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O plus E誌 2006年7月号掲載
 
 
purasu
『M:i:III』
(パラマウント映画
/UIP配給)
 
      (C)2005 Paramount Pictures  
       
  オフィシャルサイト[日本語][英語]   2006年5月16日 ナビオYOHOプレックス[完成披露試写会(大阪)]  
  [7月8日より日劇1ほか全国東宝洋画系にて公開予定]      
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  方程式通りの娯楽作品だが,アクションシーンは斬新  
 

 前作は『M:I-2』(00)で片方ハイフンと数字だったのに,今回は2つとも「:」で「3」はローマ数字,「i」は小文字と,一貫しない妙な題をつけてくれる。原題は『Mission: Impossible II』『Mission: Impossible III』と分かりやすいのに,本シリーズを知らない観客などどうでもいいと言わんがばかりの邦題だ。
 もとは1996年に人気TV番組『スパイ大作戦(Mission: Impossible)』を大ファンだったトム・クルーズが再映画化して主演したところ,ヒットしてシリーズ化することになった。1作目でスパイ・チームのリーダー,ジム・フェルプスを殺してしまったので,トム・クルーズ演じるイーサン・ハントだけが活躍する妙な設定になってしまった。前作の評(00年7月号)で「まるでニュー007」と書いたように,不死身のヒーローぶりも世界中をまたにかけた飛び回りぶりも,007ムービーそのものである。それでも,新メンバーを加えたチームが再編成され,個々の得意技を出しあってミッションを達成する様は,原作の味を復活させている。アメリカには原作のファンがなお沢山いるからだろう。
 ブライアン・デ・パルマ,ジョン・ウーと続いた監督は,本作ではJ. J. エイブラムスが起用された。日本の観客には馴染みは薄いが,TVの人気シリーズ『エイリアス』『LOST』の製作総指揮で名を馳せているそうだ。むしろ本作での話題は,敵役のオーウェン・デイヴィアンを演じるフィリップ・シーモア・ホフマンだ。『カポーティ』(05)の好演でオスカー(主演男優賞)を得たばかりだから,まさに油の乗り切った悪役ぶりだ。レギュラーのルーサー役ヴィング・レイムスは健在だし,IMFの上司ブラッセルを,『マトリックス』シリーズのローレンス・フィッシュバーンが演じて存在感を示している。
 VFX担当はILMだから力を入れていない訳がないが,大半は目立たないインビジブル・ショットで,アクションを引き締めている。ミサイルは勿論CGだが,爆発もガラスの割れるのも,いまや半分以上はCGなのだろう。
 ストーリーは全くの定番だが,アクションには新味があり躍動感に溢れている。最初の救出作戦,橋の上での奪還作戦の攻防,上海の高層ビル潜入とどれも存分に楽しませてくれる。ヴァチカン,ミュンヘン,上海のロケは,いずれも壮大で映像も美しい。娯楽作品として観て,期待外れはない。

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  計算通りのアクションとVFXの併せ技  
 
やっぱり,トム・クルーズはかっこいいですねぇ。私はこのシリーズは初めてですが,お決まりの展開でもテンポがいいです。アクションにメリハリがあります。
ほとんどスタントシーンを自分で演じているだけのことはあります(写真1)。しっかり事前にPreVizしてあって,カット割りも構図も計算し尽くされていますね。相手役も前作よりは許せるレベルですが,可愛過ぎず,トム・クルーズだけが目立つようにしてあります。それも計算通りです(笑)。
上海のビルからビルへのジャンプも本物ですか?
まさか,いくら何でもあれは合成ですよ。
他はどこがCGなのか合成なのか,私にはほとんど分からなかったのですが…。
ヴァチカンの塀の上から見下ろす光景,パーティー会場から見えるヴァチカンの風景,大型ロケはしながらも巧みにデジタル合成しています。ヘリや飛行機も大半はCGでしょう。風車の間をヘリがすり抜けるシーンなども,本物じゃあり得ないでしょう?
そういえば,そうですね。ヘリがCGですか。風車が嘘っぽかったですけれど
両方ともCGかも知れません。あのシーンは,VFXならではの斬新な演出でした。
変装のマスク作りは面白かったですが,あんな風に写真から形状を出して,簡単に作れるのですか?
あの程度の写真から精密な3D形状復元は無理です。あれは嘘です。でも専用の3Dスキャナを使えば可能だし,形状を削り出して物体化するのも,最近のラピッド・プロトタイピング装置なら十分可能です。
声はある程度分析できても,あんな風にそっくりしゃべれるようにはなりませんよね。
あれもご愛嬌ですね。イーサン・ハントはもともと変装の名人という設定ですが,常に最新技術を使っているという演出なんでしょう。『スパイ大作戦』時代の楽しさを見せてくれ,私の世代も満足でした。
 
     
 
 
 
 
     
 
 
 
写真1 このスタントも全部自分でこなし,爆発もカーアクションも本物なのがこの映画の魅力。
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