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国内盤が発売されているが,輸入盤と同じ全17曲収録で,ボーナストラックはない。ブロードウェイ・ミュージカル・キャストのアルバムは,グラミー賞のベストミュージカルアルバム賞を得ている27曲だが,今回の映画の挿入歌は,かなり曲数が絞り込まれている。映画では物語の演出も重視されるため,歌唱部に割ける長さに制約があるためだ。CDとしては,舞台版が2枚組で約103分,映画版は1枚に収まる約71分となっている。ただし,音質や編曲は,今回のサントラ盤が数段上だと感じた。CDで単純に聴き比べてみても,その差は歴然である。 ラテン系のダンス音楽中心だが,ラップやヒップホップも効果的に挿入されている。以下が筆者の選んだBest 4である。 ① Breathe(3曲目):街を歩きながらニーナが歌う曲。彼女のソロとコーラスの掛け合いが秀逸だ。この曲が流れる間に,ワシントン・ハイツの街並みが紹介される。 ② Paciencia Y Fe(11曲目): 臨終のアブエラが,人生を回想しながら,街や地下鉄構内を歩きながら歌う幻想的なシーンで登場する。映画だと老女の容貌に影響されるが,サントラ盤で聴くとOlga Meredizの声が若々しく感じる。ブロードウェイの舞台から引き続き起用されているだけあって,素晴らしい歌唱力だ。 ③ When The Sun Goes Down(14曲目):ベニーとニーナのデュエット曲で,ビルの外壁をつたって踊るVFXシーンで流れる。題名通り,夕暮れ時のシーンで歌われるが,バックの夕陽が美しかった。 ④ Champagne(15曲目):こちらはウスナビとヴァネッサが屋内で歌うデュエット曲。バック演奏のアレンジが印象的で,ピアノ,ギター,ドラムスのミキシング,編曲が絶妙だ。筆者はこの映画の試写を2度見る機会を得たが,異なる試写室であった。いずれも優れた音響設備のはずが,この曲でその音質の差を強く感じた。この映画は,絶対にサウンド環境の優れたシアターで観るべきだ。 | ||||||||||||||||||||
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映画音楽としてはユニークな曲調で,ヴェネチア国際映画祭のベストサウンドトラックSTARS賞を得ている。CDを探したのだが,国内版は元より,輸入盤もなかった。海外でも,ネット経由でダウンロードできるオンライン販売だけのようだ。国内では,iTunes,Amazon, Spotify等から入手でき,YouTubeで聴くこともできる。いずれも10曲入り1種類だけで,Deluxe版はない。 音楽担当として,イタリアの音楽ユニットGatto Ciliegia Contro Il Grande Freddoと米国のパンクロック・バンドDowntown Boysが配されていて,各々5曲ずつを提供している。 前者はすべて歌なしの器楽曲で,ショパンやリストのクラシック曲を現代風のアレンジで聴かせる。“Campanella On The Beach”はリストの「ラ・カンパネッラ『パガニーニによる大練習曲』S.140 第3番 嬰ト短調」を,“Eroica Miss Marx”はショパンの「ポロネーズ第6番 変イ長調 作品53」を大胆にアレンジしている。 後者のDowntown Boysの演奏曲はすべて歌入りだが,注目曲は仏語で歌われる“L'Internationale”だ。社会主義,共産主義の象徴となる「革命歌」で,第2次世界大戦前のソ連の国歌であったという。日本国内でも,かつてメーデーの参加者が声を揃えて歌っていた「労働歌」である(今でも歌っているのだろうか?)。19世紀フランスのパリ・コミューンで生まれたので,映画中でもフランス語で歌われていたが,パンクロックでシャウトされると全く労働歌とは別の曲に聞こえる。 映画の最後にエリノアが踊り狂っている時に流れていたのは,“Dancing In The Dark”だ。Bruce Springsteenの1984年のヒット曲のパンクカヴァー版である。 | ||||||||||||||||||||
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(上記は,O plus E誌掲載分に加筆しています) | ||||||||||||||||||||
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