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plus E誌 2014年9月号掲載 |
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『LUCY/ルーシー』
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(ユニバーサル映画
/東宝東和配給
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(C) 2014 Universal Pictures
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オフィシャルサイト[日本語][英語] |
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[8月29日よりTOHOシネマズ日本橋他全国ロードショー公開予定] |
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2014年7月20日 東宝試写室(大阪)
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(注:本映画時評の評点は,上から  , , , の順で,その中間に をつけています。) |
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斬新なニュー・ヒロインの誕生,続編はないのか? |
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| マーベル=ディズニー組の快進撃が続く中で,別のところから,とんでもない超能力をもったスーパー・ヒロインが登場した。監督・脚本は,仏映画界の巨匠リュック・ベッソン。『X-MEN』シリーズや『アメイジング・スパイダーマン』シリーズも,原作はマーベル・コミックスであるから,今や全く新しいキャラを創造してぶつけられるのは,ヒットメーカーであるこの巨匠だけかもしれない。欧州テイスト一杯の作品も企画できれば,本作のように,ハリウッド資本でハリウッド好みの作品を演出できるだけの実力と名声を併せ持っている。
懸念したのは,女性単独の冒険物ヒロインや超能力者の成功例は極めて少ないことだ。「スーパーマン」の従妹という『スーパーガール』(84)はジョークとしか思えないレベルだったし,「バットマン」からスピンオフしたハル・ベリー主演の『キャットウーマン』(04年11月号)も散々な出来だった。アンジェリーナ・ジョリー主演の『トゥームレイダー』シリーズも2作で終わっている。気を吐いているのは,『バイオハザード』シリーズのミラ・ジョヴォビッチ演じるアリスだけだろうか。ゲーム好きの固定ファンに支えられ,このシリーズが続いているが,作品レベルは落ちる一方だ。
一枚看板でこの種の主役を張らせるには,人選が難しい。敵をバッタバッタと薙ぎ倒すのに,可愛過ぎてはリアリティに欠けるし,タフな強面の女性では魅力に欠ける。一体誰をヒロインに選んだのかと思ったが,筆者好みのスカーレット・ヨハンソンだと聞いて,大いに安心した。彼女ならフェロモンも振りまくし,しっかりアクションもこなせることは,『アベンジャーズ』(12年9月号)のブラック・ウィドウで実証済みである。そのマーベル組の一員を一本釣りするとは,L・ベッソン監督のやる気と対抗心が感じられた。ルーシーなる可愛い名前をタイトルに据えるのも,嬉しいではないか。
彼女が超能力を持つに至る理由付けが斬新だ。通常10%しか利用されていない脳の機能を覚醒させれば,常人にない能力が引き出せるという。それを可能にする薬物CPH4の密輸取引をマフィアが画策するが,薬物を腹部に埋め込んで運搬を託されたルーシーは,その薬物が体内に流れ出したことから,驚くべき脳覚醒率に達して行く……。これは最新の脳科学研究で得られた知見であるといい,それらしいCT/MRI映像(写真1)も登場するが,20%, 40%,60%と覚醒率がアップするに連れて起こる超常現象は,勿論,荒唐無稽なSFである。
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写真1 医用画像でそれらしき解説があるが,実は眉唾
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| 助演陣には,脳科学者にモーガン・フリーマン,パリ警察の刑事にアムール・ワケド,マフィアのボスには『オールド・ボーイ』(03)のチェ・ミンシクという,まっとう過ぎるキャスティングだ。その分,ルーシーのどんどん過激になって行く覚醒に,ベッソン流の遊び心を感じる。以下,本欄の視点による見どころである。
■ 覚醒率20%では1時間で外国語をマスターでき,30%で自分の細胞をコントロールできる。そのスーパーパワーを発揮する辺りはまだまだ序の口だ。40%では空中の電波が可視化されて見えるようになり,文字が浮かんで見える(写真2)。この後のパリ市街地でのカーアクション場面が凄い(写真3)。この斬新さには,さすが『トランスポーター』シリーズの製作者だと感心させられる。
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写真2 覚醒率が上がると,電波が可視化され,文字も見える |
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写真3 左右からのクルマはCGで描き加えたもの。静止画だと何てことないが,猛スピードでの疾走シーンはとにかく斬新。
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| ■ 50%以上では,口から火を噴いたり(写真4),皮膚が大変質したり,ルーシーの脳は暴走し,もうハチャメチャだ。随所に過去の名作SFのパロディも鏤められている(写真5)。ネタバレになるので,最後は明かせないが,これぞ究極のユビキタスとだけ言っておこう。ここまで行き着いてしまって,どうする気なのか,続編は作らないのだろうか? トップ女優のS・ヨハンソンを起用した時点で,1作限りのお遊びだと割り切って撮ったのだろう。
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写真4 炎なのか,光線なのか,得体の知れないものを口から発射!
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写真5 黒いコールタール状の物質への変身は,既視感がある
(C) 2014 Universal Pictures
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| ■ CG/VFXの主担当は老舗のILMで,他にLola VFX, Rodeo FX, Hatch等が参加している。最も楽しかったのは,NYのタイムズ・スクエアを200年前に戻し,そこからさらに先住民の時代へと遡る下りだ。さすがに,類人猿から恐竜時代にまで戻すのはやり過ぎで,笑いを誘う。そして,当欄として何よりも大きな不満は,こうした遊び心満載のVFXシーンのスチル画像がほとんど公開されないことだ。実に,勿体ない!
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(画像は,O plus E誌掲載分に追加しています) |
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