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(注:本映画時評の評点は,上から![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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主人公は異色だが,時代劇のDNAは継承されている | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
当欄のメイン記事のトップで邦画を取り上げるのは久しぶりだ。常時製作費不足を嘆く日本映画界でも,今やアクション大作でない普通の映画にも,ある程度のVFXが使われている。計算コストが下がり,CGを使いこなせる人材も増えているのだから,当然の現象である。それでも,VFX多用作として紹介するに足る作品が,邦画では,しばらく見当たらなかったということになる。今年は,10月下旬から11月にかけて,邦画としての大作,意欲作が何作か登場する。その中から,応援の意味を込めて,特撮がウリの一作を選んでみた。 本作『のぼうの城』の原作は,和田竜が著した同名歴史小説で,2008年上半期の直木賞候補となり,2009年本屋大賞第2位(この年の第1位は「告白」)となった作品である。後者の上位入選作の大半は映画化されているので,本作も当然その対象となったのだろう。ただし,城攻めを描いたスケールの大きな時代劇となると,それなりの準備が必要であったのも理解できる。 聞きなれない「のぼう」とは,「でくのぼう」の意で,領民から「のぼう様」と呼ばれた人物のことらしい。領主一族の嫡男・成田長親で,天下統一目前の豊臣秀吉が北条氏を攻めた「小田原征伐」の際,武州の「忍城(おしじょう)」に籠城し,石田三成率いる2万3千余の軍勢にわずか3千の兵で戦い,城を守り切ったという。小説としての誇張はあるだろうが,実在した歴史上の人物であり,忍城が水攻めにされたというのも実話のようだ。これまで,この人物も逸話も知らなかったが,まさに映画向きの題材である。 監督は,『ゼロの焦点』(09)の犬童一心と『ローレライ』(05年3月号) 『日本沈没』(06年7月号)の樋口真嗣のダブル監督体制だ。特撮が専門だが,監督としての演出力には難があった樋口真嗣氏を,事実上,特撮監督の役割で参加させたが,名目上,対等の扱いにしたというところだろうか。 主演は,狂言師の野村萬斎。『陰陽師』(01年10月号)『陰陽師II』(03年10月号)の主演で抜群の存在感を示したが, 映画での主演はそれ以来の9年ぶりである。彼が演じる「のぼう様」は,奇妙奇天烈な人物で,映画の前半は,その大仰な演技について行けなかった。ところが,三成軍に反抗して籠城を決めたあたりから,なかなか面白い人物だと映るようになり,野村萬斎らしいメリハリの利いた演技が冴えてきた。後半の湖上の田楽踊りのシーンは,まさに狂言界のプリンスの面目躍如であり,彼しか演じられない名場面だと感じた。 助演陣は,大作らしい顔ぶれが揃っているが,侍大将・正木丹波守役の佐藤浩市と(意外にも)大谷吉継役の山田孝之の武将姿が光っていた。その反面,甲斐姫役の榮倉奈々には,全く魅力を感じなかった。東宝作品は,どうしてこうも冴えない女優をヒロインに起用するのだろう? 時代劇で殊更そう感じるのは,演技力がないことが露呈しやすいためか,それとも特撮技術を目立たせるため,意図的にお粗末な女優を起用しているのだろうか(まさか,そんなはずはないが……)。 以下,その特撮を含む,見どころである。 ■ 何より嬉しいのは,忍城での攻防を描くのに,大規模なオープンセットが作られ,多数のエキストラを起用していることだ。北海道に広大な土地を確保し,そこに城のセットを組み,様々なアングルからの撮影を可能にしている(写真1)。テレビ番組と違って,大型スクリーンで観る映画は,こうでなくてはならない。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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■ それでも,広大なシーンだと余計な背景が写るし,エキストラの数も足りない。そこは巧みにデジタルVFXで加工している(写真2)。堤防の上を兵士が立ち並ぶシーン,夜間の軍勢のシーン等は,CG/VFXの重要な出番だ。随所で模型も使って,CGと組合せているようだ。大きな見どころは2度の洪水の場面だが,実際に18トンの水を一気に落とす装置が導入されたという。その実写の水流とCG製の水を併用したようだが,このCGの水が少し嘘っぽい。CG全体のクオリティに関しても,『日本沈没』のような意気込みが感じられなかったのが,少し残念だ。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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■ 本作は新感覚の時代劇と言えるが,その一方で,きちんとした時代劇のDNAが継承されているのが喜ばしかった。騎馬武者の出で立ち,武将の甲冑姿や銃の構え方は勿論,城内の様々な小道具に至るまで,細部で長年時代劇を支えてきた美術部門の誇りと伝統が感じられた(写真3)。この伝統があったゆえに,野村萬斎演じる主人公の存在感が際立っていたのだと思う。 |
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(画像は,O plus E誌掲載分に追加しています) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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