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plus E誌 2015年3月号掲載 |
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『イントゥ・ザ・ウッズ』
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(ウォルト・ディズニー映画)
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(C) 2015 Disney Enterprise, Inc.
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オフィシャルサイト[日本語][英語] |
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[3月14日よりTOHOシネマズ日劇他全国ロードショー公開予定] |
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2015年2月2日 GAGA試写室(大阪)
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(注:本映画時評の評点は,上から  , , , の順で,その中間に をつけています。) |
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ミュージカルとしての完成度は高いが,VFXは不満 |
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| 興行的に快進撃が続くディズニー作品で,ワクワクする設定のファンタジーだ。誰もが知っている童話の主人公が森の中に一同に集まり,メデタシ,メデタシの結末の後,意外な展開となる後日談だという。スチル写真のメリル・ストリープの魔女姿が印象的なので,「白雪姫」「眠りの森の美女」「美女と野獣」「塔の上のラプンツェル」等のディズニー・アニメのプリンセスたちが,まとめてこの魔女に苛められる物語だと誤解している人もいるようだ。それは,ちょっと違う。その中で登場するのは髪長姫のラプンツェルだけで,他のディズニー・アニメからは「シンデレラ」が,その他は「赤ずきん」と「ジャックと豆の木」が題材となっている。
過去数年間に,CGでパワーアップした,この手の童話の実写版が多数登場しているから紛らわしい。『赤ずきん』(11年6月号)から始まり,『スノーホワイト』(12年7月号)『白雪姫と鏡の女王』(同9月号)がほぼ同時に公開され,『ジャックと天空の巨人』(13年4月号)『マレフィセント』(14年7月号)『美女と野獣』(同11月号)と続いた。この後すぐに,同じディズニー作品で実写版『シンデレラ』(15年5月号予定)が控えている。ついでに整理しておくなら,「赤ずきん」に魔女(Witch)は登場せず,悪役はお婆さんに化けたオオカミだ。「シンデレラ」で意地悪なのは継母であり,魔法使い(Fairy Godmother)は,カボチャやネズミを馬車にしてくれる親切な存在だった。本作に登場する魔女は,ラプンツェルをさらって育てた養母である。
本作は,オリジナル・ストーリーではなく,1987年初演のブロードウェイ・ミュージカルの映画版だ。トニー賞受賞作だけあって,物語の構成も,楽曲もしっかりしている。本作もそのスタイルを踏襲していて,堂々たるミュージカル作品だ。童話が素材とはいえ,アフター・ハッピーエンドの出来事を楽しむ大人向けのダークファンタジーである。4つの童話の接点として,魔女の呪いで子供を授からないパン屋の夫婦が登場し,その呪いを解くための物語が展開する……。
監督は,ロブ・マーシャル。元々ブロードウェイの振付師であり,『シカゴ』(03年4月号)『NINE』(10年3月号)も監督しただけに,実績は十分だ。主演の魔女役メリル・ストリープの貫録・存在感は圧倒的で,何を演じても見事なものである(写真1)。日本での宣伝には,彼女に並んで,オオカミ役のジョニー・デップが大きく扱われているが,これはズルイ。このメイク(写真2)は似合っているが,冒頭で少し登場するだけである。
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| 他の出演者では,シンデレラ役には『マイレージ,マイライフ』(10年3月号)のアナ・ケンドリック。歌は素晴らしいが,もう少し美形を配して欲しかったところだ。ラプンツェル役もしかりで,赤ずきん役には,さらにさらにその思いを強く感じる。やはり,ブロードウェイ出身の監督には,カメラ写りよりも,歌唱力の方が大事ということか。一方,パン屋の妻役のエミリー・ブラントは,歌も演技も輝いていて,ゴールデングローブ賞では主演女優賞にノミネートされていた(何で,M・ストリープが助演女優賞なのかは不思議だが)。
以下,CG/VFXを中心とした当欄の印象である。
■ 出番はわずかだが,J・デップのオオカミの手などは,CGで描かれている(写真3)。もっと派手に動物の狼姿に変身するシーンがあっても良かったと思うが,あくまで顔見世程度であった。ジャックが天空で出会う巨人も出し惜しみし過ぎだ。
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| ■ 題名通り,ほぼ全編森の中での出来事で,その中に城がある想定だ(写真4)。この森の描写には,適宜VFXを駆使して,実写にCGを描き加えている。違和感があるのは,シンデレラが舞踏会に通う城のデザインだ(写真5)。これじゃ,野暮過ぎる。憧れの王子様の住むお城なら,一般のディズニー城のイメージに近く,豪華絢爛であって欲しかった。天に伸びる豆の木はさすがにCGだが(写真6),ラプンツェルの髪の大半は実物で(写真7),大人し過ぎる(勿論,本当の髪の毛ではないが)。『マレフィセント』のCG/VFXが素晴らしかっただけに,残念な出来映えだ。ミュージカルとしての完成度が高いのに,当欄の評点が低いのは,このためである。
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写真7 一方,ラプンツェルの髪は美術部制作の実物
(C) 2015 Disney Enterprise, Inc. All Rights Reserved.
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| ■ 5組のハッピーエンドまでが約100分間。舞台だと第1幕の終わりだ。後日談がウリと言いながら,むしろここまでが結構面白い。そして,本命の後日談は,そのメッセージを巡って賛否両論,評価が分かれるところだ。筆者としては,VFXは不満ながら,この種のディズニー映画もアリではないかと感じた。
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(画像は,O plus E誌掲載分に追加しています) |
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