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O plus E誌 2007年8月号掲載
 
    
 
その他の作品の短評
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
   ■『西遊記』:2月号の『どろろ』を今年度ラジー賞最有力候補と断じたが,本作品こそ,その本命と訂正したい。例によって,TVでそこそこの視聴率を稼いだ番組を映画化するお手軽路線だが,『どろろ』以上に脚本も演出もお粗末だ。音楽もCGも低レベルで,何1つ評価できるものがない。最新デジタル技術をもってすれば,觔斗雲も如意棒等ももっと楽しく描けたはずだが,これでは名作古典が泣く。中国からクレームが届いても文句は言えまい。若いゲーム世代とて,魂のない,こんな薄っぺらな映画を喜ぶのだろうか。
 ■『ゴースト・ハウス』『スパイダーマン』シリーズのサム・ライミ監督も名を連ねるホラー専門プロダクションの作品。ノース・ダコタ州の呪われた古い家を舞台に,主演は若い美女,低予算,わずかなVFX,それでいて家族愛とハッピーエンドで締めるハリウッドの方程式通りに作られている。音響もキャメラワークも凡庸で,なるほどこれならJホラーの方がずっと怖い。
 ■『オープン・ウォーター2』:前作とは無関係で,海を舞台にした低予算B級パニック映画という点だけが共通だ。全員海で戯れていたのはいいが,ハシゴを降ろし忘れてクルーザーに戻れなくなったという単純な設定が面白い。時間が経つにつれ,1人ずつ命を落として行き,最後は誰がどうやって助かるかと展開は容易に想像できる。94分の映画だが,結構感情移入してしまい,何やら3,4時間海上に漂っていた気分にさせられる。パニック映画としては成功の部類だ。ただし,筆者は映像を観ながら,途中で助かる方法に気がついた。
 ■『プロヴァンスの贈りもの』:「南仏プロヴァンスの12ヶ月」のピーター・メイルの最新作を映画化したロマンティック・コメディ。監督リドリー・スコット,主演ラッセル・クロウと聞くと,何やら甲冑をつけた大仰な物語を想像するが,結構洒落た大人のロマンス&観光映画に仕上がっている。子役のフレディ・ハイモアも,老いた叔父を演じるアルバート・フィニーもいい。エンドロールで流れる仏語の「ビキニ・スタイルのお嬢さん」にしびれた。ワインは美味しそうだが,願わくば南仏料理をもっと登場させて欲しかった。
 ■『オーシャンズ13』:これも人気シリーズの3作目。本作ではジュリア・ロバーツは登場せず,アル・パチーノが加わる。毎度これだけのキャストの日程をよく調整できたと感心する。彼らの楽屋ネタに近いジョークも頻出し,作り手が楽しんでいるのが分かる。豪勢で,お洒落で,リッチな気分にさせてくれる大人のエンターテインメントだ。1作目同様ラスベガスが舞台だが,現地ホテルを借りずに,巨大スタジオ内に超豪華ホテルとカジノのセットを組んだというのが凄い。
     
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