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(注:本映画時評の評点は,上から,,,の順で,その中間にをつけています。) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
最後にやって来たアメコミ2作は,甲乙つけ難い力作 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「この夏真打ちは,最後にやってくる!!」というのが,配給会社が考え出したキャッチコピーだ。スーパー・ヒーローの中でも知名度No.1のスーパーマンが装いも新たに帰って来るとなれば,これくらいの表現は当然だろう。英雄の再映画化を取り上げるなら,対するマーヴェル・コミックスが生んだ英雄たち「X-MEN」シリーズの第3弾もまとめて語っておこう。米国での公開は逆順で,前者は独立記念日休暇,後者は5月末のメモリアル・デイ(戦没者追悼記念日)の週末という夏の2大ハイシーズンに公開され,いずれも期待通りの堂々たる興業成績を収めている。 「スーパーマン」と言えば,1938年にコミックとして生まれたが,人気を不動にしたのは50年代から60年代にかけての30分TV番組だった。「弾よりも速く,力は機関車よりも強く,高いビルディングもひとっ飛び」「空を見ろ! 鳥だ。ジェット機だ。スーパーマンだ!」のセリフは,当時の少年なら世界中誰でも知っていて,今でも暗記しているに違いない。 そのヒーロー作品が,大型娯楽作品として再映画化されたのは1978年のことで,『スター・ウォーズ』によく似たジョン・ウィリアムズのテーマ曲も,マーロン・ブランドが父親役で登場するのも話題になった。中でも驚きだったのは,主演のクリストファー・リーブはコミックから飛び出してきたかのような風貌で,これ以上のスーパーマン俳優はないとさえ思えた。彼が主演の長編シリーズは第4作『スーパーマン4/最強の敵』(87)まで作られた。後に彼は事故で下半身不随となり,2度とスーパーマンを演じることはなく,先年鬼籍の人となった。 |
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よくぞ選んだ,このスーパーマン後継者 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
なぜここまでの長い前置きを書いたかと言えば,この映画は,このスーパーマンの歴史と想い出を共有し,今でも前シリーズの映像が思い浮かんで来る観客(勿論,筆者もその1人)を対象に作られているからだ。主演は新人のブランドン・ラウス。よくぞまぁ,ここまで風貌も体形もぴったりの俳優を探してきたものだ。特に黒縁メガネのクラーク・ケントの時は,生き写しとしか言いようがない。まさに「スーパーマン リターンズ」だ。 監督は『X-MEN』シリーズを降板して本作に回ったブライアン・シンガー。当然彼も大の『スーパーマン』ファンである。お馴染みのヒロイン,ロイス・レインは『ビヨンド the シー〜 夢見るように歌えば〜』(04)のケイト・ボズワースが演じる。知的な現代風女性の設定なのだろうが,筆者には前シリーズのマーゴット・キダーの方が魅力的に思える。かつてジーン・ハックマンが演じた仇敵レックス・ルーサーを,スキン・ヘッドにしたケビン・スペイシーが演じる。これはハマリ役だ。 スーパーマンは,自分の生地クリプトン星の消滅を信じられず,5年間地球を離れて宇宙のはてまでその存在確認の旅をしていた。その間に,ロイスは結婚して1児をもうけ,レックス・ルーサーは裁判で無罪となり,再びスーパーマンの力を奪おうとする。という設定だが,スーパーマンの秘密が北極や水晶の棒に隠されていることなど,観客は前シリーズの1作目,2作目を観ていることを前提にしているかのようだ。 前シリーズ第1作も特殊視覚効果賞でオスカーを得ているが,この約30年間でVFXが非常に進歩したことは言うまでもない。以下,その要点である。 ■ タイトルバックの宇宙が素晴らしく,音楽もサラウンド方式の威力を感じさせる。まさに技術の進歩を実感できる美しいシーンだ。ここだけでも一見に値する。 ■ スーパーマンの飛行シーンは,勿論グリーンバックにワイヤー吊りで撮影されたものだ。背景のNYの街並みの描写の精緻さは,さすが『スパイダーマン』シリーズで腕を磨いたSony Pictures Imageworksだけのことはある(写真1)。他にRhythm & Hues,Framestore CFC,Frantic Filmsなどが参加している。 ■ 何でもCGというわけでなく,大がかりな撮影とデジタル技術がうまくミックスされているようだ。写真2のトウモロコシ畑のジャンプシーンは,クレーンカメラによる大がかりな宙吊り実写映像から,巧みにCG映像にすり替わっている。 ■ 一方,写真3の雲,ジェット機,シャトルは,全部CGだろう。写真4はCG製の背景に模型の船を合成したと見受けられる。写真5は文字通り模型の町で,映画中でも模型として扱われていたが,いいデキだった。 |
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これで完結かと思わせるほどの重厚さ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
もう1本のこれが3作目となる『X-MEN』は,3年おきの製作で,副題は「ファイナル ディシジョン」(原題はThe
Last Stand)である。 日米とも何やらこれが最終作と思わせる営業戦略だろうが,エンディングを観る限り,まだまだ続けても良い仕掛けになっている。 |
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