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O plus E誌 2003年7月号掲載
 
 
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『デッドコースター』
(ニューライン・シネマ作品
/ギャガ-ヒューマックス共同配給)
 
 
         
  オフィシャルサイト[日本語][英語]   2003年4月25日 ギャガ試写室  
  [2003年7月全国松竹・東急系にて公開予定]      
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
     
  スピード感抜群のB級ホラーは続編も好調  
   原題は『Final Destination 2』。2001年2月号で紹介した新趣向スリラーのスマッシュ・ヒットの続編だ。死の危機から奇跡的に生き残った人物達が死に神に憑かれたように1人ずつ不可解な突然死を遂げて行くという趣向は全く同じで,間一髪セーフかと思わせておいて次の瞬間に大逆転が起こる。次はどういうパターンで来るか,ハラハラドキドキ,とにかく怖い!
 これを『デッドコースター』とは,なかなか味な題を考えたものだ。死と直面し,ジェットコースターのようなスピード感と恐怖感が溢れる映画というつもりのようだ。それなら「デスコースター」であるべきだが,ま,この題の方が座りが良かったのだろう。
 この種の映画は画面に釘づけになるので,試写室でもメモが取りにくい。この稿を書こうとして,その苦労したメモを読み直して弱ってしまった。前作の時に書いたのとほとんど同じ印象ではないか。徹底したB級,新手の怖さ,ノンストップ・サスペンス……。製作ポリシーは明確,続編として意義が極めて明快だということだ。
 それでいて,製作スタッフもキャストも前作とほとんど異なっている。共通なのは前作で生き残ったクレア・リバーズ役のアリ・ラーターだけで,あとは総入れ替えだ。監督は『マトリックス・リローデッド』のアクション監督を努めたデヴィッド・エリス。『パーフェクト ストーム』(00)『ハリー・ポッターと賢者の石』(01)等数々のセコンド・ユニット監督を経験してきたが,この映画が初監督作品となった。主演の男女はマイケル・ランデスとA・J・クックだが,ほとんど馴染みはない。死神が真の主役だから,頭数が揃っていれば俳優はどうでもいい,ということなのだろう。
 前作は修学旅行前に男子高校生が飛行機事故を予知し,危険を回避することに端を発しているが,今回は友人の男女と旅行中の若い女性のキンバリーがハイウェイでの玉突き大事故を予知したところから物語は始まる。彼女の機転で九死に一生を得た7人の男女に,その後も順に死が訪れてくる(写真)。前作を巧みに言及して繋がりを持たせているが,この映画だけを見ても十二分に楽しめる
 今や『ロード・オブ・ザ・リング』ですっかりメジャーっぽくなったニューライン・シネマだが,もともとB級ホラーはお手のものだ。ビスタサイズで,アングルも構図も演技も相変わらず徹底したB級た。よくぞこんなに安っぽい印象に作れるものだと呆れる。ここまで来ると意図的だろう。ところが,冒頭の予知夢のハイウェイ大事故シーンだけは相当スゴイ。「マトリックスのアクション監督」の演出というだけのことはある。荒唐無稽さはマトリックスに譲るが,迫力とテンポの良さは決して負けていない。むしろこちらの方が上で,このシーケンスは一級品だ。この映画は,ここを観るだけでも価値がある。
 VFXは随所に使われている。担当は,Pixel Magic社,Digital Dimension社等で,それぞれ20〜30人だからそう多い数ではない。相変わらず死に方が酷く,それをある時は残虐に,ある時は滑稽に描いて見せるのにCGが効果的に使われている。CGならではの描写もあれば,事故のシーンの演出にVFXが使われている。
『ソラリス』とは大分違うが,この映画もある意味で映画作りの教本か演習問題になり得る作品だ。次はどんな事故でどんな死に方をするかの脚本を書かせたり,カット割りや絵コンテを描かせる教育コースとしても,この題材は面白いだろう。
 

真 間一髪セーフと思わせておいて,その次の瞬間は……の連続  

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