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O plus E誌 非掲載
 
 
『13ゴースト』
(ダークキャッスル・エンタテインメント作品
/SPE配給)
 
 
       
  オフィシャルサイト日本語日本語   2002年7月17日 SPE試写室  
  [8月31日より全国松竹・東急系にて公開予定]      
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  怖さよりもデザインに見惚れるB級ホラー  
   『マトリックス』のプロデューサー,ジョエル・シルバーと『フォレスト・ガンプ/一期一会』の監督ロバート・ゼメキスが設立したホラー専門プロダクション「ダークキャッスル・エンタテインメント社」の『TATARI』につづく第2作目だ。前作に引き続き,ホラー界の伝説的人物ウィリアム・キャッスル監督の1960年の作品を最新のVFXとデジタル・サウンドでリメイクしたという触れ込みだ。
 謎の大富豪サイラスが突然命を落とし,妻を亡くして失意の底にあった甥のアーサーと子供たちが大豪邸を相続する。ところが,この屋敷にはサイラスが特殊装置で捕獲していた12人の悪霊たちが閉じ込められていて,生者を死の世界に引き込もうと襲いかかって来る。これは,「13人目のゴースト」が揃ったときに得られる最強のパワー求めたサイラスの罠だった。閉ざされた屋敷で繰り広げられる悪霊と生者たちのバトルは……。というのがストーリーの骨子だ。突然叔父の遺産が転がり込むという設定はあまりにも古いが,リメイクならば仕方がないだろう。
 監督は,本作品がデビュー作のスティーブ・ベック。ILMの美術部門出身らしい。出演者は,サイラス役のF・マーレイ・エイブラハムだけがオスカー俳優だが,他は『ギャラクシー・クエスト』のトニー・シャロープ,『アンドリューNDR114』のエンべス・ディヴィッツ,『スクービー・ドゥ』のマシュー・リラードなど脇役クラス揃いで,特殊メイクはKNBエフェクツ・グループ,VFXはB&Bエフェクツ社というB級,いやC級揃いで徹底した低予算映画だ。
 B級ホラーであっても,ぞくぞくする恐怖や畳みかけるストーリー展開があれば面白いのだが,リメイクの割には脚本はそれ以下だった。特殊眼鏡をかけると見えるという想定の12人の悪霊は,メイクアップはまずまずの出来なのだが,見慣れるとちっとも怖くない。騒いでいるのは登場人物だけで,観客にはちっとも怖くない(写真)
写真 さっきまで犬と戯れていたのが,今度は幽霊に仰天(俳優は『スクービー・ドゥー』と同じマシュー・リラード)

 VFXはといえば,クライマックスで登場する儀式の装置はCGならではの表現だが,悪霊たちは特殊メイクが中心でCGはほとんどない。登場シーンには少し合成が出てくる程度だ。これも低予算のためなのだろうか。
 予想外の収穫は,サイラスの大邸宅のデザインだった。てっきり,『ホーンティング』『アザーズ』に出てくるような,クラシックで重厚な屋敷を想像していたが,豪華だがガラスや鏡を多用したモダンな建物だった。内装もデザイン的には凝っていて,結構見惚れてしまった。美術担当者は大いに楽しんだことだろう。これは監督の好みかもしれない。このデザインのカッコよさが恐怖心を和らげてしまった感もある。
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