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O plus E誌 2009年8月号掲載
 
 
 
アイス・エイジ3/ティラノのおとしもの』
(20世紀フォックス映画)
 
      (C) 2009 TWENTIETH CENTURY FOX  
  オフィシャルサイト[日本語][英語]  
 
  [7月25日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国東宝洋画系にて公開中]   2009年7月14日 角川試写室(大阪)  
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  人気のシリーズの3作目は,地下世界での活躍  
   先月号の2本に続いて今月もフルCG作品を取り上げる。フルCGアニメの公開作品はどんどん増えているが,シリーズ3作目を数えるのは『シュレック』と本シリーズだけである。筆者の大好きなシリーズであり,大学のCGの講義では必ず紹介する作品だ。最近の情勢からして当然3D上映版が作られているだろうから,構図やカメラアングルがどうなっているのかも気になるところだ。
 本シリーズは,キャラクター設定が抜群にうまい。氷河期の地球を舞台に,マンモスのマニー,ナマケモのシド,サーベルタイガーのディエゴの3匹を登場させたが,この主役トリオのバランスが絶妙だった。続編では,マニーの彼女エリーとフクロネズミの兄弟(エディ&クラッシュ)が加わっている。本作でもこの仲間たちは全員健在で勢揃いする(写真1)。今回は2D上映の日本語吹替版で観たのだが,太田光(爆笑問題)のシド,山寺宏一のマニーもさることながら,エディ(中島知子)とクラッシュ(久本雅美)の関西弁でのやりとりが実に良かった。こうしたコメディタッチのセリフには,関西のお笑い芸人の話術がフィットしている。
 
     
 
写真1 脇役も含めお馴染みのキャラが勢揃い
 
     
   そうそう本シリーズで忘れてならないのが,随所で登場してコントを演じる珍獣スクラットだ。ドングリを探し求めるギャグがウリだが,何と人気者の彼を翻弄する彼女スクラッティが新登場する(写真2)。長期シリーズ化を睨んで,着々と登場人物,いや登場動物を増やしていることがうかがえる。  
     
 
写真2 珍獣スクラットにも彼女ができた
 
     
   設定上苦しいのは,氷河期だけではストーリーが続かないことだ。前作では既に地球温暖化が始まり,氷河期が終焉を迎えようとしていることになっていた。本作では,地下にもう1つの世界が広がり,そこに恐竜たちが棲息しているという設定ときた。なるほど,上手い逃げ方だ。恐竜は夏休み公開作品の定番で,ここでも人気者T-レックスを登場させることができる(写真3)  
     
 
写真3 こちらのT-レックスはさらに個性的
 
     
   という訳で,ティラノ・キッズやその母親,悪役の恐竜なども登場させる半面,マニーとエリーに子供が産まれる設定で多様化を図っている。ギャグも健在で随所で会場の笑いを誘う。クライマックスはしっかりアクションシーンを配して盛り上げているが,それでも本作はストーリーがやや弱く,普通のアニメ作品のレベルで留まってしまった感じだ。スクラットの登場シーンも彼女を登場させた分,ドングリをめぐるあの爆笑コントの冴えが今イチだった。次回作でのリベンジを期待したい。
 CG技術の進歩はと言えば,描き込みがどんどん複雑になっているのはどの作品も同じだが,マニーやスクラットの毛の描写が一段と精緻化している(写真4)。本シリーズの映像はいつも明るく感じるが,おそらくBlue Sky Studioが今でもレイトレーシング系のレンダラーを基本としているからだろう。体毛表面の質感が高いのは鏡面反射による光沢感があるからで,レイトレーシングの光源位置を巧みに調整していることが感じられる。
 
     
 
写真4 体毛の描写も一段と質感が向上
 
     
   3D版は未見だが,3D化の影響で2D版に違和感を覚えることはなかった。意識して観ると,シドが恐竜の卵を抱えて雪上を滑降するシーン,ドングリを追うスクラットの動きなどは,きっと3D版では効果絶大なのだろうなと感じた(写真5)。3D上映してくれる試写会がなかったのが残念だが,時間があれば,先月と今月の3作品の3D版を映画館で見直して比較してみたい。  
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写真5 3D上映で効果が高そうなシーンも随所に
(C) 2009 TWENTIETH CENTURY FOX

 
     
  (画像は,O plus E誌掲載分に追加しています)  
   
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