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O plus E誌 2007年7月号掲載
 
    
 
その他の作品の短評
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
   ■『フリーダム・ライターズ』:90年代半ば,人種間対立が渦巻く南加ロングビーチの高校に着任した新米女性教師が,日記をつけさせることで荒んだ生徒たちの心を開き,変わる勇気を与える物語。言わば米国版『学校』だ。展開も結末も学園ものの定型パターンだが,それでもやはり感動する。米国の社会的荒廃はこれほどかと驚く上に,これが実話だと聞いて,原作者の情熱と行動力に感心する。誰よりも,学級崩壊を嘆く日本の中高校教師にこそ,この映画を観て欲しい。
 ■『魔笛』:モーツァルト晩年の最高傑作オペラの映画化作品。監督は英国俳優のケネス・ブラナー。原作の舞台は古代エジプトだが,本作では第1次世界大戦前夜の欧州に翻案されている。世界最高峰のオペラ歌手の競演で音楽的には完全なオペラであり,慣れない観客がミュージカル映画として観るには本格的過ぎる。一方,映像的には当欄も驚くVFXのオンパレードで,少し落ち着きがない。この軽さ,バランスの悪さは,オペラ・ファンが納得しないのではと案じる。中途半端な力作だ。
     
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