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O plus E誌 2014年5月号掲載
 
 
purasu
アメイジング・スパイダーマン2』
(コロンビア映画
/SPE配給 )
      (C) 2013 CTMG. All Rights Reserved.
 
  オフィシャルサイト[日本語][英語]    
  [4月25日よりTOHOシネマズ日劇他全国ロードショー公開中]   2014年4月9日 TOHOシネマズ日本橋[完成披露試写会(東京)]
2014年4月15日 TOHOシネマズ梅田[完成披露試写会(大阪)]
       
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  リボーン2作目は,予想通りの盛り上がりと結末  
   監督も主演俳優も一新し,「アメイジング」を冠した新シリーズは大成功を収め,流行語「リボーン」の代表作と言われるようになった。その2作目となると,大型製作費や広報宣伝費が投じられ,映像的にも一段とパワーアップしていることが予想される。ところが,興行的には成功しても,欲張り過ぎて大味になるのが第2作目の定番だ。前シリーズの2作目のヴィラン(悪漢)は個性的なドクター・オクトパスだったが,本作ではどんなヴィランが登場するかが楽しみだ。敵役が憎々しげなほど,スーパーヒーローものは成功している。
 筆者はSpider-Manに格別の思い入れがある。本誌目次欄にDr. SPIDERの名が残っているように,かつてこのペンネームをよく使っていたからである。今でもよく知人たちが,新しいSpider-Manグッズをプレゼントしてくれる。それゆえ,本作の大阪での完成披露を待ち切れず,新幹線代を投じて,東京での完成披露試写に駆けつけた。会場は,先月オープンしたCOREDO室町2にあるTOHOシネマズ日本橋である。最新の立体音響「ドルビーアトモス」の設置がウリのようだ。
 さて始まった。冒頭にピーターの両親の不遇の死のエピソードが付いている。続いて,スパイダーマンがNYマンハッタンのビル街を颯爽とスウィングする(写真1)。前作同様,3D上映に最適のシーンで,300円をケチって,この映画を2Dで観る観客は阿呆としか言いようがない。ハイテンポの躍動感溢れるプレシークエンスだが,音が少々騒々しい。筆者の大好きなハンス・ジマーの音楽だとすぐ分かるが,この不出来はどうしたことかと残念だった。ところが,後日,大阪のTOHOシネマズ梅田で再観賞したところ,特に違和感を感じなかったから,日本橋はご自慢の「ドルビーアトモス」のボリュームを上げ過ぎていただけのことだ。
 
 
 
 
 
写真1 相変わらず爽快なこの大ジャンプでパワー全快
 
 
   監督のマーク・ウェブ,主演のアンドリュー・ガーフィールド,ヒロインのエマ・ストーンは前作と同じだ。前作では,爽やかなA・ガーフィールドはこの役が似合っていると感じたのだが,少し老け方のペースが早く,オヤジ顔になって来たのが残念だ(写真2)。E・ストーンは筆者のお気に入りだ。凛々しい表情は,リケジョ役にピッタリだ(写真3)。どこかの研究員と違って,実験ノートはしっかりつけ,論文写真の改竄はしていないだろう(笑)。
 
 
 
 
 
写真2 もう,とても高校生には見えない
 
 
 
 
 
写真3 本職はオズボーン社のサイエンティスト
 
 
  助演陣では,ジェイミー・フォックス,ポール・ジアマッティといった芸達者が敵役を演じる。加えて,本作から登場するのが,旧友のハリー・オズボーンで,予定通りにグリーン・ゴブリンと化して,スパイダーマンと戦うことになる。演じるデイン・デハーンは,前シリーズのジェームズ・フランコほどのイケメンではないが,若い頃のL・ディカプリオを思い出す。とりわけ,声やセリフまわしがそっくりだ。
 全編CG/VFXのオンパレードであることは言うまでもなく,試写を2度観てもメモを取り切れないほどだ。以下,その見どころである。
 ■ 主担当は勿論Sony Pictures Imageworks (SPIW)が,副担当のSPIW Indiaと英国のMPCもかなりのボリュームを担当している。その他,Blur Studio,Pixel Playground, Shade VFX, Ironhead Studio等が参加している。プレビズはThe Third Floorが担当している。至るところでプレビズの存在を感じる複雑なVFXシーンがあり,業界No.1に成長した同社のなせる技だ。
 ■ 前半の見どころは,マックス役のJ・フォックスが特大の電気ウナギに感電するシーンと,そうして生まれた人間発電機エレクトロ(写真4)が夜のブロードウェイに登場するシーンである。このエレクトロの表現は実に素晴らしい。白く光る目,青白く発光する顔面や体表面は,単純なCGの産物ではなく,演じるJ・フォックスの表情や動きを生かしつつ,見事に怪人風に仕上げている。そのエレクトロのパワーが炸裂し,NY市街地を破壊し,照明を消してしまうビジュアル面での演出も素晴らしい。プレビズなしでは実現不可能な場面だ。
 
 
 
 
 
 
 
 
写真4 これが,本作での強敵エレクトロ
 
 
 
   ■ ビジュアル面では,ハリーがテーブル型ディスプレイをジェスチャ操作するシーンも実に見事だ。この種のテーブルは専門用語でITS (Interactive Tabletops and Surfaces)と呼ばれている。現状技術でも十分実現できる代物だが,大型画面操作のルックがカッコいい。
 ■ 3D撮影は,前作のリアル3Dからフェイク3Dに変わったのが少し残念だ。いかにも2D→3D変換の産物だと分かるシーンも少なくない。マンハッタン上空からのショットは,ビル自体がCGのため,立体感を強調でき,スパイダーマンのダイブ場面では思わず脚がすくむほどだ(写真5)。グウェンの落下シーンも同様だ。
 
 
 
 
 
写真5 ダイブシーンの3Dは効果的で,身がすくむ
 
 
   ■ クライマックスのエレクトロとの戦いも上出来だ。彼を倒したところで2時間。この映画はここで終わるべきだった。その後,グリーン・ゴブリン,サイ型スーツの醜悪なライノ(写真6)と戦う約20分は余計だ。(ネタバレになるので書けないが)原作通りでない結末を期待したが,残念ながらそうではなかった。
 
 
 
 
 
写真6 屋上屋を架したこのシーンは単なるご愛嬌
(C) 2013 CTMG. All Rights Reserved.
 
 
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  (画像は,O plus E誌掲載分に追加しています)  
   
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