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O plus E誌
2004年7月号掲載 |
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『ウォルター少年と,夏の休日』
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(ニューライン・シネマ作品 /日本ヘラルド映画配給) |
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オフィシャルサイト[日本語][英語] |
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2004年4月19日 日本ヘラルド映画試写室(大阪) |
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[7月10日より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹系にて公開予定] |
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(注:本映画時評の評点は,上から  , , , の順で,その中間に をつけています。) |
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2人の名優と名子役が演じるちょっといい話 |
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他の2本のような大作に比べて,VFXの出番はわずかだが,観て得をしたと感じる一作だ。時代遅れで頑固者の老人2人と彼らに預けられた父親のいない少年との心の触れ合いを描いた物語で,「スクリーンで観たい良質な脚本NO.1に選ばれた」作品の映画化だという。
監督・脚本はティム・マッキャンリーズ。監督としてより脚本家としての実績が高く,『アイアン・ジャイアント』(99)などを手がけている。老兄弟には『サイダーハウス・ルール』(00)のマイケル・ケイン,『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録』のロバート・デュヴァルというアカデミー賞常連の名脇役の2人で,ウォルター少年には『シックス・センス』(99)『A.I.』(01)の天才子役ハーレイ・ジョエル・オスメントという豪華なキャスティングだ。それでいて,ギラギラした大作ではなく,さっぱりして気持ちの良いヒューマン・ドラマである。
むしろギラギラしているのは真夏の太陽で,長い夏休みの間,14歳の少年ウォルターは,大伯父に当たる無愛想な偏屈老人のハブ(R・デュヴァル)とガース(M・ケイン)に預けられる。時代は1960年代初頭,テキサス中部の農家で毎夜語られる老人たちの若き日の冒険譚に,勇気や名誉,人生の美徳を教えられ,少年は少しずつ心を開いて行く……。
夜伽話は『ビッグ・フィッシュ』(2004年5月号)に勝るとも劣らない荒唐無稽ぶりだが,マッチョなR・デュヴァルが実にカッコイイ。本人も楽しんで演じているようだ。M・ケインのとぼけた味が対称的だ。ハーレイ君は『シックス…』の頃に比べると随分大人びた顔になったなと感じるが,最後に見せてくれる笑顔がとてもいい。では,この3人の誰に感情移入したかというと,私の場合はM・ケイン演じるガースじいさんだ。
原題は「Secondhand Lions」。だまされて買った役立たずの老いた「中古のライオン」のことだが,複数形になっているから,老いてなお威厳を保つ2人の老人のことも暗示している。随分ニュアンスの違う邦題がついたが,これも悪くない。片仮名オンパレードの中で,さすが洋画配給老舗のヘラルド映画らしいはからいだ。
この映画はVFXスタジオのデジタル・ドメイン社が共同製作に名を連ねているが,その割にはVFXは多くない。それでも,1914年のマルセーユの光景,定番の爆発シーンなどはSFX/VFXの出番だろう。アラビアンナイトを思わせる回想シーンは古くさいテクニカラー特有の色調で,テキサスの夏の空は透き通るような青だった。いずれもフィルタ処理ではなく,ディジタル処理による視覚効果だろう。問題の老いたライオンは,大半は調教された本物だろうが,一部はアニマトロニクスかCGのいずれかを使っていると見受けられた。
犬5匹と豚1匹の動物たちの演技も見ものだ。音楽も楽しく,この映画にはウェスタンがよく似合う。まるで絵のような家(写真)も印象的だと思っていたら,数十年後の現代でも存在感のあるシーンで再登場する。コミックとCGで描いたエンドロールも秀逸だ。
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写真 印象的なテキサスの農家は実在のもの |
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