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O plus E誌 2000年1月号掲載
 
 
『エンド・オブ・デイズ』
(ビーコン・ピクチャーズ提供,ギャガ・ヒューマックス/東宝東和共同配給)
 
(c)1999 BEACON COMMUNICATIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
       
      (1999/11/29 イマジカ試写室)  
         
     
  ミレニアム・イベント協賛作品  
   無事この号がお手元に届いているなら,サタン(悪魔)の報復から逃れ,人類が破滅することなく新しい千年紀迎えていることになる。日本では,1999年の夏から秋にかけ,遅ればせながらY2K問題がクローズアップされたが,欧米ではミレニアム・カウントダウンで結構盛り上がっていたらしい。
 そんなブームを当て込んで作られた世紀末・黙示録映画の大作である。もともと11月下旬の感謝祭連休からクリスマス休暇までは,アメリカでは大作映画の公開が相次ぐハイシーズンである。そこで選ばれた公開日が11月24日,その他の国は12月25日のクリスマス当日の一斉公開となった。このため,早々と正月映画の枠を確保しておきながら,なかなかフィルムが入って来ず,試写 会もギリギリまで行われなかった。メイキング情報も特撮シーンのスチル写 真もほどんどない状態である。
 『インデペンデンス・デイ』『ディープ・インパクト』『アルマゲドン』に続く世紀末映画,SFXスペクタクル・アクションと触れ込みだったが,印象は随分と違う。もっと宗教色が強く,『エクソシスト』『オーメン』調のオカルト映画である。
 1999年12月,千年に一度の星が一直線上に並ぶ時,人類への復讐を誓ったサタンが地上に舞い降りる。呪われた運命の女性とサタンが世紀末に交わるとき,世界は終焉する。サタンの魔手から彼女を守ろうとする主人公の元刑事は…という設定である。
 
 
(a)後半のアクション・シーンは水準以上   (b)視覚効果 も随所に登場
写真1『エンド・オブ・デイズ』
(c)1999 BEACON COMMUNICATIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
 
 監督兼撮影監督は『2010年』『プレシディオの男たち』『タイムコップ』のピーター・ハイアムズ。主演は言わずと知れたアーノルド・シュワルツェネッガーで,『イレイザー』(1996年)以来の主演,『バットマン&ロビン』(1997年)の脇役以来の出演である。シュワちゃん主演で1億5千万ドルを投じた大作と聞くと,派手なアクションを期待するが,製作費に見合うだけスペクタクルには仕上がっている(写真1)。これは,ホラー・アクション,オカルト・アクションとでもいうのだろうか。
 P・ハイアムズ監督は,撮影監督も兼ねるだけあって,光と影のコントラストが上手く,カメラワークも悪くない。視覚効果 は,リズム&ヒューズ,セントロポリスFX,スタン・ウィンストン・スタジオなど9社が手掛けただけあって,仕上がりは上質で見せ場も少なくない。「人間の首が回る」「弾痕が消える」「人と人の身体が接合する」シーンや,「透明で影のように揺れるサタン」「陶器のように割れる人間」「火だるまで逃げ回る人間」等々,すぐに特撮と分かるシーンが随所に出てくる。特筆すべき新趣向はないが,様々な技法のオンパレードで使い方にも嫌みはない。
  (SPIDER)  
     
  疲れますが,迫力はあります  
 
疲れましたね,この映画(笑)。全部観るのには,かなりエネルギーが要ります。
先月号で『ワイルド・ワイルド・ウエスト』の対抗馬はこれだと書きましたが,まるで異質の作品でした。ついでに訂正しておくなら,TV番組の『ワイルド・ワイルド・ウエスト』は,日本でも1965年から『ワイルド・ウエスト』という名前で放映されていたそうです。私はその頃,受験勉強であまりテレビを見ていなかった。映画館にはせっせと通 ってましたが…(笑)。
久々のシュワちゃん主演の映画というので,『ラスト・アクション・ヒーロー』『トゥルー・ライズ』『イレイザー』のタッチを想像してしまいました。今回も相変わらずタフですが,あんなワンパターンなスーパーヒーローでなく,人間臭い役柄でした。
銃を沢山もって不死身のサタンに立ち向かうところや,ヘリのシーン,地下鉄のシーン等々,数えてみれば『マトリックス』に似てるんだけど,エンディングが違いましたね。
何かすっきりしないというか…。
視覚効果 総指揮はスタン・ウィンストンですから,死体のメイクアップなどは『シックス・センス』にも似ていたでしょう?
『シックス・センス』は最後が素晴らしかったですよ。アメリカ映画なら,もう少しスカッとさせて欲しいところです。
あれで人類は救われたということでしょう。十字架に架けられたように,シュワちゃんが実はキリストなんだという暗示なんですよ。だったら,すぐに復活して貰いたいところですけどね。
あの運命の女性を救わなきゃいけない必然性が感じられません。舞台がニューヨークで,タイムリミットがアメリカ東部時間の午前零時というのも不自然です。
「グレゴリウスは悪魔復活の年から逆算して現在の暦を作ったのだ!」と言ってました。こじつけ,ご都合主義もここまで来ると凄すぎて笑えてきます。
まだバチカンかイエルサレムなら分かるし,せめてグリニッジに合わせて欲しかったです。
見どころは有りませんか?
サタン役のガブリエル・バーンが渋くていいですね。疲れますが,アクションの演出はうまいし,炎の使い方は見事だったと思います。座席まで振動するほどの音響も大迫力です。
一般の映画館でもそうなのかな? イマジカの試写 室の音響効果が凄すぎるんですけどね。
日本人好みじゃないと思いますが,今年の正月映画は不作なので,悪くない方でしょう。
オカルトが好き,アクションも好き,SFXも好きというファンには,入場料分は十分に楽しめます。
 
   
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