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O plus E誌 2002年6月号掲載
 
 
『スコーピオン・キング』
(ユニバーサル映画
/UIP配給)
 
 
       
  オフィシャルサイト日本語英語   2002年5月8日 イマジカ試写室  
  [6月8日より全国東宝洋画系にて公開予定]      
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  ハムナプトラ番外編は予想通りの出来栄え  
   昨年7月号で紹介した『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』で,米国のプロレス団体WWFのNo.1スター「ザ・ロック」は古代エジプト最強の戦士スコーピオン・キングを演じて映画デビューを飾った。クライマックス・シーンで登場する下半身サソリ,上半身ザ・ロックのフルCGキャラはいただけなかったが,映画冒頭で生身のザ・ロックが群衆を率いるシーンは圧巻だった.この存在感を利用しない手はないと,スコーピオン・キングだけをスピンオフさせ,主人公にした映画だ。いわば,ハムナプトラ・シリーズの番外編である。
 同シリーズの監督スティーブン・ソマーズはこの映画では製作・脚本を担当し,監督は『マスク』(94)『イレイザー』(97)のチャック・ラッセルに任せた。助演陣は『グリーン・マイル』(99)でアカデミー賞助演男優部門にノミネートされたマイケル・クラーク・ダンカンが目立つ程度で,あとはB級作品扱いのキャスティングだ。
 時代は5000年前の古代エジプト。まだスコーピオン・キングとしてパワーを得る前の戦士マサイアス(ザ・ロック)が,邪悪な王メムノーン(スティーブン・ブラント)に敢然と立ち向かい,圧政に苦しむ部族たちと共に彼を倒す物語だ。予想通り,ストーリーはあってなきがごとしで,ザ・ロックの肉体美,アクションだけが売りで,これは古きよき時代の主演男優だ。
 前半は退屈極まりなく,無理に作ったような敵味方関係だ。敵役のメムノーンがあまり悪に見えないのも大きな欠点だが,ヒロインの呪術師カサンドラを演じるケリー・ヒューはなかなか良かった。
 
     
 
写真 主人公の2人とどう見ても合成の月
 
     
  東洋系のこの女性が醸し出す楚々とした魅力は,男臭い英雄ザ・ロックと結構似合っている(写真)。
 ハムナプトラの番外編というだけあって,VFXはしっかり,たっぷり使われていた。マサイアスを襲う蟻の大軍,砂嵐,流砂,古代エジプトの大きな建築物など,CGの出番もふんだんにある。衣装やロケなどにも金は結構かかっているなと感じさせる。それでいて,やっぱり番外編は番外編であって,脚本もVFXも本シリーズと比べるとあらゆる点で1ランク下という印象はぬぐえない。VFXの担当はセントロポリスFX社とR!OT社。「何だ,やっぱりILMじゃなかったのか」と感じてしまうレベルだ。といっても,日本映画でこのレベルを見たら,「凄いぞ。ハリウッドのレベルに達した」と言ってしまうだろうが。
 それでも,中盤から後半にかけて尻上がりにテンポは良くなり,マサイアスがメムノーンを攻めるエンディングに向けてのノリは良かった。ぐいぐい一気に押してくる。この部分の音楽がいい。アクションと一体となったリズム感が,観客を画面に釘付けにさせる。とにかく一気,一気だ。1時間32分の映画だが,最後の30分だけ見たら十分で,残りは付け足しだ。
 
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