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plus E誌 2014年10月号掲載 |
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『るろうに剣心 伝説の最期編』
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(ワーナー・ブラザース映画
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(C) 和月伸宏/集英社
(C) 2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会
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オフィシャルサイト[日本語] |
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[9月13日より丸の内ピカデリー他全国ロードショー公開中] |
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2014年8月29日 松竹試写室(大阪)
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(注:本映画時評の評点は,上から  , , , の順で,その中間に をつけています。) |
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凄まじい剣戟アクションは,火炎の中で大団円 |
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| 邦画の人気剣豪活劇の完結編だ。コミックを映画化した2年前の第1作(12年9月号)は当欄でも絶賛した。その大ヒットにより,2作目,3作目を同時製作し,連続公開する手口は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『マトリックス』等と同じだ。内容的には「東京編」「京都編」「人誅編」からなる原作コミックの「京都編」に当たる。「京都大火編」「伝説の最期編」と題した両編を,ここでは前編,後編と呼ぶことにしよう。
前編の短評は前々号に記した。後編の公開時期は1ヶ月余しか違わないのに,後編の紹介が本号になったのは,意図的に遅らせたためではない。完結編の仕上げに手間取ったのか,試写開始時期が遅かったからである。その間,本作に関しても,しっかり準備した。第1作のDVDを再見し,集英社コミック完全版の第7巻から第17巻をレンタルして読破し,さらにキネマ旬報の特集号を購入し,おまけに「剣心皆伝」なるガイド本も中古市場から入手したという次第だ。何分,若者に大人気の話題作ゆえ,不勉強で迂闊なことを書いたのでは,ネット上で袋だたきにされる可能性大だからである。
前編のラストでのサプライズは,クレジットされていない謎の出演者が登場することだった。それが福山雅治だと判明し,この後編早々には,彼が緋村剣心(佐藤健)の師匠の比古清十郎であることが明かされている。その後のサプライズはない。京都編の途中で剣心が飛天御剣流の奥義を伝授されることは,コミックファンなら先刻承知の上だ。後は政府転覆を目論む志々雄真実一派との全面対決に向けての物語が進行するだけである。
製作費30億円,撮影期間6ヶ月,エキストラ延べ5,000人というのは,邦画としては超大作の部類に入る。この投資に見合うだけの内容も評判も備えていたので,後編への期待は,業界内でも日に日に増していた。マスコミ用試写会は超満員だった。2時間15分の完結編が終わる約30分前から,隣席の女性記者(?)は泣いていた。もうこの映画が終わってしまうのかと,悲しかったそうだ。やれやれ……。
さて,筆者の評価はといえば,表題欄の通り,前編より下になってしまった。最後に満点をつけるため,前編の評価を一つ下げておいたのに,残念ながら,それ以上にはできなかった。それでも評価すべきは評価し,愛するがゆえの苦言も呈しておくことにしよう。
[大いに評価する点]
■ 本シリーズの最大の魅力は,斬新な剣戟アクションだ。筆者は,かつて200本以上のチャンバラ映画を観た。最近は,プロの殺陣師の指導を受け,新感覚の短編時代劇の剣戟シーンをデザイン&プレビズした経験もある。その目で眺めても,絶賛したいシーンの連続であった(写真1)。最終戦の30分余の舞台は,志々雄の闘場「大灼熱の間」から,甲鉄艦・煉獄の船内に変更されていたが(写真2),ボリューム感たっぷりの大団円だ。
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■ 前編最後の大嵐も,煉獄の外観も,良質のCGで描かれていた。沖に停泊中の艦を陸から眺める合成シーンも,航行中を上から俯瞰するシーンも,なかなか良い出来だ。惜しむらくは,そのスチル画像が一切公開されないことである。船内の最終対決(写真3)では,志々雄の刀や身体から炎が発生するが,ここはもっと大規模なCGの炎で描き切っても良かったかと思う。
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■ 外連味たっぷりの殺陣を支えるのはワイヤーアクションだが,剣心が屋根上を駆けるシーンも印象的だ(写真4)。それを追うカメラワークも素晴らしい(写真5)。日本映画史上,出色の出来だと言えるだろう。
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写真4 大ジャンプも屋根上の疾走も斬新でスピーディ |
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[あまり感心しない点]
■ それだけのエンディングが控えていながら,今イチと感じたのは,後編の前半から中盤にかけてのもたつきだ。前編のテンポが素晴らしかったゆえに,後編の盛り上げ方を稚拙に感じた。ラストに向かう疾走感が乏しいのは,脚本や音楽がハリウッド級でないからだろう。
■ 総じてキャスティングは良い。小柄で痩身,茶髪の優男の剣心に,佐藤健を配したのは大正解だ。伊勢谷友介,江口洋介,田中泯,神木隆之介等,いずれもコミック・キャラのイメージを残している(写真6)。最大のミスキャストは,福山雅治だろう。大友啓史監督は,NHK大河ドラマ『龍馬伝』の出演者を使い過ぎだ。それゆえ,監督も俳優自身も,意図的に龍馬とは異なる人物像を出そうとしたのだろうが,その想いが失敗を倍加した。彼に冷徹無比な人物を演じさせるのは,無理がある(写真7)。
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写真6 上:斎藤一(江口洋介),中:四之森蒼紫(伊勢谷友介),下:瀬田宗次郎(神木隆之介)。いずれも原作のイメージをよく醸し出している。 |
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写真7 大河ドラマでの龍馬役は良かったが,本作ではそれが裏目に
(C) 和月伸宏/集英社 (C) 2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会
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(画像は,O plus E誌掲載分に追加しています) |
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