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(注:本映画時評の評点は,上から![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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韓国VFXスタジオの実力向上に裏打ちされた意欲作 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
何とも地味な表題だ。ポスターも予告編も,負けず劣らず地味だ。韓国映画で,英題は『71: into the Fire』だから,その数字が略されているだけだが,もうちょっと目を引くタイトルにできなかったのかと思う。韓国で大ヒットの大作で,感動のドラマと聞かないと見逃してしまいそうな映画である。それだけ真面目で,気をてらった宣伝作戦を取りたくないということなのだろう。なるほど,イケメン男優で日本の女性観客を当てにした安易な企画の映画ではない。 朝鮮戦争60周年の昨年公開された作品である。北朝鮮軍の猛攻で首都ソウルは陥落し,南に敗走した韓国軍は,釜山近くの洛東江での最後の決戦を余儀なくされる。その戦争の中で,北の進行を食い止めて時間稼ぎをするため,浦項の地で学校に立てこもって戦い,落命した71名の学徒少年兵たちの物語である。1950年8月11日に起きた史実に基づくものというから,日本人には馴染みはないが,韓国人なら誰もが知っている話なのだろう。さしずめ,太平洋戦史における「ひめゆりの塔」のような存在かと想像する。昨年,浦項近くの慶州を訪れた筆者にとっては,この地名だけで関心をもった一作だ。 恋愛映画は定番の悲劇で,さほど面白くないコメディも少なくない韓流映画だが,北の脅威を描いた作品は俄然緊迫感が増し,アクション・サスペンスの度合いも増加する。韓国製戦争映画の大作としては『ブラザーフッド』(04年6月号)を思い出すが,その評の中ではVFXの未熟さを指摘していた。「トップレベルの視覚効果技術があれば,もっと迫真のシーンを描出できたと思うと,少し残念だ」とまで書いている。 それから6年余,それが見事に解決されたと言える一作である。前半の市街戦の模様は,かなりのリアリティであった。オープンセット自体も悪くないが,そこにビルが倒壊し,装甲車が吹っ飛ぶまでを,リアリティ高く描いて見せる(写真1)。爆発や瓦礫やら,どこまでがCGでどれが実物なのか,簡単には見分けがつかないレベルに達している(写真2)。VFX主担当は,NEXT Visual Studio社。ビデオゲーム産業やアニメ作品にも政府の後押しがある韓国の映像業界であるから,いよいよCG/VFX分野を先導するスタジオの育成に乗り出したということだろうか。映画産業は活発であっても,大作VFXはこれまで欧米や豪州のスタジオに外注していたから,本欄にとっては喜ばしいことだ。都市部を外れた韓国の郊外は,まだまだ素朴な田園風景が広がっているが,それでも60年前の光景を描くには,かなりデジタル技術で補強していたと見て取れた。 |
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写真1 前半の市街戦はかなりリアル。ビルが倒壊し,装甲車が吹っ飛ぶ様のVFXも見どころあり。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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そうした戦闘シーンのリアリズムに支えられ,戦争スペクタクルとして国際的に通用する水準に仕上がっている。ドラマとしては,侵攻してくる北朝鮮軍が極悪非道に描かれていないのが意外だった。先日のヨンビョン島への砲撃後なら世論が許さないが,本作が企画された頃にはもっと南北融和ムードで,戦後60年という節目を感動作で美しく飾りたかったのだろうか。 監督は,『私の頭の中の消しゴム』(04)のイ・ジェハン。中山美穂を起用した『サヨナライツカ』(10年1月号)は冴えなかったが,本作での語り口は悪くない。学徒兵守備隊のリーダー(チェ・スンヒョン),反抗的な不良少年(クォン・サンウ),彼らを見守る韓国軍の大尉(キム・スンウ),攻め入る北朝鮮軍の少佐(チャ・スンウン)の主演級4人は,それぞれの持ち味をよく出していた。ところが,クライマックスの追いつめられた銃撃戦がいけない。多勢に無勢の勝ち目のない戦いとはいえ,百発百中の活躍はないだろう。前半から中盤までは緊迫感のある展開だったのに,安っぽいヒーロー映画風に描いてしまったことが,少し残念だ。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(画像は,O plus E誌掲載分に追加しています) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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