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DVD特典映像ガイド
   
O plus E誌 2008年8月号掲載
   
  『ベオウルフ』
 2枚組。映画自体も凄かったが,この特典映像の充実度も凄い。新しい技術で新しい映像作りを試そうというロバート・ゼメキス監督の熱気が伝わってくる。一流のスタッフが集まり,金をかけて,壮大な実験を試みている。映画人ならここから学ぶべきものが多々あるはずだ。 「原作から映画へ」(5分余)「メイキング〜撮影への道のり〜」(24分弱)は,それぞれの長さで完結したメイキング映像だが,それとは別の「スタッフ&キャストの奮戦記」はもっと凄い。数分ずつ10項目もあり,MoCapスタジオの規模とMoCap用カメラの数,3Dスキャナーの精度向上等に感心する。「小道具」までワイヤーフレーム状に作っているのはご愛嬌だ。他では「恐るべき魔物たち」は怪物の造形,「映画にみる古典の世界」は主に美術と時代考証の話だ。「ベオウルフを再現」では,主人公ベオウルフとそれを演じた俳優レイ・ウィンストンの体形がまるで違っていることに驚く。CG技術は,こういう風にも映画を変えてしまうのだ。
 
   
  『スターダスト』
 1枚もの。削除シーン,NG集,予告編の他には「メイキング」(30分弱)があるだけだが,このメイキングの語り口が実にユニークだ。まるで,その制作過程が物語のようだ。語りながらも,画面ではどこがCGなのか等が示され,制作の手順もよく分かる.タブル画面も多用して,短い割に中身は濃い。見ていて楽しい。この映画自体のテンポの良さ,語りのうまさに通じるものがある。やっぱり,作り手のセンスがいいと,本編もメイキングも充実しているなと感じた1枚だった。 
 
   
  『サーフズ・アップ』
  1枚ものだが,特典はバラエティに富んでいて,中身も濃い。「アーノルドのサーフィナリー」(4分余)は,可愛い子ペンギンのサーフィン入門。楽しくてためになる。「メイキング・ドキュメンタリー」集は,ほぼ昨年のSIGGRAPHで聞いた話だ。手持ちカメラ風の動きの付加,様々な波の表現,ペンギンやサーファーの観察と分析など,いかに丁寧に作れているかが分かる。「サーフィンのストーリーボードからサーフボードへ」は,このCGアニメの制作過程で,マルチアングルでも楽しめる。別途「CG映像ができるまで」(5分余)があって,少し重複があるが,これも自己完結型のクリップとして良くできている。アカデミー賞短編アニメーション部門でオスカーを得た受賞作『チャブチャブズ』と関連の他1編が付録で入っているのも嬉しい。面白いぞ。
 
   
  『ビー・ムービー』
 1枚もの。同じフルCGアニメでも,上記2作とは充実度で格段の差がある。「ビー・ムービーを支える技術」(7分半)がいわゆるメイキングで,題名からは最新技術解説を期待したが,さほど技術中心でなく,外れだった。「ミツバチ・バリーにインタビュー」や「ドリームワークス アニメーション・キッズ」は,CGを使った教育系ソフトで,大人には面白くない。他は未公開シーンやミュージックビデオ等程度だ。もっと頑張れ!
 
   
  『テラビシアにかける橋』
 1枚もの。特典映像の種類も少なく,全体的に大人しい。ケースに書いてある「豪華特典映像」は言い過ぎだ。「公式ガイド」「お宝未公開映像」「メイキング」がそれぞれ2つずつあって,「メイキングその2:デジタル特殊効果について」(6分弱)だけに期待をかけた。クリーチャーデザイン,PreVis,CG合成の過程等をそれなりに含んではいるが,やや物足りない。DVD特典映像にもコストをかけられないのが,低予算映画の限界だろうか。作品がいいだけに,その制作記録をきちんと残せていないのが惜しまれる。
 
   
  『ナショナル・トレジャー2/リンカーン暗殺者の日記』
 対する2枚組のこちらは,ボリュームも予算のかけかけ方もたっぷりだ。その割にメニューが見にくく,デザイン的には感心しない。特典映像は豊富で,各10分前後あるが,内容はいずれもやや冗長だ。 「こだわりのロケーション撮影」「ロンドン市街のカーチェイス」は題名から予想できる範囲のもので,ロケハンや撮影の様子だ。「ゴールデンサークル騎士団」「大統領の秘密の記録」は,歴史的背景や時代考証を含む教養講座の趣きである。出色なのは,「洞窟セットとアクション・シーン」「黄金都市が出来るまで」の2編で,いずれもセットは大掛かり,美術は一流で,金のかけ方が違う。前者は特撮満載で特大ジンバルが印象的だ。後者はCG合成に関しても語られている。  別の意味で感心したのは「議会図書館の内側」だ。歴史の浅い国がここまで豪華な図書館を持ち得たこと,その内部を平気で映画撮影のために使わせてくれることも,いかにもアメリカらしい。公共サービスの広報用だと割り切っているのだろう。
 
   
 
   
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