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(注:本映画時評の評点は,上から,,,の順で,その中間にをつけています。) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ゲーマー世代向けの楽しみな新シリーズの登場 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
またまた当欄にとって楽しみなシリーズが登場した。米国の若者向けベストセラー小説の映画化作品で,最初から3部作での公開が予定されている。事前にそう聞いていたせいもあるが,試写を観て最初に感じたのは,『トワイライト』『ハンガー・ゲーム』両シリーズと比べて語るべきシリーズだということだ。原作本は4作目まで出版され,来年5作目が登場するというから,映画も3作では収まらず,長寿化しそうだと予想できる。そのこともあって,後者の最新作『ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス』と合わせて論じるつもりで本号まで待ったのだが,肝心の比較相手の試写が締切に間に合わず,結局は単独での紹介になってしまった。 本作の主役は,高さ30mのコンクリート壁でできた巨大迷路(maze; メイズ)である(写真1)。夜になると自ら構造を変化させ,2度と同じ道順は出現しないという。一旦足を踏み入れても,夜までに戻らないと,中にいる者は確実に命を落とす。誰が何のために作ったかは不明で,その謎を解くためのサバイバル・アドベンチャーであり,SFホラーの側面もある。いかにもゲーム世代のヤングアダルトをターゲットにした設定で,最初から映画化を想定して書かれているとも感じ取れた。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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巨大迷路の中央に「グレード」と呼ばれる広場があり,月に一度,生活物資とともに,自分の名前以外の記憶を失った少年が送り込まれて来る。主人公のトーマス(ディラン・オブライエン)がこの広場にやって来るシーンから物語は始まる。毎朝迷路の扉が開くと,選ばれた数人のランナーが迷路内に入り,その構造を調査し,脱出法を探る任務を託される。少年たちだけの団体行動と任務には様々な規則があり,それが順々に紹介されるのはシリーズ1作目だから止むを得ないが,何やらゲームの操作ルール集を読んでいるかのようだ。 そして,最後の1人としてやって来たのが,初めての女性テレサだった……。このヒロインに抜擢されたカヤ・スコデラリオは,スチル写真で見る限り,『トワイライト』シリーズのクリステン・スチュワートそっくりで,本シリーズも彼女が主演かと思ってしまったほどだ。他の出演者たちもほとんど無名の若手俳優たちであり,監督のウェス・ボールもこれが初の長編監督作品である。「集められた大スターの原石たち」というが,まだギャラの安い監督や俳優を集めてコストダウンを図ったに違いない。その分,作りがかなり粗っぽいところが,上述の両シリーズに酷似していると言えよう。 前半のルール紹介のあと,後半から終盤はしっかりと盛り上げている。ゲーマーたちの視線を意識した構図やテンポで,まずは第1ステージ無事終了といったところだ。これだけで単独の映画なら全くの消化不良だが,続編の公開時にセットで再公開されるか,TV放映されることが前提の1作目であるなら,これでいいだろう。 ネタバレになるので本編内容は詳しくは書けないが,以下CG/VFXの見どころである。 ■ 勿論,最大のウリは巨大迷路のCG描写だ。誰でも想像できるように,至近距離からの撮影には実物大セットが組まれ,構造物の上部まで描く場合にはCGで描写されている(写真2)。CG/VFXの主担当はMethod Studiosで,既に同社からネット上にメイキング映像が公開されている。迷路全体を俯瞰する構図(写真3)も何度か登場するが,その大きさとデザインも注目に値する。こんな迷路があれば,まず探検してみたくなる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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写真2 壁は下部だけ作ることもあれば(上),ほぼ全てCGで描くこともあり(下) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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■ この迷路の中に怪獣らしきものが住んでいることが前半で示唆されるので,終盤でそれと戦うことは容易に想像できる。出来映えは観てのお愉しみだが,美術,VFX出身の監督だけあって,恥ずかしくないクオリティに仕上げていると評価できる(写真4)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(画像は,O plus E誌掲載分に追加しています) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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