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plus E誌 2013年9月号掲載 |
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『スター・トレック イントゥ・ダークネス』
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(パラマウント映画)
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(C) 2012 PARAMOUNT PICTURES. STAR TREK and
related marks and logos are trademarks of CBS Studios Inc.
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オフィシャルサイト[日本語][英語] |
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[8月23日よりTOHOシネマズ日劇他全国ロードショー公開中] |
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2013年6月28日 TOHOシネマズ梅田[完成披露試写会(大阪)]
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(注:本映画時評の評点は,上から,,,の順で,その中間にをつけています。) |
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新シリーズ2作目も絶好調で,視界良好,死角なし |
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| オリジナルTVシリーズ(TOS)からさらに時代を遡り,若き日のカークやスポットを登場させたリニューアルから,早くも4年が経つ。まだ「リブート(Reboot)」という言葉が今ほど用いられていなかったが,前作(09年6月号)は,紛うことなく「リブート」の大成功例であった。若々しい主演の2人を含め,USSエンタープライズ号の乗組員の役柄はほぼ同じで,最新CG技術で映像や物語のスケールは格段にアップしていた。加えて伝説のレナード・ニモイを登場させ新旧スポックの対面シーンを実現させるなど,熱烈なトレッキーも文句のつけようがなく,新しいファンも多数獲得した。
こういう場合,2作目は少しダレるものだが,海外での評判が頗る良かった。それを前提に試写を観たが,なるほどその評判だけのことはあった。映像の細部もそうだが,物語後半の盛り上げが実に巧みだ。批評家筋の高評価も観客満足度の高さも納得できる出来映えだった。ここまで承知した上で,SIGGRAPH 2013でのメイキング・セッションに臨んだが,主担当のILMは自信満々だった。予想しただけの工夫が凝らされ,それだけの手数と新技術が導入されていることにも感心した。
監督のJ・J・エイブラムス,主演のクリス・パインやザッカリー・クイントをはじめ,主要スタッフやキャストも前作から引続き登板している。新任のクルー,キャロル・マーカスを演じるのは,英国出身のアリス・イヴで,なかなかの美人女優である。存在感が大きかったのは,悪役のジョン・ハリソン中佐で,『裏切りのサーカス』(12年4月号)のベネディクト・カンバーバッチが演じている。ネタバレになるので彼の正体は明かせないが,シリーズ中の重要な人物となり,今後の続編にも登場するだろうとだけ言っておこう。
物語の時代設定は西暦2259年で,未知の惑星ニビルを探索中に副長スポックが危機に陥るが,カーク船長は命令違反を犯してまで彼を救出する決断をする。地球への帰還後,その責任を問われてカークは船長を解任されるが,同じ頃,ロンドンの宇宙艦隊データ基地が何者かによって破壊される。続いて,サンフランシスコの艦隊本部も銃撃され,真犯人のハリソン中佐を追ってカークたちは,惑星クロノスに乗り込むが,それはハリソンが仕掛けた巧妙な罠だった……。
以下,全編で1,700シーンに及ぶCG/VFXを中心とした見どころとその評価である。
■ CG/VFXの主担当は,原シリーズからずっと手がけてきた老舗のILMだ。参加クリエータの名前がエンドロールで延々と続く。他には,Pixomondo,Atomic Fictionが参加しているだけで,最近のSF大作では珍しい。これだけでも,ILMの本作にかける意気込みが感じられる。どのシーンも,しっかりデザインされていると感じられた。レンダリングの精緻さもさることながら,対象となる事物のデザインも凝っている。顔をスキャンしてIDとして利用する設定は面白かったし,医療機器のデザインも注目に値する。ビジュアルの美しさとしては,木星のシーンも印象に残った。
■ 赤い惑星ニビルでのオープニング・シークエンスでは,溶岩の描写が見事だった(写真1)。このため,初見ではさして注意を払わなかったが,赤い林を疾走するシーン(写真2)にも,かなり複雑なVFXが駆使されていた。こんな赤い林などある訳がないから,しかるべきロケ地を探し,原生林に装飾を施し,俳優たちを走らせた上で,木々に着色しないと,この映像表現は達成できない。登場人物も一部はデジタル・ダブルだろう。一方,クリンゴン人が住む惑星クロノスは,もっと都会的でかつ荒廃した都市であり,こちらもVFXの出番は多い。
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写真1 惑星ニビルでのスポックの危機。この溶岩表現は見事。
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写真2 赤い林を駆け抜けるこのシーンもVFXの産物
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| ■ 特筆すべきは,本作がIMAX上映を前提とした上で,かつ初の3D作品として制作されていることだ。全編に渡り,映像は高精細であり,惑星表面も,エンタープライズ号の外観も内部もしっかりと描かれている(写真3)。近づけば近づくほど,その高精細さが見えてくる感すらある。IMAXカメラを使って2D撮影し,これを後処理で3Dに変換している。所謂フェイク3Dは粗悪品の代名詞であったはずが,今年公開されたメジャー作品の3Dはほとんどこの方式である。それだけ3D変換の技法が向上し,費用対効果を考えると,ステレオカメラ対によるリアル3Dに勝ってしまったようだ。本作でも未来のロンドン市内の上空からの描写,制御不能となったエンタープライズ号の急降下は素晴らしい3Dシーンであるし,宇宙船内の立体感演出も優れていた(写真4)。
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写真3 傷つき,地球へと降下する宇宙船USSエンタープライズ号
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写真4 宇宙船内の仕上げを点検するエイブラムス監督
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| ■ もう1つ特筆すべきは,未来のサンフランシスコ市内とその破壊シーンの描写だ(写真5)。未来を感じる上に,一目でサンフランシスコだと分かる秀逸なデザインである。良く観ると,市内にはしっかりケーブルカーも走っている。この市内をバックに繰り広げられる,空中走行車上でのアクションも素晴らしかった。グリーンバックで撮影した実写バトルと未来都市が巧みに合されているが,カメラワークも上々だった。
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写真5 未来のサンフランシスコ市内の景観とその破壊シーンは,なかなかの見もの
(C) 2012 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED. STAR TREK and related marks and logos are trademarks of CBS Studios Inc.
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(画像は,O plus E誌掲載分に追加しています) |
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