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O plus E誌 非掲載
 
 
 
 
『バイオハザードV リトリビューション』
(スクリーン・ジェムズ
/SPE配給)
 
 
     

  オフィシャルサイト[日本語] [英語]  
 
  [9月14日より丸の内ピカデリーほか全国ロードショー公開中]   2012年9月14日 TOHOシネマズ二条  
       
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  遂に5作目に突入だが,完結前のウォームアップか  
  カプコン製の同名ビデオゲームに端を発したサバイバルホラー・シリーズも,遂に5作目に突入した。日本以外では,ゲームも映画も『Resident Evil』と呼ばれている。かなり観客層セグメントは狭いはずだが,前作の興行収入は日本国内で50億円弱,全世界で約3億ドルに及んでいる。映画版の生みの親であるポール・W・S・アンダーソン監督は,2作目から製作に回っていたが,4作目から監督に復帰し,本作でも引続きメガホンをとっている。既に彼が次の6作目で完結させることを宣言しているから,本作はそのファイナル・バトルに向けての序章の役割を担っていると言える。となると,これまでの経過を復習しないとこの世界に入れないなと感じていたら,映画の冒頭で,1作目からのシリーズの展開を1作毎にしっかり振り返ってあった。これは親切だ。
 3Dへの移行は既に前作で達成済みで,それもフュージョンカメラを導入してリアル3D撮影だった。ゲーム界に片足の軸を置き,一作毎にCG比率も増えている以上,当然のことだろう。あらすじ解説が過ぎたあと,写真1のようなシーンが登場し,巨大タンカーの甲板上に立ったアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)の頭上をアンブレラ社空挺部隊の戦闘機が飛び交う。CG/VFXも3D効果もいきなり全開である。前作のラストに繋がるシーンだが,猛攻を受け,アリスは海中へと沈む……。
 
 
写真1 冒頭から,パワー全開のこのシーン。3D演出効果も悪くない。
 
 
 

 その後は,物語展開もCG/VFXの技術も,一々語る必要はないだろう。エンディングまでゲーム風バトルがひたすら続くが,元々その種の映画であるから,非難には値しない。前作までの経緯を知った上でも,いずれが敵か味方か判然としない。一度死んだはずの仲間がクローンとして敵で登場したり,寝返ったり,洗脳が解けて味方に戻ったりと,ご都合主義で,いかようにもなる物語設定であるから,真剣にその意図を考えるだけ馬鹿馬鹿しい。
 CG/VFXはといえば,ほぼ全編がその対象で,もはやCG空間の中に実写の人物たちが置かれている感じだ。いや,その人物もシーンによっては,デジタル・ダブルなのだろう。前述の戦闘機を皮切りに,アリスが捕われていた巨大施設内部の大半も各種クリーチャーもほとんどがCG製である。多角形の部屋,廊下や縦坑内の移動が目立つのは,多分に3D演出効果を意識したものと思われる。アンデッド(ゾンビ)の口中から飛び出す長い4枚の舌もしかりだ。まさにゲーム空間とそこで倒すべきモンスターがそのまま描かれている感じだ。筆者には判別できなかったが,ゲーマー達にとって既視感のあるシーンが多々登場しているのだろうか。
 CG/VFXの主担当は,本シリーズをずっと手がけているMr. Xである。他にPrime Focus, Prime Focus UK, Spin VFX, Rocket Science VFX, Vision Globale等が参加している。分量的にはかなりの量だが,質的には今イチで,シーンによって質的なバラツキも少なくない。B級ホラー中心の製作会社としては大作であっても,単価も低いだろうし,品質管理も甘いのかと思われる。
 ストーリーやCGの質よりも,この映画の主要観客層にとっては,ゲーム世界で見知ったどのキャラクターが登場するのか,敵か味方かの方が,関心事のようだ。主人公のアリスは,本映画シリーズ独自のキャラクターだが,本作では改めて,主演のミラ・ジョヴォヴィッチの魅力を強調して描かれている。新しい黒の戦闘スーツ姿は,実にカッコいい(写真2)。そうかと思えば,見えるか見えないか,ハラハラさせるセクシー・シーンも盛り込まれている(写真3)。いかつい女戦士のメイクで登場するのが普通だが,クローンとして,普通の主婦姿で登場する場面では,かなりの美形であることも再認識させられる。

 
 
写真2 新しい前フックのコスチュームがカッコいい
 
 
 
写真3 熟女の悩殺ポーズは,男性ゲーマーへのサービスシーンか
 
 
 

 ゲームでお馴染みのキャラでは,ファンの期待は,2作目に登場して人気を二分したジル・バレンタインだ。前作で少しだけ登場し,敵となることが示唆されていたが,まさに敵方の中心人物としてアリスと対峙する(写真4)。別の俳優に交替予定だったが,ファンの熱望により,2作目で好評だったシエンナ・ギロリーが再度起用されることになったという,いわく付きだ。1作目で死んだレインは,2体のクローンとして登場する。1体はジルの配下の攻撃隊員だ。ミシェル・ロドリゲスとしては久々の役だが,女戦士姿は他作品で何度も観ているので,既視感に溢れている(写真5)

 
 
写真4 ファンの熱望により実現したシエンナ・ギロリー演じるジル・バレンタイン
 
 
 
写真5 またまた精悍な女戦士姿のミシェル・ロドリゲス。どの映画で見ても,よく似合う。
 
 
   その他,ゲーム版から,女性ではエイダ (写真6) ,男性ではレオン,バリー等が初登場するが,これは完結編のクライマックスに向けての準備運動だろうか。こうした前提を知らずに観たら全く面白くない作品なのだが,完結編ではどこまで盛り上げてくれるか,楽しみにしたい。  
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写真6 初登場のエイダ・ウォンは,いかにもゲーム系の美少女
 
 
   
   
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