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○藤重 秀斗(ふじしげ しゅうと)さん
 【現在,修士2回生.川崎重工業に就職内定,兵庫県立明石城西高校出身】

◆藤重さんへの特別インタビュアは,RM2Cの相談役 田村秀行先生[元メディア情報学科教授.現,総合科学技術研究機構(客員)教授]です.

(田村)RM2Cで明石市出身者は初めてのはずですが,出身高校から立命館にはかなり来ているの?

 立命館大学に来る人は少ないですね.関西大学や関西学院大学に行く人の方がずっと多く入学しています.OICができたので,今は少し増えているかもしれません.

(田村)2024年度に情報理工学部や映像学部が移ると,もう少し増えるでしょう.藤重君が立命館の情報理工を選んだ理由は何ですか?

 AIが話題になり,「情報技術の発達で,人間に仕事がAIに奪われる」といった話を聞くようになって,それなら自分がその技術を作る側になってやろうと思ったのです.
 立命館を選んだのは,学部の学生定員が多かったからです.同級生が沢山いるなら,私のようなプログラミング初心者も多いはずで,何かとやりやすいかと・・・.

藤重さん

 立命館を選んだのは,学部の学生定員が多かったからです.同級生が沢山いるなら,私のようなプログラミング初心者も多いはずで,何かとやりやすいかと・・・.

(田村)なかなかユニークな志望理由だね.では,その中で最終的に実世界情報コースの柴田研究室を選んだのは,どうしてでしょう?

 何といっても,研究の面白さと就職実績でした.研究室選択の時点から,ITSに興味があり,迷わず柴田研が第1志望でした.

(田村)それで木村研は保険で,第2志望という訳か(笑).同じ学年の夏目君のページにも,この学年の学生の希望順位のことが書いてありますね.希望通り,一直線にITS班に入ったようですが,その研究実績は後で聞くとして,先に部活か,サークル活動のことを聞きましょうか.

 高校の頃は陸上部でしたが,大学では「陸上競技サークル」に入り,今も所属していて,週に1回は走っています(2022年5月31日現在).
 立命館の陸上部はハイレベルですが,体育会系の部活だと朝練や午後練があるため,勉学との両立を考えて自由度の高いサークルを選びました.理系の学生には,陸上部のメニューをこなすのは難しいです.
 もともと長距離が専門でした.一番打ち込んでいた学部3回生の頃は,短くて3000m,長い方はフルマラソン(42.195km)も走っていました.フルマラソンは,これまで5回公式のマラソン大会に出場しています.

(田村)確か,最初の顔合わせ会の時にタイムを聞いて,アマチュアランナーとしては破格に時間だったと記憶していますが・・・.

 ベストタイムは,3回生の2月に出場した「京都マラソン2020」での2時間30分36秒で,男子マラソンの1万5千人くらいの中の16位でした.

(田村)凄いね.ちゃんと京都マラソン 2020のページに記録が出ていますよ.男子の部は10,796人参加で,完走率は93.9%.全体では16位だけれど,「男子20~24歳」では6位ですよ.いや,凄いわ.今後は,もう出場しないの?

 就活も終わって落ち着いたので,今年の秋のマラソンに出ようと思っています.

京都マラソン2020での雄姿

京都マラソン2020での雄姿
(男子20~24歳で6位)

鹿児島の夏合宿での練習風景

鹿児島の夏合宿での練習風景
(前から3番目が藤重さん)

陸上競技サークルはこれだけの大所帯

陸上競技サークルはこれだけの大所帯

(田村)では文武両道で,卒論から院進後の研究,学会発表について語ってください.

 希望してGR.1のITS班に入ることができ,ずっと1年先輩の若林優さん(現在,本田技研工業)と一緒に研究していました.NTTDoCoMoとの共同研究で,けいはんな学研都市で行った通信方式の性能評価実験にも一緒に参加しました.詳しくは,若林さんのページに書かれています.

実験風景
実験風景

けいはんな学研都市での性能評価実験風景

 研究的にも,若林先輩を引き継ぐ形になりました.若林さんの修士論文の内容に加え,私が追加実験を行い,筆頭著者として,今年の3月に電子情報通信学会ITS研究会で発表しました.題名は「安全運転支援のための周辺車両の半隠消表示法(4)~半隠消表示法の拡張と評価~」でした.
 評価実験の書き方や分析の仕方がよく分からなかったので,松室(美紀)先生に教えて頂き,何とか形になりました.院進した以上,一度は体験したかったことですが,論文執筆の苦労や,口頭発表や質疑応答での緊張感,良い経験・財産になったと思います.まだ見通しは立っていませんが,研究の進捗によっては,是非もう一度発表してみたいです.

(田村)では,比較的簡単に短期間で終わった就活に移りましょうか.夏目君とは大違いで,4社しか受験せず,2社から内定を得て,1社は途中辞退,不合格は1社だけと随分効率いいですね.

 研究発表会にあったので,就活に時間を割けなかったためです.あまり苦労はせずに,満足のいく内々定が得られたので,簡単に終わってしまいました.

(田村)就活なんて,その程度の省エネでいいのです.当研究室でしっかり研究していれば,大抵の会社には入れます.それを,相手企業のこともロクに調べず,ガツガツ多数社を受験するから,すぐに底が割れてしまって軒並み不合格になるのです.企業側はガツガツでペラペラの学生など採用したがりませんよ.
 ところで,当研究室からは「川崎重工」への就職は初めてですが,何か理由があるのですか?

 他には電機関係も受けたので,特にこの業界に絞った訳ではありません.歴史があり,企業的にも安定しているのが魅力でしたが,地元の明石に工場や技術開発本部があり,親しみが持てたのも,最終的な決定要因でした.船舶,鉄道車両などの大型機械を製造している会社ですが,今後はソフトウェアにも力を入れて行くというので,その話を信用して決めました.

(田村)これも理に適ったいい選択ですね.まさに明治以来,日本の産業を支えてきた重厚長大産業のお手本のような会社です.情報系というと,IT業界,ソフト業界,ゲーム業界ばかり受けたがる短絡的な学生が増えていますが,こういう重機系の会社にこそ,情報技術の活躍の場があると思います.
 専門分野を捨ててまでの地元志向はどうかと思いますが,技術開発本部が明石にあるならピッタリですね.大都会で長い通勤時間がかかる就職より,地方で通勤時間が短い方が,自己研鑽や娯楽に費やせる時間も多く,好ましいと言えますね.