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O plus E誌 2005年1月号掲載
 
 
エイリアン vs. プレデター
(20世紀フォックス映画)
 
      (C)2004 Twentieth Century Fox  
  オフィシャルサイト[日本語][英語]   2004年11月18日 東映試写室(大阪)
 
  [12月18日より日劇3ほか全国東宝洋画系にて公開中]      
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  CGは控え目というが,どうしてどうして  
    題名を見ただけで,2大モンスターの対決パニック映画だと誰でも分かる。『AVP』と略すらしい。20世紀フォックスが誇る異星人怪物シリーズで,『エイリアン』は過去4作,『プレデター』は2作が製作されている。この種の企画に心温まるヒューマン・ドラマは誰も期待していないから,マニアにとってお馴染の特技を発揮しながら,どこで戦いどちらが勝つかに興味は絞られる。
 この映画のキャッチコピーは「どちらが勝っても…人類に未来はない」で,原文は"Whoever wins... we lose"である。初代『エイリアン』(79)の「宇宙では,あなたの悲鳴は誰にも聞こえない」は名コピーだったが,これもなかなか優れたコピーだ。では,痛み分け,共倒れで両方絶滅に持ち込んで一件落着だろうと考えるのは早計で,ことはそう単純ではない。その興味をかき立てるため,配給会社はホームページ上でどちらが勝つかの投票を行なうという広報作戦を展開している。
 コミック・ヒーロー対決の『スーパーマン vs. バットマン』の企画が持ち上がっている。それでこちらも負けじと先に製作したのかと思いきや,「AVP」という企画は随分以前からあり,先にコミックや小説の形で実現されている。カプコン製のTVゲーム(「エリプレ」というらしい)も人気が高い。本家の映画で対決させるには,ハイレベルの脚本が必要だが,10年以上満足の行くものが上がって来なかったそうだ。
 この映画の脚本・監督は,『バイオハザード』(02)でスマッシュ・ヒットを飛ばしたポール・W・S・アンダーソン。なるほど彼なら適役だ。『バイオハザードII』(04年9月号)を監督をしないでどうしたのかと思っていたら,この大作にご執心だったわけだ。
 てっきり宇宙で対決し,地球がその影響を被るのかと思ったが,ちょっと違った。南極大陸の地下600mから古代のピラピッドが発見され,ウェイランド社から派遣された探検隊が地中に向かうが,そこに眠っていたエイリアン・クイーンが産卵を始める。一方,宇宙空間の母船から地表に降下した3体のプレデターが捕鯨基地の人間たちを殺戮し始め,やがて両怪物の死闘に巻き込まれて,人間は1人また1人と殺されて行くという設定だ。
 主演の女性探検家レックスにサナ・レイサン,相手役の考古学者セバスチャンにラウル・ボヴァと聞いてもあまり馴染はないだろう。あくまで2大モンスターが主役で,殺される人間役に人気スターは不要ということか。設定は『エイリアン』第1作の150年前というが,リプリーの曽祖母役あたりでいいから,シガニー・ウィーバーにカメオ出演してもらいたかったところだ。
 前半はちょっとモタモタしていて退屈だが,後半予想通りに一気に盛り上がる。ちょっと登場し過ぎと思うくらいエイリアンもプレデターも姿を見せる。アクションの迫力はあるが,姿の見えない恐怖感は全くない。
 SFX,VFXはというと,エイリアン・フリークであったアンダーソン監督のこだわりにより,極力CG映像を避け,アニマトロニクスやパペットを多用してオリジナル・テイストを大切にしたという(写真1)。そう聞いた時には,プレデターは俳優がボディスーツを着込んで演技がほとんどなのは分かるが(写真2),エイリアンはCGを活用した方が得策ではないかと感じた。エイリアン・クイーンの鞭のようにしなる尻尾や激しく動き回るシーンのみCGで強化したいうが,実際のところ,この映画でのCG映像の利用は公称以上に多いと見た。エンドクレジットを観ても,Cinesite, Framestore CFC, Moving Picture Co., Double Negativeと今絶好調の英国の主要VFXスタジオの名があり,その人数からしても決して少なくはない。出来映えも最近の水準を十分クリアしていて,アニマトロニクスとの見分けはつかない。
 
     
 

写真1 このエイリアンはアニマトロニクスか?

  写真2  プレデターはほぼすべてボディスーツで演技  
 
 
(C)2004 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved
 
     
   では,なぜ評点はそう高くないかと言えば,期待したほどの脚本ではなく,少し結末へのもって行き方が甘過ぎるからだ。それを語る訳には行かないが,最後のシーンはまだまだ続編があることを示唆している。
 話題作りの投票結果は,以下が中間結果である。
 「エイリアン」 vs.「 プレデター」=    
   4,644票: 7,031票(04.11.18現在)    
   7,379票:11,158票(04.11.27現在)    
   23.390票:38,229票(04.12.12現在)  
国内では,意外にも知名度が高くない「プレデター」の圧勝だが,米国内では「3,000,659票:2,761,927票」のように接戦で,「エイリアン」の方が上で,得票総数もケタ違いだ。日本人は判官びいきなのだろうか。
  これはシリーズのファンのための映画で,思わず前作を観たくなること請け合いだ。筆者もDVDを全作品購入し,本稿を書く前に『エイリアン』『エイリアン2』(86)『プレデター』(87)を観てしまった。
 
          
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