| 既に国内発売の英語歌唱盤が出ていて,映画公開前に日本語歌唱盤も発売になる。前者は日本語ランナーノーツが付き,ジャケットが少し落ち着いた色になっているだけで,輸入盤と同じ27曲収録だ。13曲が出演俳優による歌唱曲,残る14曲がMarc Shaiman作曲の演奏だけのオリジナルスコアである。日本語歌唱盤は,上記13曲を日本人声優による歌唱に置き換え,ボーナス曲として平原綾香が歌うエンドソング加えている28曲の構成だ。さらに,2枚組のデラックス盤がある。Disc 1 は英語歌唱盤そのままで,Disc 2が日本語歌唱の14曲を収録したものという組み合わせになっている。
前作の名曲"Supercalifragilisticexpialidocious"と"Chim Chim Cher-ee"の再利用を望む声も多かったが,それはなく,全て新曲が使われている。代表曲"The Place Where Lost Things Go(幸せのありか)"は驚くほどの名曲ではないが,ディズニー映画の平均点以上の出来栄えである。様々な企画盤に収録され,沢山の歌手に歌い継がれる内に,その良さが味わえる曲となることだろう。
91歳のAngela Lansburyが"Nowhere To Go But Up"をしっかり歌いこなしているのに驚いた。トニー受賞者で,若い頃から鍛えた喉とはいえ,大したものだ。この曲も結構名曲である。他は大勢での合唱曲が多く,ミュージカル舞台での歌唱向きだと感じた。
Emily Blunt の歌唱力も予想した以上のレベルで,合格点であるが,日本語吹替の平原綾香の方が圧倒的に優れている。プロの歌手である上に,ミュージカル舞台でメリー・ポピンズ役を演じていただけのことはある。通常,劇中のキャストとエンドソングの歌手は別になるものだが,本作では日本語吹替版の映画では,そこにも平原綾香が起用されている(字幕版,即ち英語歌唱盤には,エンドソングはない)。劇中で子守歌として歌う「幸せのありか」と,エンドソングとして歌う同曲を,見事に歌い分けているから,面目躍如である。
日本語吹替版映画には,マイケル役の谷原章介を除き,歌唱力を終始してミュージカル俳優を主要な役柄に起用している。ジャック役の岸祐二も悪くないが,歌はオリジナルのLin-Manuel Mirandaに軍配が上がる。CDだとさほどの差はないが,歌って踊る姿も込みで評価すると,本物には敵わない。
以上のように一長一短があるので,映画も両方観て,CDは割得のデラックス盤を買うのがオススメだ。
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