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DVD特典映像ガイド
   
O plus E誌 2005年1月号掲載
   
  『マスター・アンド・コマンダー』
 Disc2には,何と約4時間分の映像がある。マルチカメラ撮影(70分)など冗長なものもあるが,VFX解説は充実している。「視覚効果のナナフシ」と題する約30分の項目には,ILMの模型制作とCG技術の粋が紹介されていて,最先端のテクニックを堪能できる。実物の船,模型,CGの3種類のうち,思ったよりもCG表現が多かった。CGアーティストを船に乗せて実体験させ,実物の船の帆の貼り方,ロープ操作法などもCGモデルに反映させているのに感心した。嵐の海はCG製というより本物の嵐の映像の合成で,逆回しや『パーフェクト ストーム』時に撮影した素材も活用している。霧,煙,戦いの破片の表現にも進歩が見られる。ガラパゴス等のは大体予想通りで,動物の一部はCGだが,大半は現地撮影の素材を背景や動物を切り出して利用している。
 
   
  『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』
 これは,コレクターズ・エディション」と称する2枚組で,メイキングクリップ集は6編収録されている。「アラゴルンの運命」(3.5分)「ミナスティリス:ゴンドールの都」(約3分)などは,役柄や場所の解説に過ぎない。メイキングらしいのは「馬の代役」(約4.5分)くらいで,CG製の馬が登場する。モーション・キャプチャも利用しているが,ナズグルに捕まれたり,倒れたり,飛んだりは手付けのアニメーションだ。
 シリーズ3作品とも視覚効果の解説がほとんどないのが不満だったが,それは別売のSpecial Extended Edition(4枚組,各10,290円)にしっかり収録されていた。マニアなら財布の紐を緩めることを当て込んだビジネス戦略だ。『王の帰還』のSEEは,2004年末の発売予定が2005年2月にずれ込んでしまったので,発売されたら3セットまとめて解説しよう。
 
   
  『コールド マウンテン』
 メイキング映像1本で1時間14分もあり,全部通して観る余裕はなかった。VFXや撮影に関する解説があるのか知れないが,探せなかった。区切って見出しを付けてくればいいのに不親切だ。DVD製作者の怠慢だ。
 「言葉と音楽でつづる『コールド マウンテン』」も1時間32分のショーで長い。ミンゲラ監督と編集のウォルター・マーチによる音声解説は丁寧で,好感がもてる。彼は詩人であり,画家だ。時間がたっぷりあって,ミンゲラ世界に浸りたい人にはいいだろう。
 
   
  『ホーンテッド・マンション』
 1枚もの。映画はつまらなかったが,CGメイキングでの名誉挽回を期待した。全体12.5分のメイキング映像中で,リック・ベイカーが担当した特殊メイクメイクの話,VFX関連で水晶球中の登場するマダム・リオッタ,エディ・マーフィの回りを部屋がグルグル回るシーンのメイキング解説がある。まずまずだ。「ゴーストの作り方」(約11分)もそこそこ良く出来た映像資料だ。
 
   
  『トロイ』
 2枚組。最近やたら長い特典映像の中で,このDisc2は1時間余。これで十分だ。千隻の船,5万人の戦士を作る『トロイ:特殊効果の旅』(約11分)は期待通りの充実した内容で必見だ。PreVizの様子や音響効果も良く分かる。時代考証を経て大道具を作る『遺跡から映画へ』(約14分),戦闘シーンのメイキングの『トロイのバトル』(約17分)も見応えがある。
 
   
  『ウォルター少年と,夏の休日』
 映画もDVDも大人しい。1枚もので,「ビジュアル・エフェクト(特殊効果)」と称した項目があったので買ってしまったが,たった3分余で,VFXと思しきシーンが数カットあるだけで何の解説もなかった。回想シーンの昔の風景,簡単なマット画,ブルーバック程度で,これで特典映像とは馬鹿にするなと言いたくなる。せめて,老ライオンの調教シーンくらいは欲しかった。
 
   
  『デイ・アフター・トゥモロー』
 このDisc2の特典映像も約4時間ある。何が入っているのかと思ったら,科学ドキュメンタリー「サイエンス・オブ・トゥモロー」に1時間強の映像が2本もあった。これはオリジナル映像には見えないから,映画にタイアップしたTV番組だったのだろうか?
 「限界への挑戦‥視覚効果」(約30分)には,冒頭の氷河,宇宙からの巨大雲,竜巻とヘリの墜落などの製作過程があり,語りは丁寧だ。望むらくは,項目に分け,もう少し色気のある美人に案内して欲しかった。
 NY市のCG化は,3カ月かけてビルをLIDARシステムでスキャンし,5万枚以上のテクスチャー写真を撮ったという。やることが徹底している。押し寄せる津波のシミュレーションも参考になる。狼の担当はILMで,本物をモーション・キャプチャしたとはいえ,ほぼ全部CGだったとは驚いた。ビル群が凍りつくシーンもILM担当で,これもいい出来映えだ。
 
   
 
   
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