■ 2つの柱:キャラクターデザインとアクションデザイン
齊藤監督が当初考えていた女忍者・葵は,もう少しオーソドックスな忍者スタイルだった。「でも,それでは『あずみ』(03)に似過ぎているし,短編中で強烈な印象を与えることはできない」と考えを改めた。国籍不明で鮮烈なイメージのデザインをスタイリストの澤田石和寛に依頼した。三池崇史監督の『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』(07)の衣装を担当していた澤田石は,まさに適役だった。葵に合わせて,強烈なコスチュームの「鬼」が出来上がった。長身のアクション俳優・南誉士広は,さらにこの鬼役にハマったキャスティングだった。
「まだ若くて短いキャリアですが,最も彼の個性が生きた演技になりました」と同じJAE所属のアクション監督・中村健人はいう。その中村健人は,MR-PreVizプロジェクトが始まって以来,アクション指導を続けている。事前可視化と効果とVFXを駆使した最終仕上げのクオリティまで計算に入れた,見事なアクションがデザインされた。屋内での激しい接近戦と葵の高速移動を表現する屋外での対戦の2部構成になっている。