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O plus E 2022年5・6月号掲載
 
映画サウンドトラック盤ガイド
   
 

■「Echo In The Canyon (Original Motion Picture Soundtrack)」
(BMG/ADA)

   
 
 
 
  本邦での映画公開が今年になっただけで,北米では2019年5月に公開され,同時にこのサントラ盤CDが(後にアナロク盤LPも)発売され,日本でもデジタル配信や輸入盤で入手できたようだ。
 OST扱いであるが,全13曲は映画中で流れる多数の曲を再編したものではなく,別途スタジオ録音された異色の企画アルバムである。Laurel Canyonなる聖地で生まれた音楽へのTribute Festivalが2015年に開催され,そのコンサート映像は映画本編中でも流れていた。その後,改めてインタビューを実施し,同時進行で影響を受けた若手アーティストとのコラボを行って,映画とこのアルバムが同時に完成したとのことだ。
 ゲストはEric ClaptonやNeil Youngらの大物や,若手有望株のNorah Jones, Fiona Apple, Regina Spektorらである。すべての曲でホストのJakob Dylanがデュエットしているが,ゲストを立てて,自らは少し控えめでマイルドな歌唱に徹しているのが印象的だ。出来映えは見事なWest Coast Rockの新解釈であり,さしずめ西海岸版昭和歌謡のカバーアルバムと言えようか。
 
   
 

■「リコリス・ピザ - オリジナル・サウンドトラック」 
(Universal Music)

   
 
 
 
  高級感のあるスリーブケース仕様で,邦文ライナーノーツと歌詞対訳がついた国内盤が発売予定だが,曲目もジャケットも輸入盤と同じだ。映画ポスターと同じタッチで登場人物を描いたイラスト画を踏襲している。予告編と映画中で使われた38曲の半数の19曲とJonny Greenwood作曲のオリジナルスコアからテーマ曲1曲を加えた全20曲構成である。
 当時存在したレコードチェーン店名を映画の題名にしただけあって,全編音楽だらけで,その選曲はすべて監督が行った。舞台となるSan Fernando Valleyは,上記のLaurel Canyonとは10数kmしか離れていないので,場所的にも音楽ルーツは同じと言える。よって,1960~70年代のWest Coast Soundが中心だが,ジャズやカントリー,1940年代にBing Crosbyが歌った映画主題歌も選んでいる。最初と最後以外の曲順は映画での登場順と異なるが,アルバムとしてのバランスを考えてのことだろう。選曲と曲順決定に拘った監督の嬉々とした顔が目に浮ぶ。ちなみに,筆者のお気に入りは,2曲目の“Stumblin' In”と12曲目の“Diamond Girl”だ。

 
   
 

■「Military Wives (Original Motion Picture Soundtrack)」
(Decca UK)

   
 
 
 
  短評冒頭の『シング・ア・ソング!』のサントラ盤で,国内盤はないが,輸入盤やデジタル配信で購入できる。全15曲入りで,美しいコーラスが聴けるが,映画中の合唱よりもレベルが高い。
 映画中で即成合唱団が歌う曲は有名ポップソングを選び,練習中の場面は稚拙な歌唱のままで収録したというが,このサントラ盤はかなり中身が異なる。映画での使用曲が随分カットされているし,全く使われていなかった曲が多数ある。“Only You”“Home Thoughts From Abroad”等,映画キャストによる歌唱も収録されているが,正規のThe Miliitary Wives Choirsが歌い,CDとして発売されたものの中から代表曲を集めたようだ。映画の趣旨には適っているし,歌声は心地よい。
 
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