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| (注:本映画時評の評点は,上から | 
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| メッセージ性の高い佳作だが,制作方法には異議あり | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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  もう1本もアニメ作品だが,先の2本とはジャンルも制作方法も画調もまるで違う。題名もさることながら,この映画も一度観たら絶対に忘れられない印象的な作品だ。イスラエル・ドイツ・フランス・アメリカの合作映画というだけで異色だが,既に各国の映画祭にノミネートされ,いくつもの賞を受賞している。2008年の作品で,今年のアカデミー賞では,外国語映画賞部門で『おくりびと』の最大のライバルだった映画である。  | 
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写真1 絵画調の表現はNon-photorealistic renderingが最も得意とするところ  | 
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| フォルマン監督は「実写をなぞったのではなく,ビデオ映像をもとにすべて一から描き上げた」と語っているが,全部は信じがたい。かなりデフォルメされた人物はともかく,爆撃やヘリのローターの動き(写真2)のシーケンスを観る限り,実写映像にNPR処理を施したに違いない。雨に濡れた水面や海面の映り込み,火炎や夜間照明の描写もしかりだ。その結果,黄昏時や夜のシーンで,類い稀なる色調表現を達成している(写真3)。適度のコントラストを維持しながら,彩度を抑える表現法だ。こうした技法を駆使して,記憶の曖昧な場面や想像上のシーンを巧みに描き分けている。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
 
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写真2 ヘリのシーンも実写ベースならではの表現  | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
 
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写真3 夜のシーンでの光の使い方や映り込みが絶妙  | 
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  その半面,マンガ風に描き過ぎた人物の顔が難点だ(写真4)。これでは,演じた俳優たちの顔の微妙な表情が死んでしまう。ヘブライ語やアラビア語の会話は抑揚が少ないゆえに,目や口の僅かな動きを強調する描写が必要だ。それなら,人物にもNPRを素直に使った『スキャナー・ダークリー』の方が,ずっと顔の表情は豊かだった。 以下は,ネタバレになることを断った上で記しておこう。この映画は,最後に実写映像に転じる。それが,戦争の悲惨さを生々しく伝える効果を果たしている。それまでずっと絵画調のアニメだったゆえに,このエンディング・シーンが際立っていた。見事な計算だ。  | 
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| (画像は,O plus E誌掲載分に追加しています) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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