リアリティメディア研究室[木村研究室]配属特設サイト

FAQ

(以下のQ&Aは,実際に過去の研究室説明会で出た質問を中心に,それを拡張した想定質問も含めて,回答を述べています)

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  木村先生の「リアリティメディア研究室」は,以前おられた田村先生の研究室を引き継がれたと聞きました.その一方で,田村先生の後任は野間先生で,バーチャルリアリティの講義も実験もやっておられるようですが,一体どちらが正しいのでしょうか?

 木村先生 教員人事に関しては,学生の皆さんには難しいかもしれませんが,どちらも正しいのです.確かに,情報理工学部が出来た時から田村秀行先生の「リアリティメディア研究室」はVR研究の看板研究室で,この研究室を目当てに入学して来た学生も沢山いたくらいです.私は田村研究室の助っ人的立場で,教育や研究を補佐して来ましたが,私が学科の専任教員となり,学生さんが配属されるようになった2008年度以降は,田村研が「リアリティメディア第1研究室」,木村研が「リアリティメディア第2研究室」になりました.そして,2012年度末に田村先生が学部教員を定年退職され,2013年度からは木村研究室が「リアリティメディア研究室」になったという訳です.  
 一方,田村先生の教員枠の後任で野間先生が着任されたので,VRの授業や学生実験は野間先生がご担当されています.

  旧田村研究室の研究テーマが野間研究室に移ったのではないのですか?

 そうではありません.田村先生も野間先生も,VR分野では著名な先生ですが,研究者としてのスタンスやカラーは違います.学部生の授業はそう大きな違いないと思いますが,学生実験などでは新しい野間カラーを出しておられるようです.  
 研究室の研究テーマはもっと違って,担当教員独自の研究テーマをなるので,旧田村研と現木村研はほぼ同じで,旧田村研の大学院進学者は全員,木村研と情報コミュニケーション学科の柴田研究室に移籍し,そのまま同じ研究を続けていました.野間研ではVRの別の側面を研究されて,2013年度から全く新しく研究室を立ち上げられ,現M2生が最高学年です.  
 メディア情報学科の学生にとっては,VR分野での選択肢が増えたと言えますね.どう違うか,どちらが興味深いかは,この研究室配属時期に各研究室を回って,しっかり学んで下さい.

  じゃあ,RM研究室が半分になり,研究テーマも半分になったのではないのですか?

 そんなことはありません.輝かしい歴史のある田村研究室の伝統を引き継いで,しっかり複合現実感(MR)とタンジブルインタフェースの研究を続けていますよ.  
 厳密に言えば,学部生は木村研究室配属だけの半分になりましたが,情報コミュニケーション学科の柴田研究室とも共同運営ですので,3研究室が2研究室になったというのが実情です.木村研のなかった,田村研&柴田研時代の2研究室体制に戻ったと言えます。これは予め分かっていたことなので,従来どおりの研究テーマは維持できているし,これからもどんどん発展させます.  
 これから研究室に入ってくる皆さんにとっては,上級生の指導スタイルが確立しているので,卒論にしろ,就活にしろ,しっかり面倒を見てもらえるということです.教員も,2012年度までは3人で3研究室を見ていたのが,同じ3人で2研究室を見る形になったので,それだけゆとりができたことになります.

  3人ということは,田村先生は定年退職されたのに,まだおられるのですか?

 情報理工学部の教員を退任されただけで,その後は総合科学技術研究機構の「特別研究機構」の「特別招聘教授」「客員教授」として,引続き立命館に在籍して頂いています.これまでも,研究代表者としてCREST(約4億円),科研費・基盤研究(S)(約2億円)という大型研究費を獲得して来られていました.これは立命館の教授としてはNo.1の実績です.ずっと一緒にやってきたので,木村研や柴田研も研究スペースや研究費が潤沢にあった訳です.田村先生ご自身の授業の負荷はなくなり,研究費を稼いできて,こちらの研究の面倒を見て下さる訳ですから,木村研にとってこんな有り難いことはありません.今後もせっせと大型予算の申請書を書いて頂くので,まだ,辞められちゃ困ります(笑).就活でも,田村先生のご指導を当てにしている学生が結構いますよ.それを目当てに木村研に来た学生もいるくらいです(笑).  
 旧田村研の卒研室は野間研になりましたが,木村研にとっては,5Fの卒研室以外に,エクセル,テクノコンプレックス,学術フロンティアの中にも研究スペースがあり,高価な研究機材が揃っています.

  では,質問に入りますが,MRの研究には,どのような能力が必要ですか?

 プログラミング能力 and/or 美的センスです.両方あるに越したことはないですが,贅沢は言いません.せめて片方だけでも十分に磨いて欲しいです.プログラムが苦手な学生は,イラストとかCGのモデリングとかで補って,貢献してくれればいいのです.

  絵を描くのも苦手だったら,どうしましょう?

 そのために,コンピュータがあるのです.絵は下手でも,CGやレタッチ・ソフトがそれを補ってくれる時代です.それを身につけて社会に巣立ってもらうことも,当研究室の目標の1つです.皆さん覚えが早いから,旧田村研や柴田研の1期生から,すぐCGのモデリングを覚えていました.メディア学科の学生なら,実験1や実験2でそれよりもっと訓練されているので,心配する必要は全くありません.  
 学生実験を見ていても,学科創設の頃から比べて,この数年モデリングの腕は相当上がっていると聞き,さすがメディア情報学科の学生と心強く思っています.

  では,タンジブルインタフェースの研究には,どのような能力が必要ですか?

 プログラミング能力 or 人間の感性を具体化するセンスが必要です.電子工作が好きなら,もっと歓迎です.

  やったことないので,そんなセンスがあるかどうか….

 両分野とも必要な知識は研究室に来てから与えるので,「やる気」の方が重要です.最近,やらない内から苦手だと決めつける「喰わず嫌い」が多いように感じます.大学にいる間に少しでも多くのことを経験しておくべきだと思います.  
 センスというのは,訓練され,周りの影響を受け,どんどん磨かれるものだと思います.周りを見て,自分でモノ作りに興味をもって,自主的にやり始めるのがベストですが,強制的に与えられ,身に付くものも多いはずです.

  「やる気」は,体力で示すのですか? 体育会系がお好みと漏れ聞きましたが….

 実際に体育会の学生も何人かいましたが,そこまでの体力を要求している訳ではありません(笑).精神的体育会系とでもいうか,研究室に出て来て過ごすのが好きなこと,きちんと基礎から練習(勉強)して取り組もうという姿勢を重視しています.チームワークを大切にするのも,体育会系のマインドですからね.  
 卒業研究1は3回生後期から始まりますが,当研究室では伝統的に3回生の後期試験までは週1回の顔合わせ程度にしています.しっかり授業の単位を取り終えて欲しいからです.その代わり,後期試験後に独自の「ジュベナイル・プロジェクト」が始まります.3グループに分かれて,それぞれが魅力的なMRアトラクションを制作することが恒例になっています.チームワークを学ぶのも,このプロジェクトの目的です.例年,この体験を経て,皆一気に仲良くなり,実力もつくようですよ.

  映画・ゲーム好きが集まっていると聞きましたが,実際に研究室で映画やゲームを作るのですか?

 VR/MR実験では皆さんゲーム感覚のコンテンツを作っていましたが,ジュベナイル・プロジェクトは,それをもっと大がかりにしたもので,アート感覚を入れることも多いですね.ゲーム自体の研究をしている訳ではありませんが,VRや対話デバイスの研究をしていると,研究成果のデモは必然的に実時間対話型のものとなり,楽しく体験できるよう工夫すると,次世代のゲームソフトのようになってしまいます.ゲームそのものを研究対象にしている訳ではありませんが,ソフト大手に就職する学生もかなりいます.  
 映画に関しては,田村先生はプロの映画評論家でもあり,今でも毎月映画評論を書いておられます.そのためもあり,当研究室として映画制作支援の大型研究プロジェクトを推進してきました.このプロジェクト自体は,公式には2010年度で終了しましたが,その成果を普及に務めていて,映画業界との交流はまだ続いています.
 例えば,今年のMRデモの体験場所となっている1階の展示室は,学部の研究成果を見学者たち紹介するための部屋です.私たちはAR/MRの研究実験にも使っていますが,ここにあるミュージアムを模した美術セットは,東映・京都撮影所の美術部に依頼して,デザイン&制作してもらったのですよ.普通は簡単に依頼できるものではないのですが,以前からの関係があるゆえ,特別にお願いしたのです.

  研究室に映画のDVDがどっさりあって,無料貸出ししていると聞きました

 さっき数えたら約960点ありました.7泊8日無料で借りられます(笑).配属された当初は,研究室にあるもの全部見ようと考えた学生もいましたが,年々増えているので,もはや何年も留年しない限り,全部見るのは無理ですね(笑).  
 厳密に言えば,最近はDVDでなく,入荷するのは大半がブルーレイ・ディスク(BD)です.MR技術を学ぶために,DVDやBDに特典映像として入っているCG/VFX技術のメイキングを勉強してもらうための教材です.さらに,映画制作支援技術を研究する上では,キャメラワークの分析対象なのです.自宅に持ち帰って観ている学生もいるし,研究室内で皆で観賞していることも多いようです.

  研究室内でせっせとSF映画を観たと聞きましたが,それが研究なのですか?「SF映画に学ぶ未来のリアリティメディア研究会」というのは何ですか? ひたすら毎週映画を観るのですか?

 SF 映画に描かれた未来生活から,人々が求めるコンピュータの使い方,HIのあるべき姿を眺め,実現可能性を分析して行きます.かつての「広視野立体ディスプレイを利用した空間型ユーザインタフェース」の研究は,映画『マイノリティ・リポート』 を観て,これをやってみたいという動機から生まれたもので,それが現在の壁面や卓上面を利用したシステムに発展しています.『アイアンマン』や『アバター』や『アベンジャーズ』から,また新しい目標が出て来るかも知れませんね.

  面白そうですね

 面白がっているだけじゃ困ります.しっかりそれを情報理工学部の視点から捉え,技術体系に仕上げるのが大学としての役目です.

  木村研究室は,躾けに厳しいと聞きましたが,本当でしょうか?

 厳しい,厳しくないは,個人の主観によるものだし,私たちは他研究室の実態を知らないので,何とも言えません.同時に2つの研究室に所属している学生もいないので,正確な比較はできないと思いますが,論文の書き方,報告の仕方,言葉遣いなど,きちんと教育している方だと思います.これは,大企業の管理職をされていた田村先生のご経験によるもので,実をいうと,柴田先生や私も,言葉遣いはいつも注意されてきました(笑).
 当初,厳しい,小うるさいと感じる学生も,就活に臨むと一変し,日頃から鍛えられていた有り難みが分かってくれるようです.特に,入社後に再度そう感じるようで.会社でも一目置かれるに存在になったと誇らしげに報告してくることもあります.卒業生が頻繁にやって来て,会社の様子を語りに来てくれるのは嬉しいことです.

  厳しい代わりに,就職に有利で,真剣に就職指導してもらえると聞く半面,木村研に入ると忙しく,就活ができないという噂を聞きました.どちらが本当なのでしょう?

 勿論,前の方ですが,一体,なぜ後のような馬鹿げた噂が流れるのでしょうね? 学部内でNo.1と言える就職実績を見れば,就活をやれないはずがないことは分かりそうなものですが…….ジュベナイル・プロジェクトは,就活の時期と重なりますが,院進予定者と学部卒就職予定者では,チーム内の役割を変えています.当然,就活中の学生の負荷は少なく,説明会や面接の日は抜けて出かけます.むしろ,ジュベナイル・プロジェクトに参加している方が,技術的なことを尋ねられた場合,有利なことが多いのです.それが分かっていて,作品制作にも熱心な就活生の言動が誤って他の就活生に伝わって,そんな噂になったのでしょうか.
 具体的な就活指導は,学科の就職委員であり,民間企業での管理職経験,採用経験のある田村先生がずっとやって来られたので,輝かしい実績を残してきたのだと思います.田村先生の指導を受けたければ,今でも可能です.エントリーシートの書き方など,先輩が後輩の指導をするという伝統があるのも強みなのでしょう.著名企業に先輩達が入っていて,後輩を勧誘に来るというのも,新しい研究室にはない大きなメリットですね.

  かつて田村研・木村研が実質同じで,その上柴田研究室と「完全一体運営」で「境界皆無」ということは,何もかも一緒だったのですか?

 ゼミも研究室旅行も飲み会も,完全に一緒にやっています.研究室の什器類も同じイメージで統一しました.研究テーマも全体で設定し,本人の希望を聞いて割り振っています.その結果,柴田研究室(7F)に今も木村研究室の学生が常駐し,その逆も起こっています.時々,私たちも誰がどこの所属だったか,分からなくなるくらい一体なのです.

  じゃ,メディア情報学科の学生が柴田先生の指導を受け,情報コミュニケーション学科の学生がメディアの木村研で卒業研究することもできるのですか?

 そうです.1学科分の授業料で,2学科分の教育を受けられる訳です(笑).

  映画やゲーム好きでメディアに入ったのに,別のテーマになったり,木村先生に憧れて木村研に入っても,直接指導を受けられないこともあるのですか?

 理屈の上ではそうなりますね.4年生の5月から4つのサブグループに分かれますが,あくまで本人の希望を聞いて,適性や進路を考慮して配属しています.全体のバランスがあるので,多少調整はしますが,結構上手く散らばりますよ.

  柴田研のテーマにはネットワーク好きが集まり,ネットワーク管理技術も身に付くと聞きましたが,メディア情報学科からでも可能ですか?

 もちろん可能です.実は3回生後期の「卒業研究1」では,情報コミュニケーション学科の学生にはメディアのCG実験やVR実験でやってきたことをやってもらい,メディア情報学科の学生にはその逆をやるという相互乗り入れ教育をして,スタートラインを合わせています.その上で,卒論の研究テーマを選びます.教員それぞれの得意分野が少しずつ違うので,知識もその分増えて得ですよ.  
 もう皆さんも知っていると思いますが,昨年の1回生からは学部の構成が大きく変わりました.新体制の中では,木村研も柴田研も同じ「実世界情報コース」に属しています.即ち,別学科出身の学生がここで一緒になるというのは,皆さんの学年が最後なのです.

  大学院進学者の比率が高いようですが,学部卒だと肩身が狭いのですか?

 メディア情報学科の中では,田村研はずっと最難関であり,その関門を突破した優秀者は,当然そのまま所属することを好んだため,進学率は高かったのだと思います.途中からできた木村研も,同じ雰囲気で過ごすためか,初年度から進学率は高かったです(11人中9人が進学).最近3年間では,進学せずに学卒で就職というのは,0名,2名,1名です.大学院進学者を優遇し,学部卒を冷遇する訳ではなく.そうしないと損をするから,経済的に可能なら大学院まで進むように助言しています.これは,当研究室にだけでなく,学科の学生全体に言っていることです.肩身が狭いとか不利だとかは,研究室内よりも,社会に出てからこそ,そう感じると思います.
 私学は授業料が高いので,経済的に難しい人もいるでしょうが,今や国立大学の理工系ならば,ほぼ全員が大学院進学です.だから,民間企業では,よほど勉強が嫌いか,落ちこぼれが,学卒で就職するのだと思っています.折角,安くない授業料を払ってここまで来たのなら,何とか大学院まで進学して下さい.
 これまで貯め込んだ埋蔵金(研究費)が沢山あり,他になり設備や機材も揃っているので,この研究室で学ばなければ損ですよ(笑).

  一番お金持ちの研究室と聞きましたが,本当ですか? その分,一番厳しいとも…

 厳しいだけなら,他にもありますよ(笑).外部の競争的研究資金を沢山取って来ていることは事実です.学部で一番,いや立命館中で一番でしょう.だから,研究成果を国際会議で発表したい場合には有利だし,外部交流も多いから,真面目に熱心に研究したい学生にはかなり機会を与えられますね.
 「楽して卒業したい人」には不向きで,「楽しく研究したい人」には向いています.「楽して」と「楽しく」は,1字違いで大違いですが…(笑).とかく厳しいと思われがちですが,皆さん楽しくやっていますよ.先生のために,研究するのではなく,自分たちが努力したことが,自分の身に付くことが分かってくると,研究が楽しくなるのだと思います.
 その点でも,運動部と同じです.自分のために,目標をもって勉強(練習)するのです.ロクに練習もしない楽しいだけの趣味のサークルと,甲子園や箱根駅伝出場を目指して日々練習している部活との違いです.当研究室は,そういうハイレベルのチームでプレイしたい,レギュラーになりたいという選手たちに,立派な練習場と対抗試合の機会を与えるという意識で運営しています.