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O plus E誌 2008年3月号掲載
 
    
 
その他の作品の短評
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
   ■『デイ・ウォッチ』:『ナイト・ウォッチ』の続編で,ロシア製アクション大作3部作の2作目に当たる。光と闇の対決を描くダーク・ファンタジーで,CG/VFXは満載だが,爆発系ばかりでかなり騒々しい。自国内では記録的ヒットとのことだが,このテーマで海外に進出し,ハリウッド映画と勝負するのは苦しい。何がしっくり来ないのかと考えたら,映像的にはそこそこでも,音楽のクオリティ,使い方がプアだった。
 ■『明日への遺言』 :大岡昇平の「ながい旅」を映画化した小泉尭史監督作品。第2次世界大戦中に名古屋空爆の米軍機搭乗員を処刑してB級戦犯となった元東海軍司令官・岡田資中将の軍事裁判を描き,「戦争」の意味を問い直す。映画の大半が法廷シーンで,ほぼ1人で被告人答弁を演じ切った藤田まことの熱演が光る。脚本も演技も直球勝負だ。まるで,クローザー・藤川球児の豪速球のように手元でホップしてきて,感動を誘う。メッセージ映画としての役割は十分だ。
 ■『4ヶ月,3週間と2日』:一体何だろうと興味をそそられる題だが,チャウシェスク独裁政権下の1980年代が舞台のルーマニア映画だ。ルームメイトの中絶手術に巻き込まれて奔走する女子大生が主人公で,カンヌ映画祭のパルムドール受賞作だけのことはある。緊迫感,リアリズムには感心するが,楽しいかと問われると否。一見の価値があるかと問われれば,勿論イエスだ。妊娠した女子学生のしたたかさには言葉もない。これが自分の娘ならと,親父族は戸惑うことだろう。
 ■『マイ・ブルーベリー・ナイツ』:こちらはカンヌ映画祭のオープニング作品で,都会派のスタイリッシュなレディース・ムービーだ。人気ジャズ・シンガーのノラ・ジョーンズの映画初主演作品で,失恋して旅に出る主人公を魅力的に演じている。美男の年長男(ジュード・ロウ)がしっかり彼女を見守っているというのが,いかにも女性に好都合な設定だが,旅の途中で出会う助演陣3人の人間描写が素晴らしい。脚本がいい。もちろん,ジャズ中心の音楽の選曲も秀逸だ。
 ■『ダージリン急行』:父親の死を機に心が離れていた3兄弟が,長男の呼びかけで集まって列車でインドを旅するという物語。大人になり切れない3人が起こす騒動,多くの出会いや再会は,コメディタッチでありながら思索的なテーマを含んでいる。91分とは思えぬ内容が濃いロードムービーで,自分がインドを旅して人生観を変えつつある気分になる。本編の前に短編『ホテル・シュバリエ』が付いているが,ナタリー・ポートマンの裸身が噂の的だ。
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