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O plus E誌 2005年4月号掲載
 
 
『フライト・オブ・フェニックス』
(20世紀フォックス映画)
      (C)2004 Twenties Centuries Fox  
 
  オフィシャルサイト[日本語][英語]   2005年3月5日 IMPホール(大阪)  
  [4月9日より有楽町スバル座他全国東宝洋画系にて公開予定]      
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  墜落シーンはスゴイが,人間描写はちょっと弱い  
 

 こちらも単純なカタカナ表記で,結末も容易に想像できるタイプの映画だが,同工異曲の二番煎じでなく,はっきりとこちらはリメイクを表明している。元はジェームズ・スチュアート主演の「飛べ!フェニックス」 (65)だというが,どうしてこの題のままでは行けないのだろう? 古く感じるとでも言うのだろうか?
 石油採掘現場からの引き上げ中に,砂嵐に遭遇した輸送機がゴビ砂漠の真只中に緊急着陸する。生き残った 10人が,壊れた飛行機の部品を集めて新しい飛行機に組み立て,脱出を試みるというサバイバル・アドベンチャーものだ。2つのプロペラ・エンジンと2つの尾部をもつツインブーム機C-119だから,その片方を利用して単発機を作れるという発想だ。
 主演の操縦士フランクは,なるほど『裏窓』 (54)のジェームズ・スチュアートなら似合っていた役柄だと思うが,『デイ・アフター・トゥモロー』(03年7月号)のデニス・クエイドも悪くないキャスティングだ。監督は,『エネミー・ライン』(02年3月号)で監督デビューしたジョン・ムーア。生存者10人中の紅一点ケリー役には,『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』『同/王の帰還』で,王女エオウィンを演じたミランダ・オットーを配した。新しい飛行機を作ることを提案する設計技師のエリオット役は,数多くの作品で見かけるジョヴァンニ・リビシだが,個性的で重要な役柄で,当分はこの映画での役が印象が残ることだろう。
 この映画も結末は,ほぼ完全に見えている。誰でも想像できる結末に向けて,途中どんなドラマが展開するか,誰が死んで行って誰が生き残るかに興味は絞られる。その点では,『レーシング・ストライプス』と同様,この映画もドラマがやや弱く,極限状態での人間模様をもっと描いてもらいたかったところだ。正直なところ,このレベルの物語展開は,少し退屈で 1時間55分を長く感じてしまう。結末は分かっているのだから,さっさとそのエンディングの飛翔に向けて畳みかけて欲しい。着想は奇抜なのだから,10分ほど縮め,もっとハイテンポで一気にアクションの連続で突っ走った方が,全体が引き締まったと思う。
 VFXの主担当はCafe FX社で,Digital DomainやThe Farm West社がサブを務める。そのCG/VFXのパワーは,前半の砂嵐の描写と,その中に輸送機が巻き込まれ,砂漠に不時着するまでのシーンに集中している。上空や遠くから観たシーンは,砂嵐も飛行機もCGだろう(写真1)。 地上に近づくと模型とSFXが加わり,墜落寸前の大半は実機にすり替わる(写真2)。『キャスト・アウェイ』(01年3月号)の墜落シーンも迫力があったが,この映画も負けてはいない。この墜落までだけでも観賞に値する。
 1950〜60年代に活躍した軍用輸送機C-119を世界中から4機集めて来て,これを分解して砂漠の撮影現場に運んだという。この徹底ぶりは,ハリウッドの真骨頂だ。新しく組み上げたフェニックス号( 写真3)が飛べるというのは映画の中だけでの話で,実際にはそうは行かない。ただし,美術部門が作り上げたアルミ塊の飛行機は,3タイプあり,1つは牽引車に引かれて時速40マイル(64km)で動かせる代物だ。これが空飛ぶシーンは,勿論CGか模型だ。

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写真1 砂嵐の上空シーンはCGか,模型か…
 
写真2 墜落シーンはこの映画一番の見どころ
 
 
(c) Twentieth Century Fox. All Rights Reserved
 
 
 
   
写真3 これが組み上がった単発のフェニックス号
(c) Twentieth Century Fox. All Rights Reserved
 
   
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