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O plus E誌 2006年4月号掲載
 
 
DOOM/ドゥー厶』
(ユニバーサル映画/UIP配給)
      (c)2005 Universal Studios  
  オフィシャルサイト[日本語][英語]    
  [4月1日より銀座シネパトス他全国東宝洋画系にて公開予定 ]   2006年2月20日 UIP試写室  
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  伝説のゲームの映画化は,定番のゾンビもの  
   映画の冒頭に登場するユニバーサル映画のロールはといえば,回転する地球から光が周りに飛び出すお馴染みの映像だ。ところが,何やらその様相が違う。地球ではなく,赤い星・火星が回転する映像からこの映画は始まった。既にお遊び感覚であることが分かる。
 その火星表面にどんどん近づいて行って見えるのが,殺風景な岸壁に組み込まれたユニオン宇宙社のオルドゥヴァイ研究所だった。その研究所からの緊急救援要請を受け,カリフォルニア海兵隊特殊作戦本部RRTSの精鋭8人が,状況把握と安全回復のために火星に向かう,というのが物語の始まりだ。ロケットや宇宙船で火星に向かうのではなく,ネバダ州にある基地から火星の古代都市に通じている通路「アーク」があり(写真1),分子操作装置で身体を分子レベルに分解して転送するのだという。いかにもゲーム感覚だが,この映画の原作は米国で1993年に発売された人気ゲームだ。
 
     
 
 
 
写真1 液状金属の球体が地球と火星を結ぶ通路
(C)2005 Universal Studios
 
     
 

 火星の研究所内で最終的進化を遂げた宇宙生命体が人間を襲うと設定は,映画のジャンルとしてはSFホラー・アクションに属する。おぞましいクリーチャーが登場して人間を襲うという点では典型的な「エイリアンもの」であり,宇宙生命体に襲われ,染色体異変を起こした人間が次々とエイリアン化する展開はお馴染みの「ゾンビもの」にも属する。派遣された隊員たちは1人ずつゾンビ化し,生き残ったヒーローがいかに敵を全滅させるかという定番の設定であるから,同種の過去の名作と比べて楽しむべき映画である。
 監督は,撮影監督出身のアンジェイ・バートコウィアクで,監督としては『ロミオ・マスト・ダイ』(00)『ブラック・ダイアモンド』(03)等を手がけている。主演は,RRTSの隊長サージ役に『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』(01)『スコーピオン・キング』(02)でスターになったプロレスラーの「ザ・ロック」,正義感の強い  隊員リーバーには『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでエオメル役を演じたカール・アーバン,リーバーの姉の研究員サマンサに『007/ダイ・アナザー・デイ』(02)でボンド・ガールに抜擢されたロザムンド・パイク,というキャスティングだ。大物俳優を使わず少しケチッた感は否めないが,ザ・ロックの演技力は一作毎に向上し,随分うまくなったなと感じる。精悍で意志の強い脇役でも存在感のある敵役でも,十分こなして行くだろう。
 人気ゲームが原作であるだけに,前半はそのゲーム感覚を全面に打ち出している。ゲームとしては新ジャンルのFPS = First-Person Shooting (1人称視点シューティング)を生み出したというので,中盤では何度かそれをなぞったシーンが登場する(写真2)。要するに,自分の銃が見え,体験者の視点でシューティングができるというのが特長だが,ファン・サービスだけであって,映画としては語るほどのシーンではない。
 SFでしかもエイリアン系だけあって,CG/VFXは随所に使われている。クリーチャーのデザインは老舗のStan Winston Studioで,ソンビ達はメイクのこともあればCGでも登場する。他のVFX担当は,Framestore CFC, Double Negativeという一流どころだが,レベルも使い方も特筆するほどのことはなかった。
 ゲーム感覚とはいえ,前半はセリフに重みのない淡々とした描き方で,テーマパークのプレショーのようなタッチだった。このまま終るのかと危惧したが,後半は少しドラマもあり,仲間が1人ずつ死んで行く緊迫感もある。ハリウッドの娯楽作品らしい出来映えになっている。
 この映画の比較対象はといえば,同じくゲーム素材の『トゥームレイダー』(01)か『バイオハザード』(02)だろうか。前者はアンジェリーナ・ジョリー,後者はミラ・ジョヴォヴィッチという主演女優の魅力で押しまくったのに対して,この映画はそこが弱い。ゲームの知名度だけでなく,映画としてのウリが欲しかった。

 
     
 
 
 
写真2 これが,ゲーム感覚の1人称視点
(C)2005 Universal Studios
 
     
 

 SFでしかもエイリアン系だけあって,CG/VFXは随所に使われている。クリーチャーのデザインは老舗のStan Winston Studioで,ソンビ達はメイクのこともあればCGでも登場する。他のVFX担当は,Framestore CFC, Double Negativeという一流どころだが,レベルも使い方も特筆するほどのことはなかった。
 ゲーム感覚とはいえ,前半はセリフに重みのない淡々とした描き方で,テーマパークのプレショーのようなタッチだった。このまま終るのかと危惧したが,後半は少しドラマもあり,仲間が1人ずつ死んで行く緊迫感もある。ハリウッドの娯楽作品らしい出来映えになっている。
 この映画の比較対象はといえば,同じくゲーム素材の『トゥームレイダー』(01)か『バイオハザード』(02)だろうか。前者はアンジェリーナ・ジョリー,後者はミラ・ジョヴォヴィッチという主演女優の魅力で押しまくったのに対して,この映画はそこが弱い。ゲームの知名度だけでなく,映画としてのウリが欲しかった。  

 
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