SWシリーズの原点たるEP4への思い入れを,EP7とは別の形でぶつけるために作られた外伝だと言える。ILMのVFXスーパバイザーの御大ジョン・ノールが製作総指揮を務め,彼のアイディアで作り上げた作品というから,CG/VFX的にも大いに期待した。
 監督は,英国出身のギャレス・エドワーズ。まだ監督3作目だが,前作『GODZILLA ゴジラ』(14年8月号)を成功させたのが記憶に新しい。主演は,女戦士ジン・アーソを演じるフェリシティ・ジョーンズ。『博士と彼女のセオリー』(15年3月号)では難病のホーキング博士を支えた元妻ジェーン役,『インフェルノ』(16年11月号)ではトム・ハンクスと謎解き行動を共にする女医シエナ役を演じ,いま最も輝いている女優である。その相棒となる戦士アンドー役にはディエゴ・ルナ。これまで脇役ばかりだったから,大抜擢である。助演陣では,ジンの父親のゲイレン・アーソ博士役でのマッツ・ミケルセンと,盲目の僧侶イムウェ役のドニー・イエンの存在感が際立っていた。
 物語の骨格は,EP4のオープニングロールの文章や登場人物の会話の中から拾った断片を繋いでいる。逆に,全9部作のSWサーガの流れには影響を与えないように配慮したという。即ち,本作の主たる登場人物は,この外伝中でだけ存在する。とはいえ,お馴染みの白い宇宙服の兵士ストームトルーパーが登場することは予告編から明らかなので,他は何が登場するのか予想するのが,SWファンにとっての最大の愉しみだ(写真1)。以下,当欄の視点を加味した1ファンの素直な感想である。
 
 
 
 
 
写真1 盲目の僧侶イムウェが,ストームトルーパーたちと戦う
 
 
   ■ デス・スターの設計図が本作の鍵だが,その外観がホログラムで登場するのは嬉しい(写真2)。当然,EP4におけるR2D2のホログラム記録を意識してのものだ。そして完成したデス・スターもその前を横切るスター・デストロイヤーも見事な質感だ(写真3)。しっかり細部まで幾何モデルが作られ,レンダリングされている。主シリーズへの配慮から控え目ながらも,その他SWテイストを振りかけたクリーチャーや飛行体がいくつか登場する。C-3POは登場しないが,新登場のロボットは似た名称のK-2SOである。『アイアン・ジャイアント』(99)に似ているというのが,第一印象だった。
 
 
 
 
 
写真2 本作の主テーマは,ホログラムでも登場
 
 
 
 
 
 
 
 
写真3 デス・スターもスター・デストロイヤーも細部までしっかりモデリングされている。ミニチュアではとても表現できない質感と高精細さだ。
 
 
 
  ■ 新登場の惑星の大半は,タトゥイーン星やジャクー星と同様,殺伐としている。その中で,帝国軍本部のある熱帯惑星スカリフの美しさは際立っていた(写真4)。この星にローグ・ワンが降下・潜入するところから物語は急旋回する。戦闘シーンで,Xファイターが登場するのも嬉しい(写真5)。そしてオールドファンが涙するのは,AT-ACTウォーカーの歩く姿だ(写真6)。EP5でフィル・ティペット氏が模型を1コマずつ動かしていたのが,今は勿論フルCG化され,悠々と歩いている。
 
 
 
 
 
写真4 熱帯惑星スカリフにある帝国軍本部のシタデル・タワー
 
 
 
 
 
写真5 終盤のXファイターの戦闘シーンは嬉しい
 
 
 
 
 
 
 
 
写真6 お馴染みのAT-ACTウォーカー。(上)の構図は既視感があるが,(下)だとぐっと斬新に感じる。
(C) 2016 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.
 
 
 
  ■ ダース・ベイダーの登場は噂されていたし,最新の予告編の最後に一瞬姿を見せていた。ところが,本編中での出番は期待したほどの役割ではなく,全く失望した。と思いきや,最後の数分で鮮やかに再登場する。赤いライト・セーバーで戦う姿が,実にカッコいい! ファンが急増することだろう。そしてラストは……。そーか,この形でのエンディングを意図していたのか。この登場人物はどうやって作った? 顔面テクスチャはEP4から得ているかも知れないが,CG製のデジタル・キャラクターに決まっているじゃないか!!    
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  (画像は,O plus E誌掲載分に追加しています)  
   
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