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O plus E誌 2012年3月号掲載
 
 
 
 
『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 1』
(サミット・エンタテインメント
/角川映画配給)
 
 
      TM & (C) 2011 SUMMIT ENTERTAINMENT, LLC.

  オフィシャルサイト[日本語] [英語]  
 
  [2月25日より新宿ピカデリー他全国ロードショー公開予定]   2011年12月19日 大阪ステーションシネマ[完成披露試写会(大阪)]  
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  前半は他愛もないが,ヒロインの激ヤセに刮目  
  準メイン扱い3本の最後は,『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』も捨て難かったのだが,本作を残してしまった。(画像提供はないというのに)どうしても語っておきたいVFXシーンがあったからである。
 美しきヴァンパイアのエドワード(ロバート・パティンソン)と女子高生ベラ(クリステン・スチュワート)の禁断の恋に,オオカミ族・ジェイコブ(テイラー・ロートナー)が横恋慕する三角関係ロマンスを描いたサーガの第4弾である。これが最終章だが,『ハリー・ポッター』シリーズと同様,前後編に分けて2度稼ごうという営業政策のようだ。主要観客層は女子中高生からせいぜい20代の独身女性までなのに,米国ではまたまた大ヒットで,公開週の興収は歴代5位というから恐れ入る。
 当初は「女子供でも作れそうな他愛もない作品」と評していたが,今でもシリーズ全体の基本的評価は変わらない。しかし,映画の観客層は多彩であり,あるセグメントを対象にした作品も存在価値はあると認め,その観客の視点から眺めるなら,前作あたりから面白さが増してきた。ここまでメガヒットすると,脚本をしっかり練るだけの時間が割ける。CG/VFXの制作費も増え,素人では作れない視覚効果が多用できるようになったことも,作品の質的向上に繋がっている。
 さて,紆余曲折を経て,いよいよエドワードとベラの結婚式である。映画の前半は,筆者には観るに堪えなかった。結婚式前夜からハネムーンは,まるで女性週刊誌の企画もどきだ(写真1)。「ウェディング・ドレスの選び方」「結婚式での作法と心構え」「ハネムーンのリッチな過ごし方」とでもいう馬鹿馬鹿しさで,いくら若い女性が主対象とはいえ,これが映画かと……。精悍なヴァンパイアのはずのエドワードは草食系男子と化し,ベラがジェイコブの愛に呼応しても,ひたすら優しく,物分かりよく,微笑んでいる。そもそも,ヴァンパイアのカレン家は何で生計を立てていて,どうしてこんな豪華なハネムーンを維持できるのだろう?(写真2) 洋の東西を問わず,女性側視点での願望を映像化すればこうなるという見本だ。
 
   
 
写真1 前半は,まるで女性週刊誌のウェディング特集
 
   
 
写真2 なんで数ヶ月も海外滞在のリッチなハネムーンができるんだ?
 
   
  ベラがハネムーン・ベビーを宿し,危険な出産シーンを迎える中盤から終盤は,一転緊迫感に溢れ,まるで別の映画だ。VFX的な見どころは,ベラが激ヤセし,別人のように衰弱していく様子の描写である。大別すると,3段階の痩せを描いているが,いくらなんでもC・スチュワート自身がここまで体形を変えられる訳はなく,当然CG/VFXの出番だ。身体は,痩せた別人,パペット,絵等を利用し,顔はVFX加工した当人の表情を用いている。それも頭部丸ごとのすげ替えではなく,細面の別人に顔のCGパーツを埋め込み,フェイス・キャプチャしたデータを適用する方法とのことだ。
 VFXの主担当は,Tippett StudioとHydraulxの両社だが,他にSOHO VFX, Legacy Effects, Lola VFX等,約10社の名前がクレジットされていた。ベラだけでなく,生まれた赤ん坊も実物,パペット,CGの巧みな合成での描写だろう。オオカミの表現も,1, 2作目に比べると格段に向上し,精悍になっている(写真3)
   
 
 
 
写真3 1作目は熊のようだったオオカミも,随分リアルになり,精悍になった
TM & (C) 2011 SUMMIT ENTERTAINMENT, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
 
   
   完成披露試写会では,隣の老夫婦が「さっぱり分からんな。どっちが敵なのか,味方なのか」とこぼしていた。そりゃそうだろう。これは貴方達が観る映画ではないし,シリーズ全体を観ていないと,何も楽しめまい。  
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  (画像は,本ページ用に追加しています)  
   
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