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O plus E誌 2006年4月号掲載
 
    
 
その他の作品の短評
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
   

 ■『南極物語』 : 高倉健,渡瀬恒彦,荻野目慶子主演で大ヒットした同名邦画(83)のハリウッド・リメイク作品。米国でもBox Office1位の好スタートを切った。南極の自然はもうちょっと過酷でも良かったと思うが,世界のファミリー市場相手のディスニー映画なら,こういう甘味たっぷりの味付けになるのだろう。犬達が生存している結末は皆分かっているが,それでも思わず涙する。敵役の獰猛な豹アザラシは,SW Digital社製のCGとアニマトロニクスの併用だが,VFXの出番は多くない。南極に見立てたカナダ,グリーンランド,ノルウェーでのロケの映像が美しい。
 ■『SPIRIT』: 実在の武術家・霍元甲の波乱の生涯を描いた格闘技巨編。過去のどの作品よりもカンフー・アクションの質は高く,ジェット・リーの武術能力の高さに感心する。ついにブルース・リーを超えたかと思わせる代表作だ。特訓を受けて最終対戦相手を演じた中村獅童の健闘も光っていたが,貫録が違う。
 ■『ファイヤーウォール』: 銀行のコンピュータ・セキュリティ・システムの専門家の家族が監禁され,設計者自身がシステムに侵入して1億ドルを盗み出すことを強盗団に迫られる。ハリソン・フォードが知性と勇気溢れる良き父親役を演じる定番のエンターテインメントを期待して観るなら,正解だ。アイデアは現代的だが,それ以上のものを期待してはいけない。
 ■『寝ずの番』 : 日本映画の祖マキノ省三を祖父に,マキノ雅弘を叔父にもつ津川雅彦が,「マキノ雅彦」と名乗っての初監督作品だ。題材として「中島らも」原作の短編3部作を選び,上方落語界の通夜の模様を描くのは,故伊丹十三の監督デビュー作『お葬式』(84)を意識してのことだろう。なるほど,これは下ネタ満載の関西版『お葬式』だ。芸達者な出演者たちの繰り広げる人間模様は抱腹絶倒で,いやぁ楽しい。これは大人の笑いだ。実兄長門裕之が演じる師匠の死体を担いでの「かんかんのう」のシーンは圧巻だ。この映画(のセリフ)は絶対にテレビでは放映できないだろうから,今のうちに映画館で観ておくことをお勧めする。
 ■『連理の枝』: 『冬のソナタ』のチェ・ジウ主演の最新作。昨年の秋,ヨン様の『四月の雪』を評したので,釣り合い上こちらも観に行ったが,やはり口に合わなかった。駆け出しの男優(チョ・ハンソン)が相手では,貫録が違って恋人同士に見えない。涙は嘘泣き,台本棒読みじゃ,どこが悲恋かと白ける。絵空事の安手の恋愛劇でも,それを楽しんでいる観客が沢山いるなら文句をつける筋合いはないが……。この程度の映画の連発なら,韓流ブームもそろそろ終わりかという予感がする。
 ■『ニュー・ワールド』:17世紀初頭の入植地ヴァージニアでの英国人大尉(コリン・ファレル)と原住民の王の娘ポカホンタスの愛の物語。ディズニー・アニメでも描かれた素材だが,リアル過ぎる映像は夢がなく,もの悲しくつらい。ポカホンタスを演じる15歳の新人クオリアンカ・キルヒャーの存在感が印象的だ。

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