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plus E誌 2015年1月号掲載 |
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(C) 2014 Disney
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オフィシャルサイト[日本語][英語] |
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[12月20日よりTOHOシネマズ有楽座他全国ロードショー公開中] |
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2014年11月13日 TOHOシネマズ梅田Annex[完成披露試写会(大阪)]
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(注:本映画時評の評点は,上から  , , , の順で,その中間に をつけています。) |
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グッズ販売に適した,見事な癒し系キャラのデザイン |
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| 実写でもアニメでも快進撃のディズニーから,またまた大ヒットしそうな一作が生まれた。マーベル・コミックスを傘下に収め,『アベンジャーズ』シリーズで続々と意欲作を連発する上に,12月公開の話題の7作目『Star Wars: The Force Awakens』もディズニー配給というから,その勢いに圧倒される(SWシリーズに,ディズニー・ブランドは似合わないと感じるが…)。
それはさておき,本作はメガヒットとなった『アナと雪の女王』(14年3月号)に続く,長編ディズニー・アニメの54作目であり,当然フルCG作品である。「ベイマックス」とは,主人公のロボットの名前で,人の心と体を守る「ケア・ロボット」だそうだ。風船のように膨らんだ白く丸い大きな躯体から,見事な「癒し系キャラ」のデザインだと感じる。縫いぐるみでなく,ソフトビニール製の人形として実現でき,コストも安く上がることだろう。実物大のグッズは,クッションや簡易ベッドにもなりそうだ。数ヶ月後には町中のあちこちで見かけ,ディズニーランドでは様々な大きさのグッズが飛ぶように売れている光景が目に浮かぶ。
原題は『Big Hero 6』。一体何だろうと思ったら,同名のマーベル・コミックが原作だそうだ。日本人のヒーローが日本を中心に活躍するアメコミだったが,さほどヒットせず眠っていた作品を,大幅に手直しして,ディズニー・アニメ化したようだ。そもそも,ベイマックスのデザイン自体が相当に違う(写真1)。舞台も「サンフランソウキョウ」なるサンフランシスコと東京をミックスさせた架空の町を設定している。米国のマーベル・ファンと『アナ雪』の余韻が残る日本の両市場を意識した見事なマーケティング戦略だと感心する。
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写真1 原作コミック(上)とは,かなり異なったキャラ・デザインで映画化(下) |
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| ベイマックスが守る少年はヒロ・ハマダ。白人と日本人のハーフで,ロボット工学が専門の14歳天才科学少年である。大学生の兄タダシと恩師を爆発事故で亡くし,失意のヒロの前に現われたのが,タダシが設計した「ベイマックス」であった。タダシの死の真相を突き止めようとするヒロは命を狙われることになり,仲間たちと共に巨悪に立ち向かう……,という物語展開である。
以下,当欄の視点からの見どころである。
■ サンフランソウキョウのデザインは,湾から見た丘陵に高層ビル,急坂の多い町並み,ケーブルカー,ベイブリッジを臨む光景等々,サンフランシスコそのものだ(写真2)。そこに和風の建物が多数並んでいる(写真3)。夜景も美しい(写真4)。アーティスト達が日本へ来て取材したようで,市中の光景は,かなり日本を意識してデザインされている(写真5)。少し嬉しくなってくる。ただし,金門橋を赤い鳥居風にしたのは,全くの悪趣味だ。
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写真2 海から見た光景やこの丘陵はどうみてもサンフランシスコ
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写真3 サンフランシスコ風の急坂に和風の建物を配置
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写真5 市中の光景は,新橋,神田界隈を彷彿とさせる
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| ■ 天才科学少年らしいシーンも多く,未来IT機器のデザインや発明品を生み出す過程の実験風景のビジュアルも上々だ(写真6)。マイクロロボットの集合体が組み上がる様子は,『トランスフォーマー』シリーズを思い出す。こちらも少し嬉しくなる。技術的には,照明の使い方が進化しているように感じた。毎度のことだが,ディズニーに苦情を言いたくなるのは,大阪では3D版の試写を見せてくれないことだ(本号の他の2作品を見習うべきだ!)。これでは,本来もっと褒めるべきデザインを,本当に褒められないではないか。
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| ■ ベイマックスの癒し系デザインは,『となりのトトロ』(88)をかなり意識したと思われる。製作総指揮のジョン・ラセター氏の影響だろうか。顔の目鼻は,日本の神社にあった鈴からデザインしたそうだ。ヒロの部屋で彼をケアし,戯れる様子は,「ドラえもん」と「のび太」の関係を思い出す。後半,「Big Hero 6」の一員として,甲冑で武装した姿は「鉄人28号」にも似ている(写真7)。ともあれ,日本のアニメファンには,色々論じたくなる作品であることは間違いない。
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写真7 アーマー姿のベイマックスは,鉄人28号風
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| ■ 終盤のアクション・シーンは,まさにマーベル・ヒーローものらしい味付けで,かなりのボリュームである。ただし,この手のアクションは,沢山見せられて,もはや食傷気味だ。それは『アベンジャーズ』シリーズで十分であり,本作品はもっと癒し系のハートフル・ドラマに徹した方が良かったのではないかと感じた。それでは,ピクサーの『WALL・E/ウォーリー』(08年12月号)に似たイメージになってしまうので,あえて別路線を選んだのだろうか?
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(画像は,O plus E誌掲載分に追加しています) |
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