Daichi's artworking:
平成18年度よりスタートしたJST 戦略的創造研究推進事業(さきがけタイプ)「空間型メディア作品を強化する7つ道具型対話デバイス」の研究成果をSIGGRAPH ASIA 2009 Emerging Technologiesにて発表します.
◇展示タイトル「Daichi's artworking: Enjoyable painting and handcrafting with new ToolDevices」
◇ブースNo. 0068
◇展示スケジュール・会場
パシフィコ横浜
- Demo @ Exhibition Hall B
12/17 (Thu.) 09:30-18:30
12/18 (Fri.) 09:30-18:30
12/19 (Sat.) 09:30-16:00
- Presentation @ Room 413
12/18 (Fri.) 09:00-10:45
■技術展示の概要
※イントロムービーはこちら!
ある日,Daichi君はとても素敵なイスと机の絵を描き,その3DCGを作りたいと思いました.ところが,残念ながら彼はコンピュータがとっても苦手で,どうやって3DCGを作ればいいのか,また,それに色を塗るにはどうすればいいのかわかりませんでした.
Daichiのようなユーザにとって,マウスと2Dディスプレイを用いた既存のシステムでは,3Dモデリングや広い平面や立体物への描画は困難でした.私たちはこの問題を複合現実 (Mixed Reality; MR) 空間において道具型デバイスを用いることによって解決を図ります.
道具型デバイスは日ごろ使い慣れた道具の特徴を利用した対話デバイスであり,一目見ただけでその用途や操作方法が分かるという利点があります.そのため,ユーザは複雑な操作を覚えることなく,直観的な操作を行うことができます.
本展示「Daichi's artworking」は道具型デバイスを用い,MR空間において実世界と同様の操作で造型,描画を体験することができます.
■体験できるデモ内容
造型
木材加工を模倣した造型システムです.MR空間中には予め角材や板,丸太といった基本形状となる数種の仮想物体が用意されており,ユーザは必要に応じて任意の物体を選択し,各種デバイスを用いてこれを加工することで造型作業を行います.ユーザは「選択・移動」「切断」「結合」を繰り返し行い,任意の形状を作成します.
【選択・移動】
ピンセット型デバイスで対象を挟むことで木材を選択します.掴んだ際には実際に物体を掴んだかのような反力が提示され,掴んだまま移動することで3D空間上での物体の移動・回転が自由に行えます.そして,掴む力を緩めることによって任意の位置に物体を配置することができます.
また,空間中には実際のゴミ箱が配置されており,掴んで持っていくことで物体を削除することができます.
【切断】
ナイフ型デバイスを卓上でスライドさせることで木材を切断します.スライド中にはスライド開始位置と現在位置を結ぶ切断平面が表示され,デバイスを卓上から離すことでその平面に沿って木材を切断することができます.
【結合】
ハンマ型デバイスを振り下ろすことで木材同士を結合します.あらかじめ,ピンセット型デバイスを用いて木材同士が重なるように配置し,それに対してハンマを振り下ろすことでそれらを結合することができます.
描画
MR空間中の卓上に置かれた陶器の皿や木製の小屋などの実物体や,卓上そのものに対し,筆型デバイスを用いて描画することができます.
【筆の選択】
「丸筆」「平筆」に加え,丸筆よりも細い線を描画するための「面相筆」の3種類の穂先の中から,描画したい線に応じて,穂先を付け替えます.
【色の選択,混色】
卓上にはカラーパレット (CG) が表示されています.筆型デバイスの穂先を各色に接触させることで,任意の色を選択することができ,パレット上で複数の色を混ぜることもできます.筆に付く絵具の量は,デバイスの穂先がその色に触れていた時間に比例して増加します.ユーザは,筆の柄に沿って表示されたゲージ (CG) によって現在の絵具の量を確認することができます.
【水の利用】
卓上に配置された実物体の水入れに筆型デバイスを入れると,筆に取った色を薄めることができます.また,薄めた色は再度パレット上で混色することもできます.
【描画】
実世界同様,筆型デバイスを描画対象に押し付け,移動させることで描画できます.筆に付いている絵具の量は,描画距離に応じて減少し,残量が少なくなると,その時の絵具の量に応じたかすれが発生します.