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(注:本映画時評の評点は,上から![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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VFXは進化したが, SWエピソード1にも似た失望感 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
東京の新名所六本木ヒルズ。オープン以来1ヶ月で約300万人が訪れたこの都会型複合都市空間に,大型シネコン「ヴァージンシネマズ六本木ヒルズ」がある。この映画の先々行上映が始まる5月24日(土),シネコン内全体がマトリックス一色に飾られていた。黒字に緑の裏返し文字が流れ落ちる画面,あの印象的な絵柄が,あちこちの看板にも,ファストフード・カウンターの正面板にも,廊下の透明な床板にも使われていたのである。 言わずと知れたマトリックス3部作の2作目だ。日本では,6月7日の一般公開前に先々行上映,先行上映と前人気を煽る作戦が展開された。加えて,3部作をつなぐ9つの短編アニメのオムニバス作品『アニマトリックス』が製作され,この六本木だけで2週間限定上映されていた。映画雑誌は言うに及ばず,この時期にはタウン誌の表紙もマトリックスのオンパレードで,TVでもスポットCMが頻出していた。要するに,各種CMやゲームやグッズも巻き込んだ大キャンペーン作戦の中で,マトリックス・フリーク達が集まる最もホットなスポットがこの六本木ヒルズであったという訳だ。 2作目,3作目の同時製作で,製作費は計300数十億円にも達し,前作約400カットだったCGシーンは今回は1175にも及ぶという。TVスポットを観ただけでもVFXが相当厚みを増していることは明らかだ。本映画時評はそのVFXの視点から評価するのがウリだが,そう傾きがちなだけに,まずは一般ファンの中に入って素直にこの話題作を眺めてみようと考えた。六本木まで足を運んだのは,先々行上映の初回にこのスクリーンで見たがるファンの反応を知りたかったからである。 監督はウォシャウスキー兄弟,ネオ(キアヌ・リーブス),トリニティー(キャリー=アン・モス),モーフィアス(ローレンス・フィッシュバーン),エージェント・スミス(ヒューゴ・ウィービング)といった主要登場人物は前作と同じで,新たに加わった中では『マレーナ』(00)『ジェヴォーダンの獣』(01)で類いまれなる美貌を披露したモニカ・ベルッチが存在感を発揮していた。 人類を仮想空間マトリックスに閉じこめて支配してきたマシン軍団と,人類最後の都市「ザイオン」を救おうとする救世主ネオらの戦いだが,紙幅がないのでストーリーは略そう。前作よりも背景となるマトリックスの世界観が広がったと感じさせるが,冗舌でカルト的になっただけで,決して分かりやすくも素晴らしくもない。 オープニング・タイトルから冒頭部は正に予想通りだった。黒字に緑の2次元マトリックスの世界が,3D-CGを駆使した動きへと変わる。トリニティーが登場し,小気味よく動き回り,ここらでマシンガン撮影(ブレットタイム)のスローモーションだなと思ったところに,カメラをほぼ水平に回すのではなく,今回は縦の変化で攻めてきた。これも予想通りだ。こんなカメラ配置ができる訳はないから,ここは人物もフルCGなのだろう。 最初のテンポの良さはさすがだったが,その後が今一つ乗れない。アクションもVFXもハイレベルであるが,マトリックスらしいリズム感と切れ味がない。モーフィアスもオラクルもメロビンジアンもセリフが長く,これではダレてしまう。後半のアクションで少し引き締まったが,フリークで埋まっているはずの会場は消化不良のまま終わってしまった。上映中,笑いも興奮の拍手もほとんど聞こえなかった。エンドロールの最後に3作目の『マトリックス・レボリューションズ』の予告編が流れる。その事前情報が行き渡っていたのか,クレジット中に席を立つ観客はほとんどいなかった。その点では立派なマニア達ばかりだ。 実を言うと,この映画の評論は余り書きたくなかった。発行日の都合からどうしても公開後の掲載になるので,既に語り尽くされている話題に後から発言するのは野暮だからだ。ところが,簡単になしで済ませてもらえない。VFX専門の映画時評を標榜しているだけに,読者もファンも業界関係者も,本欄がこの映画をどう評価するのかに注目している。こういう評価になるだろうと,半分以上予想していた。過剰な前宣伝で集客力は上げられるが,その期待に応えるだけの作品を作るのは難しい。フィーバーすればするほど,『SWエピソード1』(99)にも似た失望感を感じてしまいそうな気がしていた。 本論のVFXに移ろう。総合スーパバイザは,前作と同様ジョン・ゲイターで,本シリーズのためにマネックス社から独立してEsc社を設立した。Escとは,キーボードの左上にあるエスケープ・キーのことだ。1000以上のカットとなると新会社だけではこなしきれず,CIS, BUF, CFX, Animal Logic等に発注した上に,Sony Pictures Imageworksの応援も得ている。以下,VFXの見どころである。 ■最大のウリは自己複製能力をもったエージェント・スミスで,3体,12体,24体と増え,ついは100体以上にも増殖する(写真1〜3)。単に離れた位置に並べるだけなら実写映像をディジタル合成すればいいが,多数が入れ乱れてネオと戦うとなれば,これはCGで作るしかない。ネオもスミスも,顔面中心に全身を3Dスキャンされ,ディジタル・キャラが作られた。 |
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■多数のスミスの動きは,10数人の俳優に同じスーツを着せて動き回らせ,これをモーション・キャプチャしたという。最初観た時,このシーンは迫力よりもぎこちなさ,殺陣の振付けの悪さを感じた。ネオと戦っていない後方の大勢のスミスはオロオロしているだけで,滑稽ですらあった。それもまたリアリティではあるが。 ■もう1つの見どころは,ハイウェイ上でのカー・チェイスと大アクションだ。この撮影のためだけに3キロの高速道路を自前で作ったという(写真4)。それに見合うだけのアクションに仕上がっている。特に,最後の大型トレーラー同志の衝突クラッシュと周りの空中を人が飛ぶスローモーション表現が秀逸だった。マシンガン撮影のように見せて,実はCGで描いて実現している。 ■ネオがスーパーマンのように空を飛ぶ(写真5)。フルCG化できて嬉しかったのだろうが,パロディだとしても頻繁にやり過ぎだ。アメリカでは笑いを誘ったのだろうが,日本の若者にはウケていなかった。ラスト近く,ネオがトリニティと絡むシーンは『風と共に去りぬ』の名場面のパロディだが,これも通じていなかった。 ■弾丸が停止するシーンはご愛嬌。200台以上のマルチモニタが並ぶシーンも壮観だ(写真6)。実際この種の装備をもつホールもあるが,画面内の映像の切り替わりの複雑さからすると,ここは当然CGで描いたのだろう。 ■多数のVFXスタジオが参加すると,質がばらつくのは止むを得ない。それでも,ザイオンの都市や評議会のシーンなどスケールが大きく,CGの威力を発揮している。センティネルズなどのクリーチャーは,専門のティペット・スタジオがデザインした(写真7)。今や誰も驚かないが,デキは悪くなく丁寧に作られている。 ■新登場の敵役で出色なのは,双子のエージェントのツインズだ。透明になり,壁をすり抜ける戦闘能力がある(写真8)。スミスに比べてこちらの複製は素晴らしい出来だと感じたが,何と実写部分は本物の一卵性双生児を使ったという。やはり本物はCGより上だ。 |
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