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O plus E 2022年Webページ専用記事#2
 
映画サウンドトラック盤ガイド
   
 

■「The Eyes Of Tammy Faye (Original Motion Picture Soundtrack)」
(Hollywood Records)

   
 
ソング版 スコア版
 
 
 タミー・フェイの瞳』のサウンドトラックで,ソング版には9曲しか収録されていないが,主演のジェシカ・チャステインの歌唱が印象的だったので,映画本編の紹介記事の補足の意味も込めて紹介しておこう。別途,Theodore Shapiro作曲のオリジナルスコア版(全22曲収録)があるが,いずれもデジタル配信で入手できる。
 ソング版の9曲は以下の通りである。

 1. “Don't Give Up (On The Brink Of A Miracle)”  Tammy Sue Bakker
 2. “Battle Hymn Of The Republic”  Jessica Chastain
 3. “Jesus Keeps Takin' Me Higher & Higher”  Jessica Chastain
 4. “The Sun Will Shine Again”  Jessica Chastain
 5. “Somebody Touched Me”  Jessica Chastain feat. Mark Wystrach
 6. “We Are Blest”  Jessica Chastain
 7. “Don't Give Up (On The Brink Of A Miracle)”  Jessica Chastain
 8. “The Eyes Of Tammy Faye Score Suite”  Theodore Shapiro
 9. “Puppet Medley (Give a Hug, Jesus Loves Me, Up With A Giggle)”  Jessica Chastain

 主人公のタミー・フェイは,配偶者のジム・ベイカーがキリスト教福音派の伝道師であったことから,2人でTVの宗教番組を始めて人気を博したことは映画本編の稿で述べたが,彼女の目立つメイクや歌が番組を大いに盛り上げたらしい。購入したのは信者たちが大半と思われるが,1970年代から80年代にかけて,アルバム10数枚をリリースしているので,それなりにしっかりとした歌唱力があったのだろう。
 上記リストの3〜7曲目は,YouTubeでTammy Faye Baker名義の歌唱を聴くことができる。注目すべきは,本アルバムの収録曲は,曲調も伴奏もほぼそのままで,主演のJ・チャステインが声色まで真似て歌っていることだ。全く彼女だと分からない特殊メイクでタミー・フェイになり切っていたことから,曲の出来映えもそうなのだろうと予想したが,見事に真似ている。当時の番組を知る熟年層には,懐かしさ以上のものがあるに違いない。
 アルバムがなぜこの収録順なのかは不明だが,2曲目の“Battle Hymn Of The Republic”は,劇中の最後に教会で歌う愛嬌たっぷりの熱唱で,誰もが知る「リパブリック讃歌」である。1曲目と7曲目の“Don't Give Up (On The Brink Of A Miracle)”は,Tammy Faye Bakerの代表曲のようだ。7曲目は劇中で使用されたJessica Chastainの歌唱だが,1曲目はエンドソングとして流れた曲である。Tammy Sue Bakerというのは実の娘で,夫妻の間に生まれた5人の子供の1人だそうだ。スローなイントロから始まる,落ち着いた美しい声に聴き惚れる。母親から良い遺伝子を受け継いでいるようだ。
 このアルバムがたったの9曲なら,是非入れて欲しかった曲がもう2曲ある。Fats Dominoが歌う“Blueberry Hill”とPat Booneの“Love Letters In The Sand”だ。それぞれ1956年と1957年のヒット曲で,2人の代表曲でもある。前者は劇中でも大きな意味をもつ曲である。主人公夫妻が大学で知り合い,恋愛中のデートシーンで,ラジオのDJをやっていたジムが交通事故を起こした原因となった曲だと過去を語る。すると突然立ち上がったタミーがこの曲を歌い始め,続いてFats Domino自身の曲がバックに流れる。後者は,結婚後1児をもうけた2人が,1970年にヴァージニア州のパット・ロバートソン邸を訪れた時にかなり長く流れている。ビルボード誌1957年の年間第2位にランクされた大ヒットで,日本でも「砂に書いたラブレター」の題名で知られる名曲だ。なぜ1970年のシーンで使われたのか不思議だった。後で考えたが,単に「パット」つながりで使った洒落なのだろう。このサントラ・アルバムに彩りを添えるなら,是非加えて欲しかった2曲である。
 
   
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