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O plus E誌 2000年2月号掲載
 
 
『ノイズ』
(ニュー・ライン・シネマ製作
/ギャガ・ヒューマックス共同配給)
 
       
      (1999/12/14 ギャガ試写室)  
         
     
  ピリッとしたサイコ・サスペンス  
   メジャー系の映画ばかりを紹介してきたので,たまにはニュー・ライン・シネマのような小振りな作品もいいだろう。この日は『救命士』(ニコラス・ケイジ主演,ブエナビスタ配給)とこの『ノイズ』の試写 会をハシゴしたのだが,こちらの方がピリッとしていたので取り上げよう。
 スペースシャトルに乗り込んだ宇宙飛行士2人が,船外活動中の事故で空白の2分間を過ごす。幸い無事地球に帰還するが,年長の飛行士は後遺症で病死し,その妻も不可解な自殺を遂げる。残された飛行士は,やがて人格が変わったかのようになり,深夜ラジオから聞こえる雑音に耳を傾ける。双子を身籠った妻は,夫に宇宙生命が乗り移ったのではないかと次第に疑いをもつ。という設定のサイコ・サスペンスである。
 原題は『The Astronaut's Wife』(宇宙飛行士の妻)で,この方がストーリーのもつ意味をよく表している。直訳のままはまずくても,宇宙に絡めたもう少しましな邦題はなかったのかなと思う。
 ニュー・ラインらしく,人気俳優は使わず,ビスタサイズの小振りな画面 で,VFXにも重きを置いていない。回想での宇宙のシーンやクライマックスでのエイリアンの登場くらいで,Sony Pictures ImageworksやRhythm & Huesといった著名特撮会社の名が並んではいるが,まず必要最小限といったところである。
 映画の最初の方から恐怖心をあおる表現が続く。オカルト系の気味の悪さではなく,スリラーとしての怖さだが,この描き方が少し荒っぽい。それなら,ヒチコック流にもう少しジワジワと攻めた方が,妻の恐怖心の高まりに観客も同化できたのだが,そこが一流と二流の違いである。監督・脚本のランド・ラビッチは,初の本格的長編の監督というから,こんなものだろう。
 
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  最後の解釈が分かれます  
 
小粒もいいですが,劇場用映画なら,スペースシャトルの打ち上げや帰還くらいは,もうちょっと迫力あるシーンを見せて欲しいですね。ロケットの全体像すら出てこないし...。
『アポロ13号』『アルマゲドン』並みは無理でも,NASAは記録映画をいくつも持っているから,それくらいは借りられたと思いますね。
特撮も少なめで,ちょっと手を抜き過ぎです。
同じ1,800円取るなら,もう少し見ごたえがあってもいいですね(笑)。
主人公の妊娠中のお腹がほんの少し映りますが,あれは本物のわけはないですね。
CGで合成するほどではないから,何らかのメイクアップでしょう。ストーリーはどうでしたか?
ハッピーエンドではないけれど,スパイスの利いた面 白い結末ですね。『ファイト・クラブ』『エンド・オブ・デイズ』『救命士』と後味が悪いのが続いたので,それよりはマシです。最近,画面 と合わない曲をやたらと挿入する映画が多いので,それがなかったのも幸いでした。『救命士』は最悪!
でも,後半はまたまたニューヨークが舞台でしたね。最近本当に多い。
また地下鉄かと(笑)。
アクション・シーンにもホラーにも安上がりでいいんでしょ(笑)。ヒチコックなら,ストーリーだけで引っ張っておいて,最後は上手く解決するんですけどね。
エイリアンの襲撃をもっと派手にし,無事逃れるのかと思っていました。
違うでしょ。あれは妻の妄想だから,逃れるも何もないですよ。
え!? じゃ,全部想像の産物で実在しないというんですか!? それじゃ,最後に双子の子供たちが聞いているノイズは何なのですか?
ノイズはただのノイズ,妹の死も宇宙生命の乗り移りも主人公の妄想ですよ。
そこまで言ったら,映画で描いたシーンは,何でも夢だ想像だで済んじゃうじゃないですか。
でも,この映画では,確たる証拠は1つも残してませんよ。この脚本の意図はそこでしょう。
事実か妄想か,結末はどちらにでも解釈できるように作ってあるということですか。
というふうに,カップルで見に行って,あとであれこれ議論するなら入場料分は十分楽しめます(笑)。
 
   
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