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またまたCG関係者必見で,その他の人は見なくてもいいです,という映画ですね(笑)。『ミッション・トゥ・マーズ』や『パーフェクト
ストーム』といい勝負ですか。 |
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ここまでの技術を駆使しながら,なんでこんなに詰まらない映画を作っちゃうんだろうなぁ。したり顔の評論家や映画通が,まるでSFXが悪者であるかのように語るのが想像できますね(笑)。フランケンシュタインやドラキュラものは沢山あるんだから,もうちょっとマシな描き方しろよと言いたくなります。 |
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テンポは悪くなく,ワクワクして観てたんですが,後味はいい方ではないですね。 |
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愚痴ってても仕方ないので,後はせっせとCG,SFXを褒めましょう(笑)。 |
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想像していたほどは,身体が透けて筋肉が見えるショットは多くないのですが,印象的でした(写真1)。理屈の上ではCGと分かっているのに,まるでケビン・ベーコンがメイクアップで演じているように見えました。 |
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彼の身体に格子を描いて一度演技させ,それをフルボディCGで1つずつ置き換えていったとのことです。 |
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モーションキャプチャは使ってないんですか? |
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それじゃ表層的な動きしか表現できないといって,完全主義者の監督は許さなかったそうです。ラバーマスクの下は本人ですが,蒸気の中や水中で半透明に見える姿はすべてフルCG人間でしょう(写真2)。この部分は,ティペット・スタジオの担当です。
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水状の人間は『アビス』(89)と同じみたいですが,進歩してるんですか?
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 |  |  |  | | | 写真1 筋肉が見える人体はSPI社担当 | | 写真2 こちらはティペット・スタジオ担当 | |
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えーっ,何と素人目には同じですか!? 『アビス』では,クネクネ蛇のように筒が動いて,その先頭に少し顔が出てくるだけです。この映画の透明人間は,全身が自然に動いてるんですよ。これは,フルボディが3Dモデリングされていて,それを骨や筋肉レベルで動かせる技術で表現しているんです。回りの水の動きも,モーション・コントロール・カメラを完全に水中に入れて何度も撮影し,それを合成するCG透明人間と調和させているんです。
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解剖学的にもキッチリ考えてあるんだという感じはしました。
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『パーフェクト ストーム』は嵐のシーンが映画の大半だから,計算量はものすごかったでしょうが,レンダリングにかかるまでの準備という点では,この映画も同等かそれ以上の綿密さで臨んでいます。ショット数が多くなくても,ここまで徹底的にやるのは,フルボディのCGタレントを作り上げるまでの練習段階と考えているからでしょう。ここで技術を磨いておくのは,未来への投資なんです。
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なるほど,それは感じられますね。ここまで来ると,少しメイクアップした役柄なら,もうすぐCGタレントで務まりますね。
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ということで,このSFX映画時評の読者なら,観ずに済ますわけに行かない映画でしょう。
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