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O plus E誌 2017年1月号掲載
 
 
バイオハザード:ザ・ファイナル』
(スクリーン・ジェムズ/SPE配給)
     
 
  オフィシャルサイト[日本語][英語]    
  [12月23日より丸の内ピカデリー他全国ロードショー公開中]   2016年12月9日 大阪ステーションシネマ[完成披露試写会(大阪)]
       
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  全編暗いが,ラスト・バトルへの疾走が心地よい  
  カプコン製の人気ゲームを基にしたサバイバル・アクション映画シリーズも6作目で,これが最終章だ。当初の邦題は『バイオハザードVI:ザ・ファイナル・チャプター』とされていたが,最終的に表記の題に変更された。ゲーム版の最新作「バイオハザード7 レジデント イービル」は2017年1月下旬に発売されるが,映画はもはやナンバリングは不要,これが最終作だという意志表明なのだろう(本当か?)。ここ数作と同様,日本での公開が世界最速で,日本のゲーマーたちへの事前サービスだ。製作会社のスクリーン・ジェムズはソニー・ピクチャーズの子会社ゆえに,それができる訳である。
 第1作目の公開は2002年であったから,もう足かけ15年にもなる。第1作は比較的低予算のB級ホラーで,欧州資本で製作された。ヒロインのアリスを演じるミラ・ジョヴォヴィッチのアクションが好評で,シリーズ化された。2作目からハリウッド大作となり,CG/VFXが多用され,当欄でも取り上げ始めている。
 シリーズのシンボル,アリス役は一貫してミラで,第1作で知りあったポール・W・S・アンダーソン監督と結婚した。彼がシリーズ全作の製作・脚本を担当し,4作目からは監督にも復帰している。5作目から4年以上経ってしまったのは,昨年,夫妻の第2子が誕生したためである。そりゃそうだ,産前産後にあの激しいアクションができる訳がない(写真1)
 
 
 
 
 
 
 
 
写真1 2児の母となっても,なおこの激しいアクションに挑戦
 
 
 
   ゲーム版で登場する人物やクリーチャーを映画版でも登場させ,相乗効果でファンを楽しませるのが主目的であるが,近作はこのサバイバル・アクションがワンパターンで,映画としての面白みに欠けていた。皮肉にも,監督を他人に任せた第2作,第3作が比較的出来が良かったと思う。第4作,第5作の内容など殆ど覚えていない。そう言われるのを見越してか,冒頭で過去の5作品を振り返るアリスのナレーションがあり,本最終章に至る経緯がしっかり解説されている。これは分かりやすく,すべてを把握できて一気に気分は最終章に突入する。
 ワシントンDCでの戦いに敗れたアリスは,瓦礫の中で目を覚ます。宿敵アンブレラ社の放った兵器用生物の攻撃と戦いつつ,生存者を見つけようとするところに,敵であったはずの人工知能レッドクィーンが登場し,アリスに人類救済計画の情報を提供する(写真2)。その時点での地上生存者は4772人,唯一の手段は48時間以内に670km離れたラクーンシティに辿り着き,地下研究所ハイブから抗ウィルス剤を見つけ出して散布することだという。かくして,またまたアリスの過酷な旅と想像を絶する壮大なバトルが再開する……。
 
 
 
 
 
写真2 レッドクィーンとして登場するのは,監督夫妻の長女のエバー・アンダーソン
 
 
   途中,生存者集団のリーダー,ドク(オーエン・マッケン)と出会い,クレア(アリ・ラーター)やアビゲイル(ルビー・ローズ)とも再会を果たす(写真3)。アンデッドや猛犬ケルベロスたちの攻撃の中で,この仲間たちは次々と命を落とす。ただただ一直線のサバイバル映画なのだが,最終章はこの単純さが心地よい。
 
 
 
 
 
写真3 この仲間たちが次々と減って行くサバイバル
 
 
   以下,当欄の視点での感想とコメントである。
 ■ 全編で疾走するアクションの連続で,ワイヤーアクションやCG/VFXもたっぷり使われている。最たるものは,コウモリの遺伝子をもつ翼竜ポポカリムで,冒頭シーケンスでたっぷり活躍した後,ラストでも少し登場する(写真4)。当初公開されてCGカットがこれだけなのが大いに不満だったが,映画全編を観て納得した。その他のシーンは一様に暗く,何が映っているのか殆ど識別できない。仲間の誰が倒されたのかもよく分からない。3Dメガネでの光量不足を考慮しても尚暗過ぎる。これは計算ずくのようだ。暗さゆえにスピード感が増し,ラストに向けて疾走する感じが強調されている。最近のゲーマーはこの躍動感でないと満足しないのだろう。
 
 
 
 
 
写真4 難敵の翼竜ポポカリムは冒頭シーケンスの主役
 
 
  ■ ハイブに潜入したアリスが最後にアイザックス博士と戦うが,この部分のビジュアルは秀逸だった。アンブレラ社幹部の低温保存設備も含め,さすが最終章と思わせるだけのデザインである。CG/VFXの主担当はいつものMr.Xで,渾身の一作と言えるだろう。
 ■ 上記のバトルの最後とそれに続くシーンでの,ミラ・ジョヴォヴィッチが穏やかな顔で美しい。改めて,第1作の頃のような美形だなと感じる。アリスの表情は1作毎に激しい顔の女戦士になっていったが,あれは誇張されたメイクであったのかと再認識した。   
 
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  (画像は,O plus E誌掲載分に追加しています)  
   
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