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映画上映中,全編で音楽が鳴り響く映画だった。人気歌手やグループが歌う既発表の歌唱曲を多数盛り込み,それに混じってオリジナル・スコアの劇伴演奏曲もしっかり物語展開を支える。それ自体は,他作品でもよくあることだが,前者の曲数が多く,オリジナル重視のディズニー映画としては少し珍しいケースだ。かなり長めのサントラ盤紹介をしておこう。 サントラ発売は,大きく分けてソング版とスコア版に分かれていて,表記の名称はソング版のものである。「クルエラ オリジナル・スコア」と呼ばれているのがスコア版で,こちらの構成はシンプルだ。Nicholas Britell作曲の劇伴曲25曲にFlorence + The Machineが歌うエンドソング“Call me Cruella”を加えた全26曲収録が世界共通フォーマットである。これに対して,ソング版は少しややこしい。音楽配信サイトによって,12曲,15曲,16曲,30曲,38曲…と様々な販売形態があるからだ。 紙幅の制限がないので,エンドロールで流れる劇中使用曲をすべて挙げておこう。“曲名”+アーティスト名である。 1. “Bloody Well Right”★ Supertramp 2. “I Am Woman” (Helen Reddy) 3. “Whisper Whisper”★ Bee Gees 4. “Inside - Looking Out” The Animals 5. “Watch The Dog That Brings The Bone” Sandy Gaye 6. “She's A Rainbow” The Rolling Stones 7. “Gotcha” Joe Tex 8. “Time Of The Season” The Zombies 9. “These Boots Are Made For Walkin’” Nancy Sinatra 10. “Five To One”★ The Doors 11. “Feeling Good”★ Nina Simone 12. “Fire”★ Ohio Players 13. “Whole Lotta Love”★ Ike & Tina Turner 14. “The Wild One” Suzi Quatro 15. “Hush” Deep Purple 16. “Livin’ Thing”★ Electric Light Orchestra 17. “Stone Cold Crazy”★ Queen 18. “Car Wash” Rose Royce 19. “Boys Keep Swinging” David Bowie 20. “One Way Or Another”★ Blondie 21. “I Get Ideas (When We Are Dancing)” Tony Martin 22. “Should I Stay Or Should I Go”★ The Clash 23. “I Love Paris”★ Georgia Gibbs, Glenn Osser & His Orchestra 24. “Love Is Like A Violin”★ Ken Dodd 25. “Theme from ‘A Summer Place’” Norrie Paramour & His Orchestra 26. “Perhaps, Perhaps, Perhaps” Doris Day 27. “You're Such A Good Looking Woman” Joe Dolan 28. “I Wanna Be Your Dog”★ John McCrea 29. “Smile” Judy Garland 30. “Nightmares” The J. Geils Band 31. “Getting' Out” The J. Geils Band 32. “Eternelle” Brigitte Fontaine 33. “Come Together”★ Ike & Tina Turner 34. “The Wizard” Black Sabbath 35. “Sympathy For The Devil” The Rolling Stones 36. “Call Me Cruella”★ Florence + The Machine 37. “Cruella De Vil” Kayvan Novak 上記の内★印が「Cruella (Original Motion Picture Soundtrack)」(US版)なるソング版に収録の15曲(ただし,36.のエンドソングが1曲目)である。なぜここまで絞った選曲なのかはよく分からない。これに日本語吹替版のエンドロールで流れる柴咲コウの「コール・ミー・クルエラ」を加えた16曲構成が国内盤だ。非英語圏では,どの国でも同様に母国語歌唱のエンドソングが収録されている。 本編の映画評でも触れたが,1970年代のパンク・ロック一色かと想像したのだが,ずっとバラエティに富んでいた。映画の冒頭から,筆者の耳には懐かしいRockやPopsのナンバーが次々に流れる。ただし,すくに曲名が出て来るようなヒット曲ではなく,なんとなく耳慣れたサウンドだと感じただけだ。後でこうやってリストを見て,Bee Gees,Animals,Rolling Stones,Doorsの名前を見つけて,改めてなるほど懐かしく感じる訳だと納得した。1970年代ではなく,60年後半の収録曲がほとんどだ。 従来の他作品の挿入曲と少し違ったのは,曲の出だしも中盤も,まるで映画の場面とマッチしていないことだった。同じ曲が流れている間に,少女エステラや大人になったエステラ=クルエラを取り巻く物語展開が目まぐるしく,曲のテンポと合っていない。店内のバンド演奏を気にせず,客席で平気で会話を交している感じである。それでいて,30数曲全体のイメージは見事にこの映画のテーマにマッチしている。映画のテーマだけ聞いて選ばれてきた曲を,ところ構わず,片っ端から挿入した感じだ。 映画の後半,リージェント・パークでのゲリラショーの舞台で,John McCreaが“I Wanna Be Your Dog”を歌うシーンが登場し,ようやく画面と歌が完全に一致する。元は米国ロック・バンドThe Stoogesの1969年のデビュー・シングル曲だが,本作でのアレンジもまさにパンクそのものだった。曲名もぴったりで,白黒の衣装で姿を見せるクルエラの登場場面に相応しい。 Ike & Tina Turner がシャウトするビートルズ・ナンバーの“Come Together”が,クルエラ・チームが復讐に向うシーンのバックに流れる。こちらも1969年の発売曲だ。ジャンパーがビルの屋上から地上にいるホーレスを見下ろすが,このビルと周りのロンドン市街地は,あのビートルズの伝説のルーフトップ・コンサートを思い出す。意図的にそう感じさせるオマージュ・シーンなのだろう。もっとも,そうならば,曲は“Come Together”でなく,“Get Back”であるべきなのだが……。 37曲の劇中での挿入は長短さまざまだが,★印曲の挿入はいずれも長めでじっくり聴ける。逆は真ではない。即ち,8, 9, 26, 29等は,いずれも長い尺で流され,いずれもよく知られたヒット曲なのに,それが標準的なソング版のCDや音楽配信には収録されていない。版権の関係で収録が許されなかったのかと思ったのだが,Spotify等での30曲以上のトラックリストだとこれらが全部入っている。よく分からない,複雑な営業形態だ。 ソング版がウリで,そちらばかり注目されていたので,スコア版は添え物で,販売されているだけかと思った。音源データを入手してじっくり聴いてみると,これもなかなか味のある,出来の良い劇伴曲集だった。使用楽器も多彩,音質も良く,聴いているだけでワクワクする。 こうした音楽の心地良さは,シアター上映中や,単独で音楽プレイヤーで曲を聴いている時だけだった。最悪なのが,Disney+での配信映像中の音楽だ。ミキシングを変えてあり,登場人物の会話ばかり引き立てていて,音楽の音量が小さ過ぎる。プレミアアクセス料金をとっているのに,ちょっと残念な出来映えだった。映画『クルエラ』を音楽も同時に楽しみたいなら,絶対に音響効果の良い映画館で観るべきだ。 | |||||||||||||||||||||
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