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O plus
E誌 2001年2月号掲載 |
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『アンブレイカブル』 |
(タッチストーン・ピクチャーズ /ブエナビスタ配給)
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(c)TOUCHSTONE
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(2001/1/19ブエナビスタ試写室)
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2匹目のドジョウも悪くない味 |
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一作大ヒットして一夜明ければ大スター,というのがハリウッドの夢ならば,それは俳優や監督だけでなく,脚本家にも当て嵌まるらしい。一昨年下期に予想外の大ヒットとなった『シックス・センス』で,弱冠29歳のナイト・シャマラン監督は,脚本家としての評価も大いに上がった。
この作品の脚本料は500万ドル。1,000〜2,500万ドル級の人気俳優に比べると少ないが,100万ドル以上は数えるほどという脚本家の世界では,破格の超厚遇のようだ。配給会社から配られた資料の中で,別紙扱いで格別それが強調されていたから,この映画にとって脚本が何よりもセールスポイントになっている。
そのシャマラン監督が,舞台として選んだのがファイラデルフィア,主演がブルース・ウィリスというのも『シックス・センス』を踏襲している。共演は,『英雄の条件』『シャフト』と好演が続いているサミュエル・L・ジャクソン。このコンビの息の合ったところは,『ダイ・ハード3』(95)で実証済みだし,名作『パルプ・フィクション』(94)でも共演していた(もっとも,この時S・L・ジャクソンと軽妙な掛け合いを演じたのは,ジョン・トラボルタだったが)。このコンビの演技力は,シャマラン流スリラーでもうまく引き出されている。
標題の「アンブレイカブル(Unbreakable)」は,「ぶっ壊れない奴」「不滅の男」といった意味だが,『ダイ・バード』のマクレーン刑事のようなタフさではなく,不思議な力で守られ,病気やケガをしない主人公の物語である。
乗員・乗客131人が死亡した大列車事故で,かすり傷も負わなかった唯一の生存者デヴィッド・ダン(B・ウィリス)に,「これまでの人生で,お前が病気にかかった日数は?」と書いた手紙が届く。メッセージの送り主,コミック・ギャラリーのオーナー,イライジャ・プライス(S・L・ジャクソン)は先天的な難病で,何度も骨折を繰り返す脆い身体の持ち主だ。「ならば,自分と逆に頑健な肉体と運命に守られた人間がいるはずだ」という対称的な2人の人物設定がモチーフになっている。
デヴィッドは頑健なだけでなく,ある種の予知能力をもつことを指摘され…といった脚本の生命線を余り詳しく書くわけには行かないが,シャマラン方程式に従って最後まで楽しめることは間違いない。先を予想させない展開で,あっという間に1時間47分を見せるのはさすがだ。サイド・ストーリーとしてアメコミ・マニアの世界が紹介されているのも興味深かった。
視覚効果担当はディズニー系のThe Secret Labだが,この映画では脇役に過ぎない。主役は,撮影監督エドゥアルド・セラの素晴らしいカメラワークだ。思い切ったアングルからのカットインやクレーン・ショットが目立つのは,シャマラン監督の演出でもあるのだろう。SFXやVFXは,不要物を消したり背景をすり替えたり,意欲的なアングルを助けるのに使われていて,ちょっと目にはまず分からない(写真)。例えば,イライジャの少年時代の回想で,テレビ受像機のガラス表面を鏡のように使って母子の会話を映すシーンは,実際には裏返しの映像を画面に映して撮影したのだろう。他の反射を防ぎつつ,30フレーム/秒の管面を24フレーム/秒に変換収録するのは,そう易しくないはずだ。
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(a)この列車は前面だけ作った大道具 |
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(b)古い銀行を利用した駅のシーン.
ライティングに注目. |
写真 大胆なカメラワークを支える仕掛けも数々 (c)TOUCHSTONE
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シャマラン監督がヒチコックばりに1シーンで登場するが,この遊び心も前作同様だ。あらゆる点で,「続・シックス・センス」の香りがする。製作会社も観客もそれを期待していただろうから,2作目は難しい。前作以上の驚きはないものの,大きく期待を裏切らない合格点といったところだろうか。『シックス・センス』のように是非もう一度観たいとは思わないが,3匹目のドジョウ狙いであっても,この監督の次回作はやはり見に行きたくなるだけのものが出せている。
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