head
titlehome略歴表彰学協会等委員会歴主要編著書論文・解説コンピュータイメージフロンティア
| INDEX | 年間ベスト5 | DVD特典映像ガイド | SFXビデオ観賞室 | SFX/VFX映画時評 |
title
 
O plus E誌 2007年11月号掲載
 
    
 
その他の作品の短評
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
   ■『インベージョン』:繁殖力の強い宇宙病原菌に冒され,別人格化する人類の危機を描く,4度目の映画化作品。特殊メイクはないが,いわゆる典型的なゾンビもの範疇に入る。主演のニコール・キッドマンは相変わらず綺麗だが,相手役のダニエル・クレイグは新007ほどの切れはなく不発に終わっている。レム睡眠時に増殖するウィルス細胞のCG描写は印象に残った。
 ■『ブレイブ ワン』:ジョディ・フォスターが製作総指揮&主演の作品。婚約者を暴漢に殺された女性が,犯罪者たちを次々と殺戮する処刑人と化す。悪人を私的に抹殺する爽快さは「必殺仕事人」や「デスノート」を思い出させるが,主人公の精神的葛藤の描写はかなり細やかだ。彼女の犯行を疑う刑事役のテレンス・ハワードの演技は,デンゼル・ワシントンに似過ぎているのが欠点で,もう少し個性が欲しい。「ラスト15分,衝撃の結末」というが,さほど衝撃でもない。
 ■『オリヲン座からの招待状』:直木賞受賞作「鉄道員」の単行本/文庫本に収録の浅田次郎作の短編の映画化で,「オリヲン座」というのは古い映画館の名称だ。主演は宮沢りえと加瀬亮だが,出演者の大半の京都弁が下手クソで聞くに耐えない。映画への思い入れの描き方も今イチだし,浅田ワールドならもっと泣かせてくれなくては困る。この短編を引き伸ばして,2時間弱の映画に仕立てようとすることに無理がある。
 ■『鳳凰 わが愛』:日中共同製作。主演の中井貴一は全編中国語の台詞を話す。1920年代から戦後までの中国が舞台で,刑務所内で心を通わせる男女のまっとうなラブ・ストーリーだ。囚人仲間のリアンとの交流は『ショーシャンクの空に』のティム・ロビンスとモーガン・フリーマンを彷彿とさせる。鳳(雌)が凰(雄)を求めるという不死鳥の愛,所々に登場する鳳凰の図は印象深いが,角川映画の宣伝臭いのが玉に瑕だ。S.E.N.S.の音楽が心に染みる。
 ■『4分間のピアニスト』:ドイツのアカデミー賞受賞作品。題名だけで,感動作らしいイメージが湧いてくる。刑務所でピアノを教える老女性教師と殺人犯で収容中の天才ピアニストという設定が興味深い。若い荒んだ心をなだめ,共にコンテストでの優勝をめざして特別レッスンが続く,という展開は定番の物語だが,語り口にはかなり癖がある。ラストの4分間の演奏も驚きだ。老若両女優の演技は悪くないので,もう少し素直な演出の方が,感動は大きかったかと思う。
 ■『ディスタービア』:現代版『裏窓』を狙った青春映画で,iPodや携帯電話など最新電子機器が活躍する半面,後半は本格的なスリラー&ホラーになっている。主演は『トランスフォーマー』で売り出したシャイア・ラブーフ。グレース・ケリーには負けるが,ヒロインのサラ・ローマーはかなりの美形だし,殺人鬼を演じるデヴィッド・モースはレイモンド・バー以上の迫力だ。秋の夜の娯楽作品としてオススメできる。
 ■『やじきた道中 てれすこ』:古典落語をベースにした時代もの人情喜劇。46年ぶり主演の中村勘三郎の弥次さんは,演技レベルが違い過ぎて浮いている。喜多さんの柄本明だけが必死で食い下がるが,他はついて行けない。江戸情緒やほのぼのとした日本の田園風景はよく描かれているが,ただそれだけの映画だ。
  ()  
   
  Page Top  
  sen  
 
back index next
 
     
<>br