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DVD特典映像ガイド
   
O plus E誌 2004年11月号掲載
 最近特典映像ディスク付きの2枚組と廉価版の1枚ものが同時発売されるケースも増えているが,ここで取り上げるのはもちろん前者である。  
   
  『ハルク』
 VFX解説は数ヶ所にあり,音楽のメイキングまで制作技術全般が含まれる良くできた特典ディスクだ。
 「メイキング」中の「実写とCGの合成」(約5.5分)と「ILMのVFX技術」(約6分)はいずれも大満足で,さすがILMと感じさせる。「ドッグファイト」(約10分)は,ハルクが犬と戦うシーンの企画会議の模様,コスト削減策の方法,御大デニス・ミューレンの解説,アン・リー監督自身がMCを試用しての迫真の演技まで,サービス満点だ。犬にもMCスーツを着せていて,ここまでCGで作っていたのかと再認識した。
 「ハルクの変遷」(約16分)には,コミック自体の進歩,TVシリーズ,アニメ版まで解説されていて面白い。その最後の5分間に,超人になる科学的新解釈,模型からCGIへの展開なども登場する。多用された「マルチ・イメージ」(スプリット・スクリーン)については「編集技術」(5.5分)で語られている。コミックのコマ割りのイメージだそうだ。担当者や監督はかなり楽しんだようだが,これは観客には少々うるさく感じられた。
 
   
  『ターミネーター3』
 通常のメイキング10数分の他に「T3ビジュアル・エフェクト・ラボ」(約50分)があり,5種類+1種類のシーンに関して,各々挑戦課題,検討,解決法,完成版が示されていて丁寧だ。特にCGクレーン車の転覆シーン,トイレの中での格闘,シュワの顔のすげ替えなどのメイキングは一見の価値ありだ。ただし,メイキングのプロセス解説としては先月の『ザ・コア』に負ける。
 「オリジナルVFXクリエイト」は,利用者が条件を選んで完成画面を作るという趣向だ。完成版を切り替えてるだけだが,比べさせてくれるサービスが嬉しい。スカイネットDBやシリーズ年表なども入っているが,こちらは,マニア向きには今イチのレベルだった。
 
   
  『パイレーツ・オブ・カリビアン』
 「メイキング」の9つの項目の内1つが「視覚効果」で約6分ある。この映画のVFXのポイントは,骸骨からミイラの制作過程で,確かに新技術だと理解できる。「帆船」や「剣とアクション」も,CGには関係ないが楽しめる。「絵コンテから完成までのプロセス」(約6.5分)では,CG,MCの使い方が良く分かる。一見の価値あり。別途「撮影の舞台裏」では,5つのシーンの撮影風景があって,メイキング解説としては中の上レベルだ。
 
   
  『バッドボーイズ2バッド』
 Disc2の「メイキング・ドキュメンタリー集」に「スタント」(9分余)と「視覚効果」(18分半)がある。前者は,クルマを破壊しながらの撮影シーンを楽しませてくれるが,むしろ後述の「シークエンスの解体」や「プロダクション・ダイヤリー集」の方が詳しい。
 「視覚効果」では,VFXスーパバイザのロブ・レガートが弾丸,ビルの通気口のシーン等々をじっくり解説してくれる。カーチェイスでのCG製フェラーリのメイキングが見ものだ。クスリのアップ,ドアや扇風機などは,言われなければまずCGとは気づかない。
 「シークエンスの解体」は,6シーンを脚本,絵コンテ,撮影風景,本編を見比べる。「プロダクション・ダイヤリー集」は20項目もあり,製作過程,製作秘話が満載だ。映画人志望ならじっくり見て堪能しても良いが,筆者には全部観る時間的余裕はなかった。
 
   
  『ファインディング・ニモ』
 Disc2にあるメイキング(約25分)は,主要スタッフがスキューバダイビングの免許を取りに行って,本物の海中を眺めることから始まる。数カ月で実写とCGの区別がつかないものができ,むしろ作り物に見せる工夫,デフォルメして表情豊かにする工夫が面白い。犬の表情を真似ている。アニメ映画の水中照明表現だけで30〜40人もの人手がかかっているというのも驚きだ。
 少年がPixar社を訪ねる「ピクサー・スタジオ・ツアー」でアニメ制作過程がよく分かる。このスタジオはホントに楽しそうだ。自信から来る余裕と遊び心に溢れている。
 「素晴らしきサンゴ礁」こういうおまけも面白いし,往年の短編『ニックナック』も入っていて,いま改めてJ・ラセターが解説をつけているのも興味深い。
 
   
  『タイムライン』
 「メイキング」「タイムラインへの旅〜撮影の舞台裏」「時空を超えて〜製作の舞台裏」等で1時間以上の特典映像がある。通常見かけない撮影現場での諸注意(エキストラへの指示,事故に備えてのヘリの待機等)も見せてくれるが,VFX解説はほとんどない。もともと本編でも目ぼしい場面はなかったのだが,ILM担当なので気付かなかったシーンの種明かしがあるかと期待したが,やはりなかった。この監督,センスがいかにも古い。メイキングまでつまらない。
 
   
 
   
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