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O plus E誌 2018年7・8月号掲載 |
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(C) 久保帯人/集英社 (C) 2018映画「BLEACH」製作委員会
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オフィシャルサイト[日本語] |
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[7月20日より新宿ピカデリー他全国ロードショー公開中] |
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2018年6月22日 GAGA試写室(大阪)
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(注:本映画時評の評点は,上から  , , , の順で,その中間に をつけています。) |
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CGは健闘しているが,トータルでは無惨な結果に |
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| 当映画評欄は,CG技術が映画に与える影響を語り,VFX技術の進化を継続的に見守るために始めたものだ。最近「役目柄,止むを得ず試写を観て,記録を残す目的だけで…」という言い訳を何度もしている。本作は正にその典型と言える映画であった。あー,嫌だ嫌だ。
原作は,週刊少年ジャンプに2001年から15年間も長期連載された久保帯人作の同名コミックである。単行本出版は全74巻に及び,全世界での累計発行部数は1億2千万部に達するという。勿論,既にTVアニメ化,ゲーム化されていて,劇場版アニメも4本公開されている。これだけの実績のある中で,満を持して,CGをふんだんに盛り込んだ実写映画化だという訳だ。
こうした触れ込みでの同誌からの映画化作品は,優に2桁に達している。発行部数最大の人気誌ゆえだろうが,一説によると映画化権が格安なのだそうだ。出版社側も映画化で原作本が売れることを見込んでいるのだろう。それで粗製乱造の映画を見せられる方は堪らない。
そう言いながらも,この予想が良い方に外れることを期待していた。配給会社と監督名,脚本家名ゆえである。洋画メジャーのワーナー・ブラザースは邦画に進出し,コミック実写化路線で『デスノート』『るろうに剣心』両シリーズで素晴らしい実績を残している。一方の佐藤信介監督の手腕は『アイアムアヒーロー』(16年5月号)『いぬやしき』(18年Web専用#2)で高評価を与えた通りだ。脚本は『パッチギ!』(05)『フラガール』(06)で注目を集めた羽原大介である。この3者の組み合わせなら,外れはないだろうと期待したのだが,結果は無惨だった。これは一体,どうしたことだろう?
映画化は,原作の最初の「死神代行篇」だけに絞っている。幽霊が見える高校生・黒崎一護が死神の少女・朽木ルキアからその死神パワーを譲り受け,人間の魂を食べる悪霊「虚(ホロウ)」たちと戦うという物語だ。当然,この「虚」はCGで描かれている。以下,当欄の視点での最低限の論評をすることにしよう。
■ 黒崎一護役の福士蒼汰の演技力には全く期待しなかったが,大きな斬魄刀を構えた姿はカッコ良かった(写真1)。助演の吉沢亮,早乙女太一,MIYAVIら若手男優陣にも大して期待していなかったが,コミックの登場人物となるとこんなものだろう。少し残念だったのは,筆者お気に入りの死神役の杉咲花だった。序盤の2人の掛け合いは面白いのだが,中盤以降は「逃げろ,一護!」と何度も叫んでいるだけだった。かなりの演技派の彼女に,こんなセリフしか与えない脚本・演出が悪い。
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写真1 斬魄刀を構える死神代行の黒崎一護。いや,カッコいい。
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| ■ 見どころであるはずの「虚」のCG描写はもっと無惨だった(写真2)。CG描画そのものが劣悪なのではない。いずれも原作コミックの悪霊デザインがプアで,それを映画でもほぼそのまま踏襲しているからだ(写真3)。折角実写映画化する以上は,デザインも能力も数段向上させるべきなのに,安易に原作コミックのイメージをそのまま踏襲しようとするから,大スクリーンの映画ではプアに見えてしまう。「脅威のCGが進化させた究極の虚(ホロウ)たち」の宣伝文句は全くのお笑いだ。恥ずかしくないか?
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写真2 (上)最初に登場するフィッシュボーン,(下)最凶の虚のグランドフィッシャー
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写真3 CGチームとしては検討しているが,原作のデザインがプア過ぎて魅力なし |
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| ■ 若干褒めておくべきは,架空の空座町の駅のCG描写だ。駅舎もバスロータリーも見事な出来映えで,一瞬本物かと思ってしまった。このロータリーをバックにしたアクション場面も悪くない(写真4)。お粗末なのは,この程度の見せ場だけで映画化した企画である。本作の試写を観た同日の夜に,上記『ジュラシック・ワールド/炎の王国』の完成披露試写を観たので,尚更そう感じてしまった。
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写真4 オープンセットのバスロータリーでの戦い
(C) 久保帯人/集英社 (C) 2018映画「BLEACH」製作委員会 |
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(画像は,O plus E誌掲載分に追加しています) |
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